
仲介業やステーブルコイン関連の改正案
日本政府は7日、暗号資産(仮想通貨)の仲介業創設や、信託型ステーブルコインの裏付け資産の柔軟化などを規定する、資金決済法の改正案を閣議決定した。法案は同日、国会に提出されている。
改正は、金融のデジタル化などの進展に対応し、利用者保護を確保しつつ、イノベーションを促進することを目的とするものだ。暗号資産「仲介業」の新設やステーブルコイン関連で新たな方針を打ち出している。
まず、信託型ステーブルコインについて、これまでは発行額に相当する裏付け資産の全額を、預金者がいつでも払い戻せる預貯金(要求払預金)で保有する必要があった。
法改正後は、ステーブルコイン発行額の50%を上限に、元本を毀損しない形で、満期・残存期間3か月以内の日米国債や、中途解約が認められる定期預金による管理・運用を認める。
国債や定期預金による管理・運用を一定程度認めることで、国際競争力を強化する狙いだ。
なお、信託型ステーブルコインとは、一般的にステーブルコインの発行において、裏付け資産を信託会社などの第三者に預託し、その信託スキームを通じてコインの価値を安定させる仕組みだ。
事例としては2024年10月、あおぞら銀行とWeb3ソリューションを提供するG.U.Group株式会社が、こうした形式のステーブルコイン発行検討で合意した。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
「仲介業」創設で参入しやすく
次に、改正案は新たに暗号資産等取引に係る「仲介業」というカテゴリを創設する。
これまでは、暗号資産交換業者と利用者を引き合わせる行為のみを行う場合であっても、暗号資産交換業者としての登録が必要であり、同じ規制が課される状況があった。
改正後は、新たに「仲介業」での登録制となる。利用者資産を預からないため、財務要件やマネーロンダリング規制の対象とはならない。これにより参入のハードルを下げた格好だ。
日経新聞によると、メルカリやSBI証券、マネックス証券などが参入に関心を示している。なお、メルカリは子会社メルコインが交換業として登録しており、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の取引を提供しているところだ。
取引所破綻時の投資家保護
その他に、改正案は取引業者が破綻した際に、資産の国内保有命令を発することができるような事項なども盛り込んでいる。
これは、2022年に米国の大手取引所FTXが破綻した際のことを踏まえたものだ。日本では、子会社FTX Japanに対して資産の国内保有命令を発することで資産の国外流出を防止することができた。
こうした命令はデリバティブを扱う事業体にしか発することができなかったが、改正後は現物のみを取り扱う事業者に対しても発することができるようになる。
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