- 藤巻議員、国税庁と麻生大臣に「仮想通貨税制」について質問
- 藤巻健史議員が、20日に行われた「参院予算委員会」で、仮想通貨税制について、国税庁や麻生大臣に質問。仮想通貨の課税制度と比較し、カジノで適用される一時所得についても疑問を呈した。
藤巻議員、国税庁と麻生大臣に「仮想通貨税制」について質問
日本維新の会の藤巻健史議員は、20日に行われた「参院予算委員会」で、仮想通貨税制について、国税庁と麻生大臣に質問した。
本日はODA特別委員会で15分間質疑。河野大臣の回答が素晴らしかった。後日you tube,議事録アップします。明日は財政金融委員会で11:15~11:33、14:24~14:51、15:57~16:10の3回質問に立ちます。・1回目は予算、第2回目と3回目は税制(暗号資産税制他です)これも後日you tube,議事録アップします。
— 藤巻 健史(経済評論家・参議院議員) (@fujimaki_takesi) 2019年3月19日
予算委員会の質疑応答は、「参議院インターネット審議」で中継された。
財務金融委員会は、日本の衆議院における常任委員会の一つだ。
2016年5月には、フィンテック、ファイナンシャルテクノロジーを取り込んでいうくための「銀行法」の改正について、財務金融委員会で質疑が行われ、ビットコイン等の仮想通貨をしっかりと枠組みに入れるにあたり、消費税法上で課税対象になるのか、銀行法や金融商品取引法における定義や政府の解釈について議論されるなどしており、仮想通貨市場の今後を占うにあたり、財政委員会は重要な位置付けと言えるだろう。
質疑応答の内容
15日に、資金決済法および金融商品取引法の改正案が日本政府に閣議決定され、仮想通貨への新たな規制が掛かることを踏まえて、質問が行われた。
重要発言を抜粋して掲載する。
国税庁が「雑所得」だと主張している限り、国税当局が、譲渡所得や一時所得ではない(=雑所得である)ことを示す必要がある。
前回の質疑では、「暗号資産は、改正資金決済法上、消費税法上でも支払い手段であるから、譲渡所得という資産には分類されない」というロジックだった。
要は、暗号資産というのは支払い手段であり、資産ではないから、譲渡所得ではないという理屈か?
ビットコインなどの暗号資産は、暗号資産の譲渡益は、資産の値上がりによる譲渡益とは性質が異なる。
国税当局としては、暗号資産は資産ではあるものの、譲渡資産に起因する資産には該当せず、一般的に「譲渡所得には該当しない(雑所得に該当する)」ものとして取り扱っている。
要するに、暗号資産は資産ではあるが、譲渡所得に起因する資産ではないという認識か。
米国では、暗号資産を「支払い手段」として定義し、かつキャピタルゲイン(値上がり益など)として認めているが、日本と異なるのはなぜか?
米国の税法上の扱いは、日本とは立て付が異なる。米国は、税法上の所得の所得区分がそもそもない。原則、総合課税になっている。資産の譲渡益から、資本資産にあたるものは除き、通常所得に対して総合課税を行う。
ちなみに為替差益は、原則通常所得に含まれ、資本資産の中に「暗号資産」が含まれているということだ。
米国の歳入庁の指針で、規定されている。連邦政府における「暗号資産の課税上の取り扱い」は、資産(プロパティ)とされている。為替差益を発生させる通貨としては取り扱わない。
暗号資産の売買又は譲渡益で生じた所得の性格は、納税者にとって資本資産会か否かで決定されると規定されている。株式や債券など投資目的であれば、納税者には、キャピタルゲインが発生するという立て付になっている。
譲渡性のある財産権をすべて含む概念について、ビットコインなどの仮想通貨がそれに含まれる。学説の租税法の大家である金子宏先生が指摘している。
学者の先生などが、雑所得の可能性も一時所得の可能性もあるという(定義の線引きが曖昧なもの)であれば、国税当局が主張するのではなく、日本政府の政治判断で良いのでは?
租税法に関しては、様々なご意見があることは承知しているが、国税当局として、個々の学説についての見解は差し控える。
15日に閣議決定した改正案では、新たに「金融商品取引法」による金融商品の規制対象として位置づけられるのであれば、投資の中立性の観点から、他金融商品同様に「源泉分離課税20%」で考えても良いのでは?
仮想通貨が金融商品取引法の対象になったが、暗号資産の交換業務は、これまで通り「資金決済法」の対象であり、法令上の呼称は仮想通貨→暗号資産に変更するが、定義自体を変更するものではない。
暗号資産は、代価の弁済のために不特定のものに対して使用することができる「財産的価値」として規定される。したがって、消費税法上でも、支払い手段に類するものとして位置づけられている。
外国通貨と同様に、その売却益等は、資産の値上がりによる譲渡所得とは性質が異にするもので、一般的に「雑所得に該当する」という現行の取り扱いを変更する必要はない。
納得できない。支払い手段ではないから、金商法で縛りをかけるのでは?
支払い手段のままであれば、金商法は関係ない。
そのような見解もあるが、答弁は先ほど申しあげた通りだ。色々な見解がある。
カジノの所得は、どのように区分されるのか?
IRにおけるカジノの制度設計がまだ明らかでないので確たることは申し上げられないが、一般論で申し上げると、日本居住者がカジノで得た所得は、「一時所得(所得金額の1/2として課税される仕組み)」に区分されるものと考えている。
以前麻生大臣が、給与所得と暗号資産の利益に対する税金が同じでは不平等では?という意見があった。
カジノで設けた一時所得の課税が半分、仮想通貨の利益は、最高55%課税では不平等感があるのでは。
国税庁から説明のあったように、一時所得は、一時的または偶発的な所得なので、一度にまとめて生じる「税負担」への配慮が必要なことで設けられた経緯がある。
競馬や競輪などの公営ギャンブルがあるが、競馬では払戻金について、「ハズレ馬券」の購入は、必要経費として控除できない。暗号資産については、為替同様、売り越し・買い越しが続いた場合でも、年間を通じた損益ベースとして課税が行われるという違いがある。
したがって、どちらが得かという話ではなく、性質・性格を踏まえて、異なる課税方法がとられているというのが現状だ。
競馬の理屈はわかるが、カジノとの不平等感がないような、税制を考えていただきたい。