日本の富裕層人口は世界2位
コンサルティング企業キャップジェミニは6月、世界の富裕層に関するレポートを発表。2021年時点で、約1.4億円(100万ドル)以上の投資資産を保有する富裕層人口について、日本が世界2位であると報告した。また、世界の富裕層の7割がデジタル資産に投資しているとも説明している。
キャップジェミニは富裕層(HNWI: high net worth individual)を「居住用不動産、収集品、消費財、耐久消費財を除き、100万ドル以上の投資可能資産を所有する者」と定義している。
1位の米国は富裕層746万人を擁していたが、日本は365万人で2位であった。なお、3位はドイツ(163万人)、4位は中国(154万人)、5位はフランス(78万人)だ。
2008年より、日本の平均年収は400万円代前半が続いている状況であるが、一方で富裕層人口は世界的にみて多いことが分かる。
キャップジェミニによると、世界の富裕層の71%が暗号資産(仮想通貨)などデジタル資産に投資しており、40代以下に限ると91%がデジタル資産に投資していた。また、仮想通貨がお気に入りのデジタル資産投資先であると回答する率が高かった。
仮想通貨の他に、デジタル資産としては仮想通貨関連ETF、NFT(非代替性トークン)、メタバース関連商品などが挙げられている。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
▶️仮想通貨用語集
資産運用大手バンガードの企業向け顧問技術責任者ジョセフ・グリブ氏は、次のようにコメントした。
新興資産クラスへの需要が高まる中、企業は顧客のリスク許容度に基づく投資アドバイスを提供し、顧客の好みに応じて様々な方法で特徴あるエクスペリエンス(顧客体験)を提供しなければならない。
また日本の状況について、野村総合研究所の米村敏康氏は、富裕層向けのサービスを提供するプレーヤー数が限られていると指摘。特に首都圏以外ではサービス提供者が少ないことから、需要と供給のバランスが崩れているという。日本経済新聞が伝えている。
富裕層向け仮想通貨サービス
富裕層がデジタル資産に目を向ける中、ハイエンド向けに仮想通貨などのサービスを提供する企業は世界的に増え始めている。
日本では最近の事例として、大手不動産会社の株式会社レーサムが、不動産の売買や賃貸借において日本円の他、ビットコイン(BTC)での決済にも対応を始めた。
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海外では、米金融大手ウェルズ・ファーゴが2021年、富裕層向け仮想通貨投資商品の提供を開始している。
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他には、モルガン・スタンレーもビットコインの保有を可能にする3つのファンドへのアクセスを開始。資産約2.8億円(200万ドル)以上の高リスク耐性顧客が、純資産額の最大2.5%をビットコインファンドに投資できるものだ。