仮想通貨は対象外
厚生労働省の労働政策審議会は26日、デジタルマネーで給与を支払うことができるようにする労働基準法の省令改正案を承認した。
施行日は2023年4月1日。一定の要件を満たした場合に、労働者の同意を得た上で、資金移動業者の口座への賃金支払いを認める。現在はキャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進んでおり、一定程度のニーズがあると見て省令改正を行う。
今回の会議では、給与に関する内容以外にも有給休暇など複数の議題が取り扱われており、厚労省のウェブサイトで様々な資料を公開。パブリックコメントの主な意見と考え方(参考資料No.2)も公表している。
パブリックコメントでは「給与は現金で支払われるべきで、ポイントや暗号資産(仮想通貨)などでは困る」との意見が上がっていた。この意見に対し、考え方として以下のように説明している。
(今回の法改正は)現金化できる資金移動業者の口座への賃金支払いを選択肢として追加するものであり、現金化できないポイントや仮想通貨などでの賃金支払いは認められていない。
資金移動業者について
給与の支払いに利用される資金移動業者は、これから厚生労働大臣の指定を受ける必要がある。「口座の上限額を100万円以下に設定していること」や、「資金移動が1円単位でできる措置を講じていること」などを指定条件として提示した。
他には「破綻等で口座残高の受け取りが困難となった時に、口座残高の全額を速やかに弁済することを保証する仕組みを有している」こと等を条件にして、労働者を保護する内容も盛り込んだ。
具体的には第二種資金移動業者を対象にするように規定。金融庁の資金移動業者登録一覧によれば、SBI証券や松井証券などのほか、PayPay株式会社やLINE Pay株式会社らがすでに認定されており、今後はスマートフォン決済アプリ口座も給与の入金先として選択できるようになるとみられる。
厚生労働大臣の指定を受ける資金移動業者は、今回決定した要件を満たすことを証明できる書類を添えて申請書を提出する必要があるため、実際にデジタル給与を受け取れるのは4月以降になる見込みだ。