マクロ経済と金融市場
16日の米NY株式市場では、ダウは前日比431.20ドル(1.26%)、ハイテク銘柄中心のナスダックは214.76ドル(1.78%)安で取引を終えた。
米労働省が発表した1月の生産者物価指数(PPI)が市場予想の5.4%を大幅に上回る前年同月比6.0%となったほか、米連邦準備理事会(FRB)高官による「今後も0.50%利上げの可能性を排除しない」とするタカ派発言が嫌気され、株やビットコイン(BTC)は売り優勢となった。インフレの高止まりや労働市場の堅調さを示しており、インフレ低下、および利上げ停止局面には市場の想定より長い時間を要する可能性を示唆する。
米最大手取引所コインベースなど仮想通貨関連銘柄も反落している。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比3.68%安の23,782ドルに。
昨年8月の高値25,214ドルを上回る25,256ドルを付けるも、米労働省が発表したPPI発表後の米株指数下落に伴い、急反落した。
FRBは歴史上前例のない金融引き締めペースでインフレ抑制を図るも、景気を冷やすことになるため経済見通しは極めて困難な情勢にある。欧米経済がリセッション(景気後退)に陥るかどうかに焦点が移る中、CPI(米消費者物価指数)や雇用統計などの経済指標に対する市場の過剰反応も見て取れるのが現状だ。
今後も米連邦公開市場委員会(FOMC)や重要指標発表、米主要企業の決算シーズンの度に株やビットコインなどの金融相場が上下に激しく揺さぶられるボラタイルな展開が想定される。
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昨日の高騰局面では、当時のレートで約480億円の仮想通貨不正流出事件を引き起こし、2014年に破綻した暗号資産取引所マウントゴックス(Mt.Gox)の2大債権者が、法定通貨ではなくビットコイン払いを選択したと伝わったことも支援材料となったとの見方もある。
Mt.Goxは、14年2月に経営破綻した暗号資産(仮想通貨)黎明期の国内最大手取引所だ。元CEOのマルク・カルプレス被告は業務上横領などの罪に問われ、「私電磁的記録不正作出・同供用罪」などの罪に問われ、懲役2年6ヶ月(執行猶予4年)の有罪判決を受けた。
日本経済新聞が当時報じた記事によれば、12万7000人の顧客が影響を受けたが、利用者は海外投資家が中心であり日本人比率は0.8%だった。その後17年11月、債権者の利益を最大化するため破産手続きから「民事再生法」手続きへと移行。21年6月には、債権者による投票を経て可決された「再生計画案」が提出された。
Mt.Goxの再生管財人を務める小林信明弁護士は、配当原資にするため保有する仮想通貨の一部を過去数回にわたり市場で売却。現在は約14万BTC、約14万BCH、約680億円を保有しているとされるが、最終請求額がこれを上回る可能性も指摘されていた。
債権者請求額の1/5を占めるBitcoinicaとMtGox Investment Funds(MGIF)が「法定通貨」払いを選択した場合は、債務整理の一環で破産管財人によるさらなる保有資産売却を余儀なくされた可能性があるとの見方が出ていた。BitcoinicaはMtGox口座に保有していたことで被害に遭ったニュージーランド拠点の暗号資産取引所、MGIFはソフトバンクグループ傘下の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループの1部門である。
CoinDeskがレビューした文書によれば、23年3月10日までに23年9月に支払われる「早期一括弁済(未払額の最大90%)」のオプションを望まないことを選択した場合、民事再生訴訟および賠償手続きにおける全工程の終了を待つことになり、さらに5年〜9年かかるおそれもあるという。
なお、Mt.Gox債権者の代理受領業者としては、東京地方裁判所の認可決定を得て、国内取引所のSBI VCトレードやビットバンクが指定されている。
一方、一部投資家に悪材料視されたのは、ロイターが16日に報じた「20年末から21年3月にかけて、シルバーゲート銀行のバイナンス米国法人口座からバイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEO関連会社Merit Peak Ltdに4億ドルの資金移動があった」とするものだ。
シルバーゲートの元幹部はロイターに対し、「会社の経営陣の承認なしに法人口座から資金移動することは、銀行のコンプライアンス規則に違反する」と述べたが、現時点では送金理由などの詳細、およびリークされた報道内容の真偽のほどは不明だ。
渦中にあるバイナンスは、昨今広がる利用者の不安払拭に向け、「資金管理、セキュリティ対策、規制遵守」における透明性を高めるための声明を発表。
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監査された保有資産の残高確認「Proof of Reserves(プルーフ・オブ・リザーブ)」フレームワークでは、業界初となる「ゼロ知識証明」を利用した検証ソリューションの提供を行うとした。
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22年6月にロイターの報道で数十億ドル相当のマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑が報じられたことに対しては、報道機関による恣意的な誤情報流布だと反発している。
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