日本の仮想通貨取引所Zaifは20日未明、日本円で約67億円相当(BTC、MONA、BCHを含む)のハッキング被害にあったことを報告 しました。
また、取引所を運営するテックビューロ社は、ハッキング発覚後、直ちにJASDAQ上場企業である株式会社フィスコのグループ企業と、50億円を提供する金融支援、株式の過半数を取得する資本提携、過半数以上の取締役及び監査役の派遣などを検討する基本契約を締結に至ったとしています。
追記
ロイター通信の報道 で、金融庁が取引所Zaifに対し、本日にも立入検査を実施する事が明らかになりました。
ハッキングの被害額と、経緯について見ていきます。
ハッキング被害にあった通貨はビットコイン(BTC)、モナコイン(MONA)、ビットコインキャッシュ(BCH)の3通貨で、日本円換算での被害総額は約67億円となります。
被害総数は以下のとおりです。
BTC 5966
MONA 現在調査中
BCH 現在調査中
なお、MONAとBCHの被害総数を確定できていないのは、二次被害防止のためのサーバーの再稼働を停止させていることであるためであるとしていますが、仮に67億円相当が3通貨の合計である事が間違いない場合は、BTCの被害額(1BTC:721,000と仮定する)約43億円相当となるので、MONAとBCHを合計すると24億円相当に該当する計算となります。
コインチェックのハッキング時にも問題になった顧客資産の割合ですが、被害にあった約67億円相当の仮想通貨の内、Zaifの資産が約22億円相当、預かり資産に相当する仮想通貨が約45億円になる様です。
顧客資産に関しては、フィスコとの間で、Zaifに対し50億円の提供される事を検討する基本契約を締結、今月下旬には提供が実行されることを前提に準備や交渉を進めており、消失した仮想通貨の調達、また顧客資産に影響が及ばない対応をすることを報告しています。
進展発表は基本契約の内容が実行された後に発表、顧客へのより具体的な対応方針が報告される様です。
なお、金融支援を行う株式会社フィスコのプレスリリース文にて、今後の調査によって被害額が変動する場合は、金融支援額の再検討を行うことが明らかになっています。
ここでは、今回の報告書と、ツイッターでの報告を元に、時系列で状況を追っていきます。
9月14日17時頃から19時頃まで
外部からの不正アクセス:ホットウォレット管理の仮想通貨(BTC、MONA、BCH)が不正送金
9月17日
サーバに異常を検知
ツイッターにてユーザーに報告
現在、BTCとMONAの入出金がサーバ障害により、停止しております。復旧に向け調査中です。入出金をお控えいただけますようよろしくお願いいたします。ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。
— Zaif – 暗号通貨取引所 (@zaifdotjp) September 17, 2018
9月18日
ハッキング被害を確認:財務局へ報告、原因分析、捜査当局への被害申告
ツイッターにて続報:「お客様の資産の安全を確認した」とした上で1〜2営業日での再開する旨を報告
【仮想通貨入出金障害の続報】
— Zaif – 暗号通貨取引所 (@zaifdotjp) September 18, 2018
現在BTC,MONA,BCHの入出金を一時停止しております。引き続き障害対応中ですが、お客様の資産の安全を確認いたしましたことをご報告いたします。復旧については1~2営業日中に完了する予定です。ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
18日のツイッター報告と、ハッキング被害を確認の時系列は、正確な時刻まで報告されていないため、内容に矛盾が生じているとは指摘できませんが、可能性として考えられるのは、ツイッターでの報告後に、ハッキング被害が発覚したことでしょう。
上記でも記載しました様に、取引所Zaifを運営するテックビューロ社は、ハッキング発覚後、以下の3点の支援要請を行ないました。
(1)消失したお客様の預かり資産に相当する財産の提供
(2)セキュリティ向上のための技術・人員の提供
(3)経営基盤の向上のための資本提携、経営陣の派遣
出典:Zaifプレスリリース
この様な支援要請の元、株式会社フィスコのグループ企業、株式会社フィスコデジタルアセットグループの子会社を通じ、「50億円の金融支援、株式の過半数を取得するとした資本提携、過半数を超える取締役および監査役の1名の派遣」を内容とした基本契約を締結を発表しました。(株式会社フィスコ:プレスリリース)
まず50億円の金融支援により、消失した仮想通貨の調達を行い、顧客資産に影響が及ばない対応を取る方針です。
また、テックビューロ社の株式の過半数を取得した資本提携により、フィスコグループが過半数の支配権を取得、実質的にフィスコ傘下となったことになります。これに伴い、引継等をする責務を全うした場合、経営責任としてテックビューロ社の役員を退任する方針を発表しています。
株式会社カイカとも支援要請の元、セキュリティ向上を目的とした技術提供を内容とした基本契約の締結を発表しました。(株式会社カイカ:プレスリリース)
株式会社カイカの技術者による技術支援を受け、システムの再構築を行い、いち早く入出金の再開に向けて動くとしています。
ハッキング被害による影響ですが、ビットコイン価格でみると、ハッキング発覚後一時的に下落しているものの、その後73万円付近まで値を急速に戻す大きな反発が見られ、結果的には大きな値崩れは起こしていません。
また、その後の反発ですが、CboeのSQ時間に向けて動きが注目されたほか、bitFlyerのメンテナンス後10分間に大きな動きがあった可能性が指摘されています。
その当時の状況は以下の通りです。(情報提供:ハル with ホテツギス様 Twitter:@kasou365 )
深夜の値動きまとめ ※()内はBF乖離率
— ハル with ホテツギス (@kasou365) September 19, 2018
2時59分:Zaif公式ハッキングツイート
3時00分:707002円(-0.33%)
3時59分22秒:675683円(-2.09%)最安値
4時22分45秒:730,000円(0.12%)最高値
5時54分:711,000円(-1.30%)現在
情報拡散の時間差で3時5分頃から下落。
BFメンテ明け10分で5万幅急騰
注目ポイント
・BF乖離がマイナス1.2%からプラス0.2%へ
・BFFXツッコミショーターの連続ロスカット
・Bitfinex $200幅急騰。BFは後追いで上昇(7分30秒頃~)
Twitter:@kasou365
なお、ビットコインのほか、ビットコインキャッシュは大きく値崩れを起こしていないものの、モナコインは対照的に下落に転じており、一時100円台の安値をつけています。(Bitbank MONA/JPY参照)