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*本レポートは、クリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
仮想通貨マーケットレポート(2/22 AM7時)
仮想通貨(暗号資産)市場は米SECが2023年にコインベースに対して提起した未登録有価証券に関連する訴訟を取り下げる予定であるとの報道を受け、一時ビットコイン価格は1,500万円まで上昇した。しかし、その後Bybitにおける過去最大規模となる2,100億円相当のETHハッキングが報じられたことを受け、市場は急落し、一時▲約80万円の下落となった。アルトコイン市場もイーサリアム系の通貨を中心にほぼ全面安の展開となっている。
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出典:Tradingview
2月21〜22日相場状況
ハッキング被害の影響を受け、Bybitの未決済建玉(OI)が大幅に縮小し、それに伴い市場も急落した。BybitのOIはハッキング被害後、BTC/USDTで▲17%、ETH/USDTで▲15%の大幅な下落を記録している。しかし、Bybitの共同創設者兼CEOであるベン・ゾウ氏が、顧客への支払い能力に問題はないとの見解をXで投稿した後、アクティブOIは再び上昇傾向を示している(下画像赤枠)。ファンディングレートを見ると、ロングポジションに大きく偏っている状況である(下画像青枠)。
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成行注文の動向を見ると、流出報道後にパニック売りが発生したものの、Bybit CEOの発言を受けて現物市場を中心に買い戻しが進んでいる。これは、Bybitが顧客補填のために買い注文を入れることを見越した動きであると考えられる。
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デリバティブ市場全体としては、ニュートラルに近い状態にあり、市場は徐々に冷静さを取り戻しつつある。
関連:Bybit、史上最大規模のハッキング 仮想通貨相場が急落
現状分析(2/22日AM8時)
過去の大規模ハッキング事例を振り返ると、事件発生直後には市場が急落するものの、その後の顧客補填期待から価格が回復するケースが見られる。今回もBybit CEOの発言後、市場は落ち着きを取り戻している。しかし、短期的にはアクティブOIがロングポジションに大きく偏っていることから、ボラティリティが高まる可能性がある。
今後の重要な日程
- 2/27日 米実質GDP
- 2/28日 米PCEデフレータ
- 3/4日 ISM製造業景気指数
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