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杜撰な管理か
米経済メディアCoinDeskは21日、米連邦保安官署(USMS)が押収した仮想通貨の管理体制に深刻な問題を抱えていると報じた。同メディアの取材によると、USMSは現在保有するビットコイン(BTC)の正確な総額すら把握できていない状況にあるという。
同報道によれば、USMSは2013年にFBIがシルクロードから押収した数十億ドル相当のビットコインを含む、法執行機関が押収した資産の管理を担当している。しかし、情報筋によると、USMSは現在の仮想通貨保有額について概算の把握すら困難な状況に陥っているとされる。
この問題は、デビッド・サックス米政府仮想通貨特命官が今月発表した「国家のビットコイン準備金」構想にも影響を及ぼす可能性がある。同構想は、押収したビットコインの清算を停止し、政府による購入も検討するというものだ。Wave Digital Assetsの共同創設者レス・ボルサイ氏はCoinDeskの取材に対し、「備蓄を検討する場合、フォークやエアドロップ、価格変動性など、資産の特性を十分理解している必要がある」と指摘している。
2022年に監察総監室(OIG)が発表した報告書では、USMSが仮想通貨の保管、数量化、評価、処分に関する適切な方針を欠いており、一部のガイダンスに矛盾があると指摘。特にブロックチェーンのフォークにより生成された資産を追跡する措置が整っていないことも明らかになった。
CoinDeskによると、USMSは現在、単一の従業員が小売口座を通じて資産処分を管理している可能性があるという。Addx社のジョン・ミルワード最高執行責任者は、「巨額の財務責任を伴うにもかかわらず、この業務が上級職員に割り当てられていない」と懸念を示している。
▼ 米連邦保安官署(USMS)(用語解説)
米国司法省傘下の法執行機関で、連邦裁判所の警備や被告人の護送、資産没収プログラムの管理などを担当する。1789年に設立された米国最古の連邦法執行機関の一つ。近年は、法執行機関が押収した仮想通貨の管理も担当しているが、急速に発展する仮想通貨技術への対応に課題を抱えているとされる。
トピックス:ビットコイン保有企業・国の動向