株の歴史的急落と相関強まる仮想通貨ビットコイン市場、意識されるマイナー損益分岐は

仮想通貨市況

11日の仮想通貨ビットコイン(BTC)は、前日比1.22%安の83万円とやや反発。

新型コロナウイルスの世界的なアウトブレイクに伴う経済への打撃が露呈するに従って、投資家心理が急悪化。3月上旬以降は、株や為替市場がパニックとなりリスク回避姿勢を強めたことで、ビットコイン市場にも波及した。

基軸通貨であるビットコインの存亡は、すなわちアルトコイン全般の命運も左右する。9日までにBTC急落に伴い主要アルトを中心に資金の一斉流出を招き、多くの銘柄が総悲観に陥ったと言える。

直近では、為替市場やダウ先物にも影響を及ぼす「指数売り」との相関が強まっているビットコイン市場。相関については、先ほどのBTCチャートに株価推移を落とし込むと一目瞭然だ。

株価との比較

株式投資を軸とする仮想通貨投資家の母数、及びデジタルアセットのエクスポージャーは限定的であり、コロナショック前に信用買建を行っていた場合は9日までの暴落で耐えられる水準にはないため、「追証回避売り」の現金化はすでに大半が執行されており、すでに織り込んでいるものと考えられる。過去のチャート推移から、株式市場との相関・非相関も特に認められない。

しかし、実態はともかく直近では、金融市場の歴史的な暴落局面において、「正の相関」を示すリスク資産として、一定の市場コンセンサスが形成されているように見受けられる。セーフヘイブンとされる日本円や金(Gold)や米国債(U.S. Treasuries)は、概ね「負の相関」を示しており、少なくとも現時点では、デジタル・ゴールドとして主張する向きは影を潜めつつある。

認知バイアスによるアンカリング効果が認められる場合、デジタル・ゴールドとしての希少価値や非中央集権的側面よりも、単にボラティリティの激しいハイリスク・ハイリターンな金融資産として、大勢に認識されている可能性が高い。

ビットコインは元来、2008年に発生した米国発のリーマン・ショックで歴史的な大暴落に陥った伝統金融市場ならびに、中央銀行が中央集権的に管理する米ドルなど法定通貨の”アンチテーゼ”として誕生した経緯があり、最初に生成されたジェネシスブロックには、「Chancellor on brink of second bailout for bank”」の文字が刻まれている。このため、市場からは、株や為替のクライシスにおける連れ安が顕著なことに対する失望の声も挙がっている

その一方、大衆心理や一般認識は一朝一夕で変化するものではなく、ビットコインへの審判を下すにはまだ早計かもしれない。金融緩和政策の一環で、米国のQE4(第4次量的緩和)が実行されれば、ビットコイン市場は新たな局面を迎えることになる。 量的緩和は、金利の引き下げではなく、市中銀行が保有する中央銀行の当座預金残高量を拡大させることによって金融緩和を行う金融政策だ。

QEとは、Quantitative Easingの略で、量的緩和政策のことを指す。米トランプ大統領は、マイナス金利とともにQE4(量的緩和第4弾)を要求しているとされるが、景気刺激策の最終手段としてその実効力、および副作用には賛否両論がある。

需給の都合上、金融緩和で市場に流通する資金量が増え、金余りの状況となれば、相対的にお金の価値が下がり、物価が上昇する。一般的に株価を引き上げる効果があるが、現金の価値や信用そのものを毀損するなどの副作用も懸念される。

この点について、 最大手仮想通貨デリバティブ取引所「BitMEX」のCEO アーサー・ヘイズは昨年9月、FRBによる金融緩和政策の一環でQE4を予言。「ビットコイン20,000ドルの(再来)に備えよ」と強気発言を行なった。

景気後退(リセッション)局面が明確となり、FRBの利下げに加えて量的緩和など各国の金融緩和政策が本格化した場合、ビットコイン(BTC)はその真価を試されることになる。

関連:世界的な利下げの流れは仮想通貨ビットコインにどう影響を与えるか|寄稿:タキオン

損益分岐について

カペリオール・インベストメンツのCharles Edwardsによれば、現在のBTC=8,000ドルラインは、ビットコイン(BTC)マイナーの平均損益分岐点付近にある。

中国を拠点にする世界最大規模のマイニングプール「f2pool」は、一部の旧型ASICマイナーの損益分岐点を分析。2017年に普及したAntminer S9の場合、7,518ドルと試算した。

仮想通貨リサーチ機関TradeBlockは今年2月、ビットコイン(BTC)半減期が近くなか、マイナーの損益分岐点を分析した。

マイニング業界では、BTC採掘コストを削減するため、より優れたマイニングデバイスが定期的に開発・販売されてきた。IPO(新規公開株式)を目指す業界最大手のBitmainは、最新モデルの「Antminer s17 +」を販売開始しており、想定されるマシン性能比較は以下の通りだ。

出典:tradeblock.com

これを基に、当時のネットワークハッシュレート(〜113,000,000TH/s)とブロックごとにマイニングされるBTC数(〜12.73、トランザクション料金含む)を使用して、損益分岐点を計算した場合、総コストは6,851ドルになるという。

これにより、「ビットコイン(BTC)の大手マイナーは、半減期に向けて、BTC=12,000〜15,000ドル以上を見込んでいる可能性が高いことを示唆している」と結論付けていた。

ただし、Bitmainのような大規模商用ファームでは、Antminerの導入コストは見積もりよりも下がる。

また、今回算出に用いられた電力コストは、1キロワットあたり0.006USD(0.042CNY)。マイニングが盛んな四川省の雨季の電力代平均約0.25CNY。また、内モンゴル自治区などの0.35CNYと比較しても、高い電力コストで算出されていることには留意したい。

ベネズエラやウズベキスタンなど電気代が安価な国であれば、BTCマイナーの損益分岐を4,000ドルラインまで引き下げることが出来るとの見解もある。

マイナーの収益性が損益分岐を下回った場合は、収益ラインを確保できない中小マイナーから、撤退を余儀なくされる可能性がある。 ハッシュレート値自体は下落する可能性もあるほか、採算ラインで重要な電力効率や電力代を維持できる大手マイナーがよりシェアを拡大し、寡占状態になることも予想される。

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