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2020年前半のステーブルコイン市場とUSDT(テザー)躍進を振り返る|寄稿:CoinGecko

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

USDTの躍進を振り返る|寄稿:CoinGecko

6月29日、USDT(テザー)の時価総額が10億ドルを突破しました。これによりUSDTは、BTCとETHに次ぐ3番目に10億ドルの時価総額を持つ仮想通貨となっています。

仮想通貨マーケットの重要なデータを分析、提供するCoinGeckoが寄稿する本記事では、2020年前期のステーブルコイン市場をデータで振り返ると同時に、急成長を見せるUSDTの成長要因と今後に関して考察します。

以下の図表は、上位6つのステーブルコインの基本データをまとめたスナップショットです。時価総額や取引高において、USDTが圧倒的なシェアを獲得しています。

USDT USDC PAX BUSD TUSD DAI
発行体 Tether Circle Paxos Binance Trust Token MakerDAO
時価総額 $ 96億 $ 10億 $ 2.4億 $ 1.7億 $ 1.4億 $ 1.4億
時価総額ランク 3位 19位 38位 50位 60位 58位
取引高(24h) $ 180億 $ 2.8億 $ 1.4億 $ 6,000万 $ 1.8億 $ 3000万
取引所数 317 134 107 12 139 96
ペア数 6208 351 187 89 218 168
参照:Coingecko Comparison / (情報は執筆時点2020/7/2)

そして下図は、時価総額の成長の推移を示したグラフです。USDTはこれまでも最大のステーブルコインであり続けていましたが、特にここ半年、USDTが突出して急成長を遂げています。

時価総額: Image Source

USDTを除いたデータを見てみましょう。2番手のUSDCの規模が大きく、現時点でその他のステーブルコインの間には大きな差がありません。

価総額: Image Source

USDT急成長の背景

2020年5月、USDTの時価総額はXRPを抜きランキング3位に躍り出ました。取引高(24h)でも、頻繁にビットコインを超えています。ここ1年以内のUSDTの急成長の要因は大きく3つ考えられます。

Image Source

1つ目は、Ethereumネットワーク上での発行開始です。Tether社は取引所やウォレットによるUSDT受け入れを加速させるため、2019年夏よりERC20でのUSDT発行を始めました。

下図は各ブロックチェーンプラットフォームごとのUSDT発行量の推移図です。2019年夏以降、1年に満たない間に総供給量は約2倍増加しています。

Image Source : Coinmetrics

二つ目が、仮想通貨市場のクラッシュに備えた資産の退避先としての需要の高まりです。仮想通貨の現金化は一定程度の時間を要するため、ボラティリティリスクの回避にはやや不向きな手段といえます。

しかし、ステーブルコインを使えば仮想通貨の価値を迅速に保存することができます。3月の仮想通貨市場は株式市場と連動し大きな下落を記録しましたが、USDTの供給量が爆発的に増加し始めたのはちょうどそのタイミングからです。

三つ目は、先物取引や信用取引などの仮想通貨デリバティブの加熱です。現物市場の成長鈍化とは対照的に、2020Q1の仮想通貨先物市場は前年同時期比で314%の成長を記録しました。

USDTは、BinanceやOKEx、Bybitなどの大手取引所で、主要銘柄のパーペチュアルスワップのペアとして利用されています。また信用取引では USDTが証拠金として利用されるケースも多くあります。

したがって、デリバティブ市場の成長に合わせて取引所やトレーダーがUSDTを保有する動機が高まってきているのだと推測できます。

USDTの今後

Tehter社は先日、OMG Network上でのUSDT発行開始を公表しました。OMG Networkは主にB2B領域で高速な決済処理を可能にするネットワークです。USDTの流通は、安定した通貨として商取引を加速させると期待されているのでしょう。

OMG NetworkはDAIを発行するMakerと提携しており、同ネットワーク上の決済にはDAIの利用も検討されています。しかし流動性やボラティリティの観点でUSDTはDAIに優っているため、USDTがより多くのシェアを獲得する可能性が高いと考えられます。

Image Source

着々とUSDTを発行するプラットフォームを増加させているTetherですが、一方でTron上の発行量を減少させ、Ethereum上での発行額を増加する動きもあります。6月29日、Tether社はサードパーティーが提供するトークンスワップ技術を用いて、Tron上のUSDTをERC20に変換しています。

また最近ではUSDTはDeFiエコシステムにも流入しています。先日のDeFiのレンディングプロトコルCompoundによるCOMP配布を受け、同プラットフォーム上でのUSDTの貸付額は急上昇しました。

現在DeFiエコシステム内でシェアが高いステーブルコインはDAI及びUSDCの2つです。しかし今後、USDTがDeFiに流入し、上述の2つのトークンの脅威となる可能性もあると考えられます。

企業紹介

CoinGecko

CoinGeckoは仮想通貨マーケットの重要なデータを分析、提供するサービスです。価格情報に加え、取引高、市場規模、また、取引高偽装問題を独自指標から補正した取引所ランキング、オンチェーンアクティビティの分析なども提供しています。これらのデータを通して、仮想通貨ユーザーや企業のより正確な理解が進むことを目指しています。

CoinGeckoサイトはこちら
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