CoinPostで今最も読まれています

ブロックチェーンの安全性に一石を投じる「9の理由」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ブロックチェーン技術の脆弱性
ブロックチェーンは、現時点で考えられる”最も安全性の高いネットワーク”の内の1つです。 しかし、ある研究者グループは、複数の脆弱性の存在を指摘、リスク要因として概説しています。

ブロックチェーンは本当に安全なのか?

ブロックチェーン(分散型取引台帳技術)の支持者は、複数の当事者によって検証可能であり、改ざん不可能な台帳にトランザクション(取引履歴)やスマートコントラクトを割り当てることに対して、肯定的です。

しかし、最近発表された論文では、ブロックチェーン技術の導入に関して、効率の悪さやハッキング、その他の犯罪行為が行われる「脆弱性」を指摘、警鐘を鳴らしています。

Xiaoqi Li氏、Peng Jiang氏、Xiapu Luo氏(全員香港理工大学)、Ting Chen氏(中国の電子科技大学)、およびQiaoyan Wen(北京大学)によって公表された論文によると、ブロックチェーンにはユーザーが認識しなければならない「複数の脆弱点」が見付かっていると主張しています。

ブロックチェーンがビジネスの一部として普及するにつれて、この新技術に伴う潜在的セキュリティリスクに対する慎重な調査が求められます。

この件について、Li氏と彼の共同著者は、以下のように述べています。

dApps(分散型アプリケーション)の増加につれて、アプリとインターネット間の通信プロセスおける、ブロックチェーンの「プライバシー保護のリスク」はより深刻な問題になる可能性がある。

コードの難読化、アプリケーションの強化、より信頼性の高いコンピューティングの実行」の課題に対応する技術の採用を強く推奨しています。

研究者らは、ブロックチェーンに関する「重大なリスク要因」を概説しています。

ブロックチェーンにおける”9のリスク”

目次
  1. 効率と負担の問題
  2. 51%攻撃に対する脆弱性
  3. 秘密鍵のセキュリティー
  4. 犯罪行為への不正利用
  5. 二重支払い
  6. プライバシー漏洩
  7. スマートコントラクトの脆弱性
  8. スマートコントラクトの最適化
  9. 価格操作

1:効率と負担の問題

まずはじめに、ブロックチェーン自体の効率は、複雑なコンセンサスメカニズムと無効データで過剰に負担をかけてしまう可能性があります。

Li氏および共同著者は、インターネット上で採用されたコンセンサスの仕組みは、コンピューティングリソースを消費するプログラムであることに注目しています。

例えば、ブロックチェーン上で使用されている最も有名なコンセンサスメカニズムは、研究者が「コンピューティングリソースの浪費」と呼ぶ、Proof of Workです。

彼らは、PoWとProof of Stake(POS)を組み合わせた、より効率的なハイブリッドコンセンサスメカニズムを開発する取り組みをしていると述べています。

さらに、ブロックチェーンは、古くて無駄になりかねない大量のデータからもブロック情報、トランザクション情報、コントラクトバイトコードなどを生成しているような状況です。

イーサリアムにはコードが含まれていないものや、完全に同じコードを含むスマートコントラクトが多く存在しており、大半のスマートコントラクトは展開後に実行されることがありません。

つまり、データのクリーンアップと検出メカニズムは、ブロックチェーンシステムの実行効率を向上させることが出来るでしょう。

2:51%攻撃に対する脆弱性

ブロックチェーンは相互を信頼し、確立するための分散型コンセンサスメカニズムに依存しています。

しかし、コンセンサスメカニズム自体は「51%攻撃の脆弱性」を含有しており、悪意を持った攻撃者が結託した場合、ブロックチェーン全体を支配することすら可能なのです

さらに正確にいうと、PoWベースのブロックチェーンにおける一人のマイナーのハッシュパワーが50%以上を占めることになった場合、51%攻撃が行われる危険性が生じるのです。

したがって、複数のマイニングプール内でマイニングパワーの集中が起こることで、単一のプールがすべてのコンピューティングパワーの半分以上を制御することになるなど、”気付かぬ内に最悪な状況を招くリスク”も考えられます。

3:秘密鍵のセキュリティー

ブロックチェーンを使用する際、ユーザーの秘密鍵は、第三者機関ではなくユーザーによって作成され、自分自身で管理する「IDやセキュリティ資格」として見なされます。

たとえば、ビットコインブロックチェーン上にコールドストレージウォレットを作成する場合、ユーザーは秘密鍵をインポートする必要があります。

ある攻撃者は、署名プロセス中に十分なランダム性を作成していなかった「ユーザーの秘密鍵」を復元、盗難することに成功しています。

最重要情報である秘密鍵を、万が一紛失してしまった場合、復元することはできません。

ブロックチェーンは一元管理された第三者信頼機関に依存しないため、ユーザーの「秘密鍵」が盗まれた場合、犯罪者の行動を追跡し、変更されたブロックチェーン情報を元に戻すことは現実的に困難です。

4:犯罪行為への不正利用

ビットコインをサポートするサードパーティーの取引プラットフォームと通じて、ユーザーはさまざまな製品を売買することが可能です。

このプロセスは匿名であるため、ユーザーの行動を追跡することは厳しく、法的措置を講じることは容易ではありません。

ビットコインを使用した主な犯罪行為としては、ランサムウェア、ダークウェブでのマネーロンダリングなどが挙げられます。

5:二重支払い

ブロックチェーンのコンセンサスメカニズムは、トランザクション自体を検証することは可能なものの、二重払いの回避や、取引時に同一仮想通貨を複数回使用することに対して、現時点では対策がありません。

攻撃者は、2つのトランザクションにおける、「開始(initiation)と確認(confirmation)」の中間時間を利用して、素早くに攻撃することが可能です。

6:プライバシー漏洩

ブロックチェーンにおけるプライバシー保護対策は、現時点ではそれほど堅牢なものではありません。 犯罪者のスマートコントラクトは、機密情報の漏洩、秘密鍵の盗難など、現実世界におけるあらゆる犯罪(殺人、放火、テロなど)を容易に結び付けてしまうリスクが否めません。

7:スマートコントラクトの脆弱性

ブロックチェーン上で動作するプログラムであるスマートコントラクトは、プログラムの欠陥によるセキュリティーの脆弱性が存在する可能性があります。

ある調査では、19,336件のイーサリアムスマートコントラクトの内、8,833件に対して、

  • トランザクションの配列依存
  • タイムスタンプ依存
  • 例外的な処理ミス
  • 直接的な脆弱性
などのバグに対して、脆弱性が認められました。

8:スマートコントラクトの最適化

ユーザーが、イーサリアム上にあるスマートコントラクトとをやりとりした場合、一定量のGas(ガス)が課金され、ガスはイーサリアム内の仮想通貨である”Ether”に交換されます。

9:価格操作

イーサリアムは、遂行時間、バンド幅、メモリー占有率などのパラメーターに基づいてガス値を設定しています。

一般的に、ガスの値段はオペレーションによって消費されるコンピューティングリソースに比例しますが、個人操作のコンピューティングリソースの消費があるため、ガス価値の一部は適切に設定されているとは言えません。

例えば、I/Oバウンドなオペレーションはガスの値段が低すぎるため、一回の取引でこの操作を実行することができるのです。

この方法を使うことで、攻撃者はイーサリアムに対してDDoS攻撃を仕掛けることが出来ます。

9 reasons to be cautious with blockchain

Joe McKendrick March 17, 2018

参考記事はこちらから

CoinPostの関連記事

仮想通貨・ブロックチェーン導入を検討している注目5大企業
今後のブロックチェーンや仮想通貨業界に関する予測はあくまでも予測であって、確実なものではないということを念頭に置いておく必要があります。様々なリスクがあることを改めて把握する必要性がありそうです。
期待と不安:ブロックチェーンとビットコインが持つ二つの側面
ビットコインをはじめとした仮想通貨は、革命的な成長産業の一つですが、犯罪などに不正利用されるリスクもあります。当記事では、さまざまな分野でブロックチェーンの活用法が模索される中、特に有望なプロジェクトと応用例について解説しています。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/25 木曜日
17:42
ワールドコイン、仮想通貨WLDのトークンセールを計画
Worldcoinが個人認証に基づくベーシックインカムプロジェクトの拡大へ、機関投資家限定で暗号資産(仮想通貨)WLDのプライベートセールを計画。市場価格に近い価格で提供し、転売禁止やロックアップ措置を導入する。
15:00
ビットコイン強気相場継続の根拠、アーサー・ヘイズ氏語る
仮想通貨取引所BitMEXの創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ氏は、世界各国で法定通貨の供給量が拡大し続ける中、ビットコインをはじめとする仮想通貨の強気相場は今後も継続するとの考えを示した。
13:20
2028年の半減期に向けてビットコイン価格など5つの予測=Bitwise
Bitwiseの最高投資責任者は次の半減期までにビットコインに起こる5つのことを予想。ビットコイン価格は約3,880万円以上になるとする予測も含まれる。
10:25
ビットコインの供給インフレ率、金を下回る=レポート
Glassnodeは4回目の半減期についてレポートを発表。ビットコインの供給インフレ率がゴールドよりも低くなり、希少性が増したと述べた。
08:15
zkSync基盤のWeb3ゲーム企業Tevaera、野村などから7.7億円調達
TevaeraはzkSync上でレイヤー3のゲームチェーンを立ち上げる予定で、年内に200万人のプレイヤーと12人のゲーム開発企業をTevaeraエコシステムに参加させようとしている。
07:00
ジャック・ドーシー率いるBlock、店舗売上をビットコインに変換へ
新たに導入する予定の機能は「Bitcoin Conversions」というもので、Cash Appのアカウントを持つSquareのユーザーは、店舗収益の最大10%を仮想通貨ビットコインで受け取ることができるようになる。
06:10
米司法省、バイナンス創業者CZ氏に懲役36ヶ月求刑
仮想通貨取引所バイナンスの元CEOのCZ氏は自分の「不適切な決断」を謝罪し、自分の行動の全責任を受け入れる内容の手紙を2月に提出した判事へ提出したことが明らかになった。
04/24 水曜日
17:00
「BTCは上昇トレンドに入る可能性」SCB銀
仮想通貨ビットコインは再び上昇トレンドに入る可能性があるとスタンダードチャータード銀行が分析。今回もビットコインとイーサリアムの価格予想をしている。
16:23
Block社(Square)、ビットコイン採掘産業の分散化に向けて高性能チップを開発完了
デジタル決済企業ブロック(旧Square)が、3ナノメートル技術を採用した最新のビットコインマイニングチップ開発を完了。このプロジェクトはオープンソース化され、ビットコインマイニング業界の分散化を推進することを目指している。
15:09
WebX2024、最大73%割引の「開幕セール」終了まで残り1週間
株式会社CoinPostが主催する日本最大のWeb3カンファレンス「WebX2024」にて、チケット販売を開始しております。2024年4月30日まで、最大73%割引のお得な開幕セールを実施中です。
14:35
米ブロックチェーン協会ら、仮想通貨業界の声をまとめSECを提訴
米ブロックチェーン協会とテキサス州暗号資産自由同盟は、米証券取引委員会が新たに制定したディーラー規則の阻止を求めて、SECを提訴した。
13:00
香港の現物ビットコインETF 4月30日にも発売かー報道
香港でボセラとハッシュキーキャピタルが提供するビットコインETFが取引を開始すると報じられた。2社の現物ビットコインETFは、価格安定性が高く、投資家に直接的な市場価格連動のメリットを提供する。
12:09
半値戻しのビットコイン、投資家心理改善で買い先行
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが66000ドル台まで反発し、50MA手前で一服した。イランとイスラエルを巡る中東リスク後退で米国株式市場でも買い戻しが先行しており、投資家心理が改善した。
12:00
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、70日連続流入を記録
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が70日連続で資金流入を記録した。運用資産は約2.8兆円に達している。
11:00
リップル社、SECによる20億ドルの罰金提案を過大と反論
リップル社は、XRPをめぐるSECとの裁判で新たな書類を提出。リップル社に対して約3,100億円の罰金支払いを求めるSECの主張に反論した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧