DAIの担保資産
暗号資産(仮想通貨)の融資プラットフォームMakerDAOでロックされている担保資産の40%ほどが中央集権型の仮想通貨から構成されている。TheBlockの最新リサーチデータで判明した。
MakerDAOは、イーサリアム(ETH)やBasic Attention Token(BAT)、ステーブルコインUSDCなどの資産を担保として、ステーブルコインのDAIを発行する融資プラットフォーム(DeFiの一種)だ。
本来、DAIの発行でイーサリアム単体を担保資産としていたが、リスクの分散化を目的にイーサリアム以外の銘柄も担保資産として受け入れるようにした。
TheBlockがまとめたデータによると、1つのDAIにあたり、担保資産の39.27%が中央集権的組織によって発行される仮想通貨にあたる。ここでいう中央集権型の銘柄とは、米コンソーシアムCentreが発行するUSDC、TrustTokenが発行するTUSD、Paxosが発行するPAX、および大手カストディ企業BitGoが発行するERC20版ビットコインのWBTCトークンだ。
DeFiにおける担保資産がより中央集権的になる傾向に対し懸念を示す有識者がいる。スイスのdApps関連企業Validity Labsの共同創設者Sebastian Burgelはツイッターで、「テロへの資金提供などの疑いで裁判所がこれら40%ほどの資産を凍結したりするリスクは軽視できない」と指摘した。
USDCのような中央集権型仮想通貨が裁判所の命令によって利用できなくなる懸念はDeFi(分散型金融)セクターでの利用向上とともに募っている模様だ。中央集権的組織によって発行されるため、仮に政府が介入し資金の移転を差し止める命令を出せば、発行企業は応じざるを得ない状況になり得る。担保資産の一部がなくなることで、DAIの債務者デフォルトが起きるリスクは高まるという。
実際、6月に10万USDC(約1070万円)を保有するアドレスが、ブラックリストに追加されていた。Centreが当時、法執行機関からの要請に応じて当該資産を凍結したという。
中央集権型への指摘が見られる一方、ブラックリスト機能がハッキングやマネーロンダリングの抑止に繋がるといった前向きな観点もあった。
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