司法省、仮想通貨に関連した取締りに係るフレームワーク
米司法省が仮想通貨に関連した取締りに係るフレームワークを公開した。文書は仮想通貨による脅威、法執行機関の取締り、および将来の戦略の3構成で、初めて明確なフレームワークとして発表されたものになる。
同フレームワークは、司法省のWilliam Barr司法長官が発表し、「目的は、仮想通貨の利用が公衆安全および国家安全の脅威にならないようにすることだ」と説明。「連邦の法執行機関がどのように仮想通貨セクターにアプローチするかを説明する最初のフレームワークとなる」と伝えた。
Barr司法長官の前任者であるJeff Sessions前司法長官が2年前に立ち上げた「サイバーデジタル作業部会」が仮想通貨・ブロクッチェーンセクターを研究し、今回のフレームワークを策定、リリースに至ったとしている。
違法利用について
フレームワークによると、仮想通貨の違法利用は3つの種類がある。
①犯罪の委託、②資金洗浄および脱税等、③ハッキングや盗難の3つに分けられている。
また、DeFi(分散型金融)の急激的成長についても言及し、2017年のICOブームが関連すると表現した。文書では、「数年前のICOブームが現在の分散型金融市場拡大へと進化したため、市場構造はより複雑になり、法執行機関が投資家を保護することもより困難になっている」と指摘した。
プライバシー通貨と資金洗浄
資金洗浄の面では、プライバシー通貨(匿名通貨)の取引を行うトレーダーが「ハイリスク行為」に関わっているとした。
フレームワークで指定される「匿名機能強化型仮想通貨(AECs)」には、モネロ(XMR)、ジーキャッシュ(ZEC)、ダッシュ(DASH)の名前が挙がった。これらの銘柄のトランザクションは、資金洗浄対策およびテロ資金対策の妨げになり得るとの見解を示した。
「司法省は、AECsの利用が犯罪行為の可能性を示す一つのシグナルとみなす」と説明。犯罪行為のために利用する、ミクサーやタンブラー、チェーンホッピングなどの秘匿性トランザクションの関連手法も紹介した。
仮想通貨の犯罪に関する取締りについては、海外に関連した犯罪行為も米司法省が対処する権限を持つと説明。例に、海外に法人を置く企業などのエンティティでも、行なう仮想通貨のトランザクションが国内の金融や、データストレージ、その他のコンピュータシステムに関われば司法省は該当する海外の国に容疑者の引き渡しなどの協力を求めるとした。
仮想通貨を使って米国内でのテロ活動を支援する外国人に対しても、告発することができると警告している。
仮想通貨技術のメリット
一方、取締りの内容だけでなく、仮想通貨技術のメリットについても紹介している。
フレームワークでは、デジタル資産が米国の成長にとって重要な機会であるとし、「価値の保存および交換における変革的手段」とみなしている。
また、セクター参加者が規制当局と連携し、イノベーションを推進しながら技術・投資家を保護するソリューションを考案することを呼びかけた。
参考:司法省公式