ビットコインへ投資家の関心が高まる
米大手仮想通貨(暗号資産)ファンドのグレースケールが、6月末から7月初旬にかけて実施したビットコインに対する投資家の意識調査で、回答者の半数以上がビットコイン投資に興味を示していることが明らかになった。
調査対象になったのは、アメリカ国内の投資家1,000人で、年齢25歳~64歳、世帯収入5万ドル(約522万円)以上、投資可能な資本(年金プランや不動産を除く)が1万ドル(約105万円)以上の個人。なお、回答者全員が何らかの形で投資を行っていた。
2年目となる「ビットコイン投資家研究」と題されたレポートでは、新型コロナウィルスの影響により、世界が急激な変化を余儀なくされた今年、ビットコインは資産の「安全な逃避先」として、昨年よりさらに魅力的な投資対象となったと指摘している。
投資の主流となる日に向け前進
今年の調査では、ビットコイン投資に関心があると答えた回答者は55%で、昨年の36%から大幅に増加した。この数字をアメリカの全世帯数に反映させると、約3200万世帯がビットコイン投資に興味を持っていることとなる。(2018年の総世帯数:1億2759万世帯)
また、投資家の62%(昨年は53%)がビットコインに馴染みがあると回答。さらに回答者の半数近くが、今後10年で、デジタル通貨が主流と認識されるようになると予想した。
既にビットコインに投資しているグループの83%は、過去1年以内にビットコインを購入しており、一般投資家が投資ポートフォリオにデジタル通貨を組み入れ始めたことが明らかになった。中でも、過去4ヶ月以内(3月以降)にビットコインを購入した投資家が最も多い割合(38%)となっている。
ビットコイン投資の動機
レポートでは、ビットコイン投資に関心を持った要因についても調査している。その一つが、小額から投資を始め、時間をかけて投資を増やしていくことが可能なことだ。昨年は回答者の59%、今年は65%がビットコイン投資を動機づけた要因として挙げている。
ビットコイン投資家の割合が最も高い世代は、25歳から34歳であることを考慮すると、株式や債券などよりも、小額から投資を始められるビットコインは参入しやすい資産クラスであるということだろう。
さらに、ビットコインが大きな将来性を持った資産であるという認識も、ビットコイン投資を動機づける強力な要因となっている。昨年は51%が、今年は59%の投資家が、ビットコインの価格上昇の可能性が投資の動機となったことを挙げている。なお、既にビットコインに関心を持っていた投資家グループでは、この数字は79%とさらに高くなっている。
パンデミックが投資判断に与える影響
今年は、新型コロナウィルスのパンデミック化により、投資コミュニティも大きな影響を受けた。
過去4ヶ月以内にビットコインに投資をしたと回答した投資家の3分の2が、コロナの感染拡大が、デジタル通貨へ投資する決断に影響を与えたと報告した。これはビットコイン投資家全体の38%を占める割合だ。
また、パンデミックの影響でビットコイン投資の魅力が高まったと回答した投資家は、そうでない回答者の3倍(39%)となった。
さらに、希少性や検証可能性、他の世界市場との相関性の欠如、政府機関から管理されないといった特性をビットコインが持っていることから、回答者の多くが、ビットコインを資産の安全な避難先として認識していることがわかった。
ビットコインに興味を持っている投資家は、市場の変動が大きい場合や景気後退の場面では、「避難先としての投資」を行うと回答した割合が82%と高く、ビットコインをその避難先と考える傾向(38%)が強いようだ。(ビットコインに関心のない投資家では、これらの回答がそれぞれ38%と4%だった)
デジタル世代の投資家が長期的な成長を後押し
レポートは最後に、「デジタル通貨革命」はインターネットから得られる膨大な情報を活用し、投資の判断を行ってきた新世代の投資家が推進してきたと指摘。そしてこのデジタル世代が成熟するにつれ、デジタル化された価値に投資することが自然となると主張している。
さらに、現在および潜在的なビットコイン投資家の大部分は、まだ「人生最大の稼ぎ時」には至っておらず、今後25年間で68兆ドルと見積もられている世代間の富の移転と相まって、ビットコインの長期的な成長にとって「巨大なチャンス」となる可能性があると結んだ。