「プライバシーが大前提」
ボストン連邦準備銀行の応用リサーチ統括者ロバート・ベンチ氏が、中銀発行デジタル通貨(CBDC)について、最初からプライバシーの側面を重視すべきだと主張した。
13日に開催されたデジタルコマース商工会議所のイベントに登壇して、ベンチ氏はこれまでの調査で、プライバシーやID(身元確認)を巡る課題は、CBDCアーキテクチャの初期段階で検討する必要があることが分かったと指摘。
プライバシーやIDの機能を後から追加することは、セキュリティ機能が落ちる原因になるとして「政策立案者が早くから検討する必要がある事項」で「後付けすると、最初から設定しておく場合よりうまく機能しない」と説明する。
この議論に参加した、テザー(USDT)の共同創設者クレイグ・セラーズ氏は、現在社会で交換媒体としてもっとも普及している現金について 「P2Pレベルでの交換可能性、プライバシー性、匿名性」を持っており、このような匿名性を標準とするべきと発言。
デジタルドルが紙幣ドルよりも人々の自由を制限してしまうものならば、それを受け入れるべきではないと付け加えた。
欧州・米国中銀もプライバシーを課題に挙げる
デジタル通貨(CBDC)の発行可能性を検討する気運は、世界各国で高まっているところだが、プライバシーの問題は、しばしば挙げられる課題の一つである。
欧州中央銀行が開催した中央銀行についての年次フォーラムの席でも、欧州、米国、英国の代表者がそれぞれCBDCについて前向きに検討している姿勢を示したが、欧州中央銀行(ECB)総裁と、FRB議長の両方がCBDCの課題としてユーザーのプライバシー保護を掲げていた。
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁はその他にも「マネーロンダリング、テロ資金調達」などのリスクにも触れ、デジタルユーロの立ち上げには、少なくとも2~4年はかかるとした。
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一方で、「デジタルルーブルの発行は非常に現実的」と語り、2021年末からテストを開始すると明かしたロシア中央銀行は、デジタルルーブルは機密性を高めると語った。
CBDCでは金融取引の透明性が高まり、現金取引と同じ程度の「匿名性」は存在しないものの、機密性(プライバシーを守る機能)は高まる見込みだという。ロシア中銀以外の機関が取引記録を閲覧できるかどうかは、まだ未定だという。
デジタルルーブルは、市民、企業から州など、すべての経済主体が利用可能な支払い手段、価値の物差し、価値の保存という、通貨の機能3つを備えるものとして構想されている。
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