DeFiの持つ広範な可能性
仮想通貨(暗号資産)に特化した情報開示プラットフォーム「Xangle」が、急成長するDeFi(分散型金融)について「DeFiが世界を変える11の方法」という題名のレポートを発表。DeFiの可能性について、11のカテゴリーに分けて、それぞれの可能性を論じている。
Xangleは今年注目を集めたDeFi市場を以下のように分類した。(1)分散型予測市場、(2)分散型デリバティブ、(3)分散型自治組織、(4)分散型融資、(5)分散型保険、(6)分散型取引所(DEX)、(7)分散型資産運用、(8)分散型支払いシステム、(9)トークン化、(10)分散型ID検証、(11)分散型ステーブルコイン
この記事では、その中からいくつか紹介する。
分散型融資
分散型プラットフォーム上での融資は、一般的に何らかの形で仮想通貨を貸し出すものだ。主な利点としては、銀行など従来型金融機関の仲介なしですませられること。
DeFi融資プラットフォームは、ブロックチェーン技術を利用したスマートコントラクトにより、取引処理を行う。融資プロセスは「貸し手は、貸し出す資産を持っているか」、「借り手は必要な担保を持っているか」という、非常に単純化された枠組みで行われる。
このため近い将来には、銀行口座を持たない人々に融資を行うための土台になり得ると期待されている。レポートによると、現在、金融機関がサービスを提供していない辺境地域でも融資サービスを実現する可能性があるという。
分散型保険
中央集権型取引所と比べて、ハッキングなどがあった時の補償については得られない可能性が多いDeFiだが、DeFi保険に加入することによって、リスクを抑えることが可能だ。
毎月または毎年の保険料と引き換えに、投資家は保護を得られる。
例えばDeFi保険「Nexus Mutual」は、スマートコントラクトのコードの潜在的なバグについてコミュニティが共有することで、分散型コミュニティのハッキングやウォレットの脆弱性などのリスクを緩和できるもの。
さらに、DeFi以外の様々な保険を提供するプロジェクトも存在。「Nexus Mutual Etherisc」は、保険商品を構築できる分散型のプロトコルを提供しており、そこでは仮想通貨ウォレットへの保険から、航空機のフライト遅延保険、ハリケーン関連保険まで、様々な保険商品を構築できる製品テンプレートを用意している形だ。
分散型取引所(DEX)
DEXは運営の多くを、可能な限りスマートコントラクトで行う。意思決定やシステムの実際の運用は、スマートコントラクトと、取引所の参加者の間で分け持たれる。つまり理論的には、より民主的なガバナンスを行うことが可能だ。
恣意的な決定をすることもあり得る中央集権的な管理者を不要とし、またユーザーが支払う手数料も下げられる。
分散型資産運用
分散型資産運用は、従来型資産運用サービスに代わる選択肢ともなる。現在のところ、DeFi運用サービスは、主に仮想通貨投資を扱っているものの、時間の経過とともに伝統的な資産クラスに拡張される見込み。
DeFiではスマートコントラクトにより、手数料や一定期間後の資金のロック解除などが自動化可能だ。利点としては透明性の向上、プロセスの安全な自動化、記録の不変性などが挙げられる。また、管理者とユーザーの間の資金をめぐる係争を回避したり、横領をより困難にするのに役立つ可能性もある。
2020年に仮想通貨市場で話題となったDefiは、ブロックチェーン技術を実生活で活用できる事例として注目を集めた。今回のレポートは、具体的にどのような面で適用できるのか、その可能性を把握するものとなった。
参考:Xangle