仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)
Sparkトークンのスナップショット(権利確定日)を終えたXRP(リップル)は、12日9時すぎより価格を大きく押し下げ、来年1月に新通貨シンボルへの大型アップデート及びスナップショットを控えるXEM価格が、9時すぎに出来高を伴って急騰した。一部投資家の資金が循環した可能性を示唆する。
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仮想通貨のデータ分析サイトSantimentによれば、1000万XRP以上を保有するアドレスは、過去3週間で史上最高の339まで急増しており、Sparkトークンの状況が投資家に強く意識されていたことを伺わせる。
🐳 Leading up to tomorrow's $SPARK airdrop, #Ripple's addresses have grown rapidly. Particularly, addresses with 10M or more tokens (currently $5.67M or more) have risen to an ATH # of 339. This looks promising for the tier that has the most $XRP at stake. https://t.co/x7TV1Pt23n pic.twitter.com/iw9Oc6U87o
— Santiment (@santimentfeed) December 11, 2020
ビットコイン(BTC)市場
週明け14日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)価格は、前日比+2.17%で200万円台を一時回復した。
先週の相場では保ち合いを下抜け調整色を強めたが、17500ドル台で下げ渋ると週末にかけて再び反転。わずか2日間で保ち合いラインのレジスタンスを打ち破り19,000ドル台に回帰するなど、下落トレンドを否定する反発を見せた。
一方で、19,400〜19,500ドルは、直近反落した水平線の強い抵抗帯が存在している。
高騰の背景に金ETF市場からの資金流入
ブルームバーグが報じた米大手銀行のJPモルガン・チェースの調査によれば、今年10月以降、ゴールド連動型上場投資信託(ETF)から70億ドル相当が流出し、グレースケールのビットコイン・トラスト(GBTC)」に20億ドル相当が資金流入した。
機関投資家がポートフォリオを組み替えている可能性を示唆する。ゴールド市場の市場規模はおよそ9兆ドル(1000兆円規模)とされるが、ビットコインの時価総額は3400億ドル(36兆円規模)に留まっており、現時点でファミリーオフィスの資産に占める比率は、金ETFがビットコインの約20倍にあることから、追従する可能性も考えられる。
企業財務部門は、ビットコインを予備資産にすべき
直近数ヶ月のビットコイン高騰の背景には、マクロ要因の影響が指摘される。
新型コロナ感染拡大に伴う世界経済の立て直しを図る、FRBの量的金融緩和(QE)である無制限の資産買い入れプログラムなどを背景に、マイナス利回りの世界的な債券残高は、過去最高の18.4兆ドル(約2000兆円規模)まで膨らんだ。
金融経済がかつてない状況に陥るなか、機関投資家によるビットコインやゴールドなど代替資産への熱視線はますます強まっている。ドイツの著名経済ジャーナリストHolger Zschaepitz(@Schuldensuehner)氏が13日に指摘した。
#Bitcoin rallies >$19k again as institutional interest grows as the global volume of negative-yielding debt hit fresh ATH of $18.4tn. Life insurance giant MassMutual has announced it has already invested $100mn in Bitcoin for its general fund. pic.twitter.com/BSbIFV6bft
— Holger Zschaepitz (@Schuldensuehner) December 13, 2020
先日、生命保険大手のMassMutualが、ビットコインに1億ドルを投じたことも発表された。
ビットコインの巨額購入で反響を呼んだ、米ナスダックに上場するビジネスインテリジェンス企業MicroStrategyのMichael J. Saylor会長は、インフレーションを懸念する。
同氏によれば、「市場に流通する通貨供給量を示す”マネーサプライ”は過去10年間、年5.5%拡大してきたが、新型コロナのパンデミックを経て、今年は+24%と飛躍的に拡大。今後年間15%ペースで拡大する見込みである。言い換えれば、今後3〜5年で資産価値が半減し得ることを意味する。米ドルなど現金がインフレすれば、その分債権、不動産、株式の価値が失われかねない。」と警鐘を鳴らした。
その上で、「金や銀、珍しい芸術品で現在のポートフォリオを代替するのか?私は、デジタル空間に存在するビットコインと呼ばれる2100万枚の”金貨”が価値を保存手段として最も優れているとの結論に達した。」などと主張し、「すべての企業財務部門は、ビットコインを主要な予備資産として使用すべき」との持論を展開した。
すでに4万BTCを超え巨額の暗号資産を保有するMicroStrategyは12日、ビットコインの追加購入を視野に転換社債(convertible notes)を販売、約680億円(6.5億ドル)の調達を発表するなど、強気姿勢を堅持している。
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歓迎する向きがある一方、米大手銀行シティバンクのアナリストは、「過剰リスク」だとしてMicroStrategy株に対する評価を引き下げるなど、市場判断は割れている。
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