デジタル通貨の取り組み加速を
自民党の村井ひでき議員は、「デジタル通貨には官民一体の取り組みが必要」だとの認識を示した。ロイターの取材に答えた。
村井議員は衆議院議員であり、金融調査会デジタルマネー推進PTの座長を務めている。同チームは今月3日にも会合を行い片山さつき議員なども参加、デジタル通貨についての提言をまとめている。
村井議員は「日本は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のポテンシャルを最大化できるよう追い求めるべき」と取材で答えた。
また、日本は既存の決済システムを強化するといった他の方法にも柔軟に対応できるようにしておくべきだとも付け加える。
民間ビジネスに配慮する方向性は、3日に行われた提言の中でも触れられており、利益を求めない国家事業は、民間の革新的なビジネスを長期にわたって阻害する恐れが指摘される。
CBDCは、民間も含めた決済エコシステム全体の中で相応しい制度設計が検討されるべきであり、民間事業者のニーズを吸い上げることが大切である。(提言より)
国内では、近年QRコード決済の普及が急速に進むなど、民間主導のキャッシュレスへの取り組みが目立つ。政府もキャッシュレス支援策としてマイナポイント制度などを設けた。
民間との協業として具体的には、「日銀と財務省・金融庁及び民間事業者から成る連絡協議会を設置する」ことなどがデジタル通貨の実証実験の状況を共有する仕組みとして挙げられている。
村井議員は「CBDCの存在が民間企業にとってどのようなことを意味するのかを理解してもらうことが重要」と語る。同時に、政策決定者もまた、民間が何をしているのか、より深い理解を持たなければならないとした。
デジタルマネー推進PTによる提言
同提言では、中国がここ半年で既にデジタル人民元の実地実験を市民を対象に実施しているなど、急速にデジタル通貨に対する取り組みが進んでいることを受け、国内においても取り組みを加速していく必要があることが示されている。
CBDCを発行する意義としては、「ニューノーマル時代にふさわしい決済システムの構築」、「我が国の通貨主権の確保」、「米ドルを中心とした国際通貨体制の維持」が挙げられた。
留意する点としては、信用創造への影響、民間主導で進められてきたキャッシュレス高度化の取り組みへの影響、セキュリティ、プライバシー保護への対応が挙げられた。
既報の通り、日本のCBDCは、現在「概念実証のフェーズ1」にあり、2021年度の早い時期の開始を目指している。システム的な実験環境を構築し、CBDCの基本機能(発行、流通、還収)に関する検証を行うものだ。
提言では、2020年度中には発展的な概念実証を行い大枠を決定したうえで、それを踏まえて民間事業者や消費者が参加するパイロット実験をスタートさせることを示している。
また、パイロット実験への速やかな移行に向けて、前述の官民双方向の連絡組織が提案された。