CoinPostで今最も読まれています

バイナンスの日本参入、可能性は? CZ氏が語る今後の展望

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CZ氏とのQ&Aセッションに参加

仮想通貨(暗号資産)取引所世界最大手のバイナンスのChangpeng Zhao CEO(通称:CZ)が、仮想通貨メディアと対話する機会を設けた。同氏とのQ&AセッションにCoinPostも参加し、見解を伺うことができたので紹介する。

出典:CoinPost

リップル社訴訟について

CZ氏は、米証券取引委員会(SEC)が証券法に違反するとして、リップル社を提訴した問題については次のように回答した。

一般のメディアで公開されていること以上のことは知らないが、「ソフトな合意」に達することを願っている。

仮想通貨業界はまだ新しく、規制が明確でない部分も多い。初めから明確なルールがあれば、業界の誰にとってもやりやすいのだが、残念なことに、裁判や訴訟を通して業界が定義されている流れがある。全ての業界が完全に規制に準拠し、安全に運営されることが望ましいが、新しい産業にとって、それは難しい。

この訴訟が全般的にうまく展開し、業界に大きなダメージを与えないことを願っている。

日本再上陸の可能性

日本でバイナンスの事業展開を望む声もあるが、CZ氏によると、その可能性は低いという。バイナンスチームは2017年、その可能性を調査した上、最終的に断念した経緯がある。

2017年4月、世界に先駆けて日本政府がビットコインの法的地位を認め、金融庁が取引所に登録制を導入したことから、CZ氏は日本に拠点を置くことも真剣に検討したようだ。

しかし、登録申請のルールを調査するにつれ、取引所が扱うことができるコイン数の制限が、当時すでに80の仮想通貨を上場していたバイナンスにとって、最大のネックだと判明したとCZ氏はコメント。当局とも交渉を重ねたが、最終的には金融庁からの正式通告を受け、日本市場への進出を断念するに至ったという。

現在でも、「日本の状況はそれほど変わっていない」とCZ氏は言う。「金融庁が承認した30種の通貨」しか取り扱うことができないなど、制約の厳しい構造下では、独自の上場基準で積極的に多数の通貨を取り扱うバイナンスのビジネスモデルが上手く機能しないとしている。

また、例え日本円から仮想通貨へのオンランプが可能になったとしても、日本側の制限により、日本のユーザーをBinance.comに移行することはできず、ビジネスの相乗効果も期待できない点を懸念した。

CZ氏は、日本企業の買収を通して市場に参入する選択肢も検討したと言う。しかし日本での営業許可を取得したとしても、「バイナンスの強みを生かせない市場環境下では、日本の競合他社に対する優位性が得られない」との結論に至ったようだ。

日本の取引所は銀行と良好な関係を築き、中には上場企業が所有するものもある。また、日本にはすでに21の取引所があり、市場を熟知し、強力なマーケティングを行い、多くのメディアへの露出度が高いと分析している。CZ氏は、これらは「バイナンスの得意分野ではない」と胸の内を明かした。

米コインベースのIPOとバイナンスIPOの可能性

米最大手仮想通貨取引所コインベースが検討するIPO(株式市場への上場)の件について尋ねられると、CZ氏はバイナンスとの違いを指摘した上、「バイナンスはIPOは視野に入れていない」とし、次のように説明した。

伝統的な企業にとって、IPOは「良い方法」だが、仮想通貨業界にはより多くの選択肢がある。3年前にICO(イニシャル・コイン・オファリング)による資金調達を行ったバイナンスは、現在でも問題のない十分な資金を得ることができたと言う。またユーティリティトークンも活用している。

コインベースは2011年に設立された、業界でも歴史のある成功した企業であるのに対し、バイナンスの設立は3年半前。スタートアップとして、最初期を乗り越え、現在は「成長途上」にあると考えている。

一方、コインベースのIPOは、おそらくバイナンスを含む多くの仮想通貨ビジネスの評価を高めることにつながると考えており、「コインベースCEOのBrian Armstrong氏に賞賛を贈り、心からその成功を願っている」とした。仮想通貨ビジネスのための「別のドア」を開くことになるIPOの実施は、業界の正当性を立証することになるだろう。

中国のデジタル通貨と中国進出について

CZ氏は、中国進出の可能性について尋ねられると、まず、その可能性はないと理解していると答えた。しかし、中国政府が推進するデジタル通貨(デジタル人民元=DCEP)についてはポジティブに見ているようだ。以下はCZ氏の弁。

「DCEPは極めて迅速に推進されており、進捗は良好なようだ。このような断固たる実行力が中国の強みであり、業界にとっても素晴らしく良いことだ。」「デジタル通貨に関する良質な教育の一環として、また中国の人々全てにブロックチェーン技術の信頼性を提供することができる。技術的な観点からも、力強く採用が進んでいくのではないか。

しかし、DCEPがどのような形で成功するかはまだわからない。中国のやり方を考慮すると、ブロックチェーン技術を活用した中央銀行発行のデジタル通貨を持つことが目標だと推測している。だとすれば間違いなく可能であり、評判も良いだろう。

一方で、中国も含めた、中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)は、ビットコインに比べ制限的なものになると思う。世界中の誰にでも送れて、誰からもブロックされず、本人確認やマネロン対策も必要ないといった自由度はない。

CBDCはネイティブの純粋な仮想通貨とは異なるもので、いわば法定通貨と仮想通貨の中間的な役割を果たすのではないか。”中間的な存在”があるのは良いことでもあり、将来的にCBDCを統合していく方法が見つかれば、統合してサポートしていきたいと思う。バイナンスの立場から言えば、CBDCも含め、できるだけ多くの仮想通貨へのアクセスをユーザーに提供したいと考えている。

ただ、CBDCの採用のスピードについては、まだまだ様子を見る必要があるだろう。

”後継者”にも言及

CZ氏は、それほど遠くない将来、CEOの座を退く可能性も視野に入れているようだ。

取引所としてのバイナンス 「Binance.com」は、強力なリーダーとチームに支えられ、ビジネスとして比較的成熟してしているため、同氏自身が個人的に時間を費やす必要性が低くなってきていると言う。大まかな構成を決めた後は、実際のプロジェクトの詳細や選定には関わっておらず、短期的に緊急性の高いものはCZ氏に依存することのないような体制を作り上げているとのことだ。

同氏は、戦略的に重要だと考えられるものに、より多くの時間を割きたいと述べている。

バイナンスは組織として、非常に自立的で、比較的フラットであり分散化されているとのことだ。また、企業として何か問題が起きてもすぐ対処できるよう「バックアップ」の存在を非常に重視しており、CZ氏を含む経営の主要メンバー全員には、その役割を引き継げる「バックアップ」する人材まで存在すると言う。

今すぐにバイナンスから引退すると言うわけではないと強調しながらも、今後2〜5年間にバイナンスを前進させられる強力な後継者と見つけたいと述べた。

そんなCZ氏が個人的に注力しているのは、バイナンスのネイティブトークンBNBを使用するエコシステムに優秀な人材を投入することであり、バイナンス・スマートチェーン(BSC)を推進するための全体的なプログラムの設計だと言う。

BNBコミュニティを成長させるため、より多くの開発者やプロジェクトをBSCに誘致するプロモーションに、多くの時間を費やしているとのことだ。目標としては、現在100〜200のプロジェクトがあるBSCを、今後1〜2年で2万以上の活発なプロジェクトが進行するようなエコシステムに育てていきたいと望んでいると述べた。

現在は規模が小さくとも、今後10年から20年の間に、間違いなくDeFiが未来になると考えているとCZ氏は強調した。

コメントしてBTCを貰おう
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/25 土曜日
17:00
金融庁、NFTの暗号資産該当性など訊ねるパブリックコメントに回答
金融庁は、各種トークンの暗号資産該当性を巡る見解や、買収された暗号資産交換業者への監督対応等に関するパブリックコメントに対して、回答を公開した。NFTをはじめ、トークンが多様化する中で、資金決済法上の暗号資産の解釈の明確化に取り組んでいる。
13:00
仮想通貨ウォレットMetaMask、EIP-4361を実装
仮想通貨の自己管理型ウォレット「MetaMask」は、EIP-4361を実装したことを発表した。Gmailなどの中央集権的なIDに代わり、自己管理型のIDとしてウォレットアドレスを使用可能になった。
12:00
米ナスダック、仮想通貨カストディサービスを間もなく開始へ
米証券取引所大手ナスダックは、2023年の第2四半期(4~6月)に、機関投資家向け仮想通貨カストディサービスの開始を目指している。ビットコインとイーサリアムの保管から始める予定だ。
11:00
米OpenAI、ChatGPTプラグイン対応開始へ
米OpenAIは、AI言語モデル「ChatGPT」にプラグイン機能の実装に向けた試験プロセスを開始したことを発表した。プラグインを使用可能になることで、最新の情報を使用するためにインターネットにアクセスできるようになる。
10:10
エルサルバドル大統領、イノベーションに免税する法案提出へ
仮想通貨ビットコインの政策を進めるエルサルバドルのブケレ大統領は、「ソフトウェアとハードウェアの技術革新」に対する税金を免除する法案を提出予定だと述べた。
09:00
ドイツ銀行株急落 米国株式市場は上昇、バイナンスのシステム障害を受けビットコイン下落
本日のNYダウは小幅に続伸し+132ドルで取引を終えた。ドイツの金融最大手ドイツ銀行の株価は一時14%急落し、金融機関への信用不安を高めた。
07:30
zkSync、zkEVMのアルファ版を全ユーザーに提供開始
仮想通貨イーサリアムのL2「zkSync」は、zkSync Eraのアルファ版が全てのユーザーに公開されたことを発表。開発企業CEOが独自トークンについても言及している。
03/24 金曜日
16:29
SBI VCトレードがOasysと提携、国内普及に向けて支援
SBI VCトレードは、Oasysプロジェクトを主導するシンガポールの開発企業Oasys Pte. Ltdとの業務提携を発表した。Oasysが発行するトークン「オアシス(OAS)」や「Oasys ネットワーク」の日本国内の普及に向けて、取り組みを行っていく方針を示している。
16:27
米大統領経済諮問委員会の報告書、暗号資産に否定的な見方
米国の大統領経済諮問委員会が発行した『2023年版年次経済報告』で、仮想通貨やWeb3技術について否定的な見解が示された。一方、「米国は自国のデジタル金融インフラに注力すべき」と提言している。
14:00
米ブロック社、空売りレポートで株価急落 「杜撰な顧客確認が詐欺を助長」
米ニューヨークの投資会社Hindenburg Researchは2、ジャック・ドーシー氏率いる米ブロック社に関する報告書を発表。同社がユーザー数を水増しして投資家を欺き、不正アカウントや詐欺行為への対処を怠ったと主張した。
13:00
オントロジー、EVM対応のL2ソリューション発表
分散型アイデンティティ(DID)とデータソリューション開発を目指すオントロジーは、EVM互換のレイヤー2ソリューション「Goshen Network」を発表した。
12:07
ビットコイン買い意欲は旺盛か、L2最大勢力のアービトラム(ARB)エアドロップへ
暗号資産(仮想通貨)市場ではFOMCやイエレン発言、SECの規制動向を受け下落していたビットコインが28000ドル台まで反発。イーサリアムレイヤー2最大勢力のアービトラム(ARB)のエアドロップも盛況だった。
11:55
メイカーダオ、DAIの準備金としてUSDCを最優先か
DeFi大手Makerプロトコルを管理する「MakerDAO」は、ステーブルコインDAIの準備金として今後もUSDCを優先する方針を固めつつある。提案書は「USDCのリスクは大幅に低下しており、さらなる支払能力の懸念やディペグは予想されない」と主張している。
11:25
イーサリアムアプリ用の分散型RPCネットワーク「DRPC」がローンチ
仮想通貨イーサリアムのインフラ・プロバイダーDRPCは、イーサリアムベースのアプリケーションのための分散型RPCネットワークを立ち上げた。信頼性や費用対効果を高めるとしている。
10:30
BlockFi、マイニングマシン資産を6億円で売却へ
米破産裁判所は、BlockFiが保有するマイニングマシンなど物理的資産を約6.1億円で売却することを承認した。仮想通貨マイニング業界は現在ビットコイン価格上昇などの恩恵を受けているところだ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2023/04/13 00:00 ~ 23:59
東京 神田明神ホール
重要指標
一覧
新着指標
一覧