はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「ビットコインはデジタルゴールドになり得るか」ヘッジファンド大手Bridgewaterが考察

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

機関投資家にとってのビットコイン投資

世界有数のヘッジファンド「Bridgewater Associates」が、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の「価値の保存手段」という側面をさらに掘り下げるポッドキャストを公開。主に機関投資家の視点から、ビットコイン投資のリスクと可能性について語った。

創業者であるレイ・ダリオ氏は、一貫してビットコイン投資に慎重な立場を貫いているが、ビットコインは「とてつもない発明だ」と発言するなど、評価する姿勢も見せている。また、同社がビットコイン関連ファンドを検討していることが明らかになり、今後の動向が注目されている。

関連:ヘッジファンド大手Bridgewater、新ファンドの運用対象でビットコインを検討

現在の金融環状況が影響

同社の投資リサーチ部門を統率するRebecca Patterson氏は、ポッドキャストで、現在、ビットコインの注目度が高まっている理由は、ビットコインそのものとは関係ないと話を切り出した。

先進国の市場では特に、多くの中央銀行が大規模な金融緩和を継続しているため、現金の価値が下落するリスクを恐れた投資家が、「新たな富の保存手段」を探し始めていると指摘。ビットコインがその役割を果たすことができるのか、という点から、「価値の保存手段」に求められる特質を、金(ゴールド)と対比しながら説明した。

  • 限られた供給量:時を経ても購買力を維持
  • 携帯と交換が容易であること (デジタル化された金ETFで可能)
  • 価値のあるものと認められた長い歴史 

供給の面ではビットコインには2,100万BTCという発行上限と、半減期による供給量の調整がある。また、デジタルデータであるビットコインの取引や送金が容易なことは自明の理だ。そのため、ビットコインは「デジタルゴールド」であるという主張が生まれた。

しかし、歴史面から見ると、紀元前から取引されてきた金に対し、ビットコインはその誕生から12年という短い年月しか経ていない。そのため、Patterson氏はビットコインがインフレヘッジ、または分散投資の手段として有用なのかどうかは、「自信を持って予測できない」と述べた。

さらに、価格の変動性という点では、主要先進国通貨の10倍以上のボラティリティを持ったビットコインは、今のところ、「個人投資家向け」の市場規模であり、主に投機目的に利用されていると指摘。ただし、時間の経過とともに、ビットコインが普及するにつれ、流動性が高まり、ボラティリティが低下する可能性もあると付け加えた。

投資インフラおよび規制リスク

また、Patterson氏は投資のインフラという面では、ビットコインを取り巻く環境はまだ未熟だと指摘。「ボラティリティと連動する流動性」は改善されつつあるものの、他の資産に比べ、まだかなり限られていると述べた。

さらに機関投資家にとって最も大きなリスクの一つである規制の不確実性に言及。仮想通貨の規制を困難にしている要因は、貨幣やコモディティ、証券のような役割を持つものなど、その機能が多岐にわたることであり、また市場の変化のスピードが激しいことだと指摘した。そのため、全ての仮想通貨に対して単一の規制で対応することは難しく、規制当局の対応が追いつかない事態を生んでいると現状を分析した。

プライベートなデジタル通貨が、法定通貨の地位を脅かす可能性を恐れる為政者も多いと主張。その好例が中国で、仮想通貨に対するより強硬な規制を課す政策をとり、さらに政府発行のデジタル通貨を普及させることで、通貨のコントロールを維持しようとしているとPatterson氏は指摘した。

一方、このような規制環境が米国で実現する可能性は非常に低いと、同氏は考えているようだ。米国の規制環境は、明確性を欠くと批判されることも多いが、規制整備がゆっくりと進展することで、最終的にはデジタル資産への信頼が高まると主張した。そして、このような進展は長期的に見ると、ビットコインにとって朗報となるだろうと付け加えた。

デジタルゴールドになる可能性

Patterson氏はさらに、機関投資家がポートフォリオを分散化するにあたり、金はその効果が証明されてきたが、ビットコインについての結論は、まだ確実に出せる時期ではないと述べた。

また、流動性の面では、ビットコイン市場は金市場の約10%、マーケットの限られた鉄鉱石市場に比べても、まだ半分の規模で、大口の機関投資家が容易に売買できるポジションを取れるかという点では、非常に限られていると指摘した。

このような点を総合して考慮すると、今のところ、ビットコインは、機関投資家にとって価値の保存手段となるには至っていないと結論を導き出している。

しかし、流動性や規制などの課題が解決された場合、ビットコインはデジタルゴールドになる可能性があり、ビットコインへの投資は「将来へのオプション」を買うようなものだとまとめた。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/15 金曜日
11:25
イーサリアム、BTC建てで強気転換も売り圧力増加の兆候=クリプトクアント分析
ATH接近も売圧急増に 仮想通貨オンチェーン分析企業クリプトクアントの14日の週次レポートによると、イーサリアム(ETH)価格が4,743ドルに到達し2021年11月以来の高水…
10:55
楽天、NFTチケットでスポーツ観戦チケットの公式リセール開始
楽天グループが運営するRakuten NFTは、楽天イーグルスとヴィッセル神戸の公式チケットリセールにNFT技術を導入。ブロックチェーンによる偽造防止と取引透明性を確保し、出品者による自由な価格設定が可能に。2025年9月から順次開始。
10:02
仮想通貨市場がまだ織り込んでいない4つの材料とは? Bitwise分析
Bitwise最高投資責任者が、仮想通貨市場がまだ織り込んでいない4つの要因を指摘した。今後ビットコインなど市場の価格を押し上げる可能性があるとしている。
09:45
トルコの仮想通貨取引所BtcTurk、70億円超相当の資産が不正流出か
仮想通貨取引所BtcTurkは、ウォレットで異常が検知されたとして仮想通貨の入出金を一時停止。70億円超相当の資産が不正流出した可能性が指摘されている。
09:10
カインドリーMD、「中本」と合併完了 800億円調達でビットコイン財務戦略開始
カインドリーMDがナカモト・ホールディングスとの合併を完了し、5億4000万ドルを調達。デビッド・ベイリー氏がCEOに就任し、ビットコイン財務戦略を本格展開。
08:50
米財務長官の発言でビットコイン急落、準備金政策の行方と市場の反応|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは14日夜、ベッセント米財務長官が連邦政府のビットコイン準備金について、150億〜200億ドル相当と評価される没収資産のみで構築し、新規購入を否定すると発言したことに加え、FRBへの利下げ要請を行わない方針を示したことから急落した。
07:30
コインベース、デリビット買収完了で仮想通貨デリバティブ最大手目指す
コインベースがデリビット買収を完了し、590億ドルの建玉と年間1兆ドル超の取引量を統合。仮想通貨デリバティブ市場のグローバルリーダーへ。
07:20
イーサリアム、ステーキング解除待ちの数量が4500億円相当に
仮想通貨イーサリアムのブロックチェーンは、ネットワークからの退出を待つバリデータのETHの数量が増加傾向に。売り圧増加の可能性など背景の分析が行われている。
07:05
イーサリアムICO時代の大口投資家が大規模利確か、1週間で30億円相当を取引所へ送金
イーサリアムICO参加者が仮想通貨取引所へ大量のETHを送金。4日間で2000万ドル以上の利確行動が確認された。
06:10
グーグル、BTCマイニング企業テラウルフの株式を8%取得へ
ビットコインマイニング企業テラウルフがフルイドスタックと10年契約を締結し、グーグルが18億ドル保証で8%株式取得へ。
05:45
ベッセント米財務長官、ビットコイン準備金の予算中立的取得方針を再確認
米財務長官がフォックスビジネス発言後にX投稿で軌道修正し、押収仮想通貨資産を基盤とした予算中立的な追加ビットコイン取得検討を正式表明した。
08/14 木曜日
18:36
東証上場企業バリュークリエーションが保有するビットコインを全売却、利益5000万円計上へ
東証グロース市場上場企業が暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を全売却。バリュークリエーションがBTC22.36枚を売却し5000万円の売却益を計上すると発表した。
18:25
トランプ・ジュニア出資のサムザップ、73億円調達で仮想通貨戦略拡大
米上場のサムザップメディアが5000万ドルを調達完了。仮想通貨投資とマイニング事業に充当する予定だ。同社はすでにビットコインの蓄積を開始している。
17:44
Glassnode分析、イーサリアムとビットコイン上値抵抗線の突破可能性は?
オンチェーン分析企業Glassnodeは最新の市場レポートで、ビットコインとイーサリアムが現在、歴史的に重要な抵抗線に近づいていると指摘し、具体的な数値を示した。市場のボラティリティは歴史的に低い水準にあるが、長期的に見ると急激な変動が起こる可能性も示唆されている。
16:30
ビットコイン、時価総額でグーグル超え 主要資産ランキング5位に
暗号資産(仮想通貨)ビットコインが過去最高値を更新し、時価総額でグーグルを超えて世界5位に。価格高騰の背景や長期予測、保有企業事例を解説。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧