- NANJ株式会社CEO兼CMOの弘田氏にインタビュー
- 日本仮想通貨界隈で話題に上がることが増えたNANJCOIN。そのプロジェクトの詳細や、立ち上げ経緯、今後の見通しなどについてNANJ株式会社CEO兼CMO弘田氏にお話を伺いました。さらに今回はNANJ株式会社立ち上げのエピソードや、NANJCOINのネーミングの背景にある思いについてもお聞きしました。
※追記
インタビュー記事Part2を公開しました↓
NANJCOINについて
NANJCOINは、巨大掲示板5ch上に存在する、「なんでも実況J板:通称なんJ」のコミュニティーで作られた仮想通貨です。
スポーツ好きなコミュニティーで作られたこのプロジェクトの目標は、野球球団を支援することを目的とし、スポーツ分野での決済手段や、選手やチームに対する寄付の手段としての活用を目指しています。
他に掲示板から発展した通貨として、日本ではbitFlyerなどにも上場している「モナコイン」が有名です。
こういった前例があるため、コミュニティーの歴史と知名度が上がっていくごとに、日本では受け入れられやすい下地が出来ていると言えます。
今回はそのコミュニティーから会社設立へと至った、NANJ株式会社CEO兼CMOの弘田大介氏にインタビューを実施致しました。
インタビューにご協力いただいた弘田大介氏に深く御礼申し上げます。
インタビュー内容まとめ
- ―まず始めに弘田さん(やーぼさん)やNANJ株式会社の皆さんについて、(バックグラウンドを含めて)紹介いただけないでしょうか。
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弘田大介と申しまして、1989年平成元年生まれの28歳です。
NANJ株式会社では代表取締役CEOとマーケティングの責任者としてCMOを担当しています。
NANJチームは7名いて、全員が役員となっている他、代表取締役が4名います。
ただ、全員役割が異なっていて、私は渉外の部分や、インタビュー対応など、社長業やマーケティングやビジョン、戦略を作る部分を担当しています。
弊社の森はファウンダーであり、NANJにスレを建てた人間で、NANJCOINの象徴とも言える存在です。
NANJCOINのDiscordが約8000人にまで膨れ上がっており、ユーザーとディスカッションしたり、様々な意見の調停を行うなど、ユーザーとのコミュニケーションの部分を担当しています。
(CEO兼CFOを務めている)石は元々税関係の仕事をしてきただけでなく、ベンチャーを起業した経験や人脈を活かして活躍しています。
(CEO兼CTOの)小野は、楽天株式会社など複数の大手企業にて開発者として勤務した経験があります。
また、昨年よりベトナムに移住し、現在は国内、海外合わせてnanj sdkの開発を行っています。
(CIOの)下川はコミュニティ内では、ツチノコを略してツッチーという愛称で呼ばれています。
大学を卒業後は特に就職はせず、(個人で)開発をしていたところ、今回このプロジェクトに関わり、いきなり取締役になっています(笑)。
ツッチーはブロックチェーン関連の開発を主に担当しています。
(取締役CCOの)向井は、過去のインタビューで彼の紹介をする際に「海外に友人が多い人」と答えたところ、「凄い雑な紹介だな」と指摘されたのですが(笑)、本当に彼はこのNANJCOINのプロジェクトにその分野で貢献しています。
それだけ人脈の幅が広く、翻訳業務であったり、海外ユーザーとのコミュニケーションを促進させる部分で活躍してもらっています。
最後に、(CBOの)谷口の紹介になるのですが、NANJCOINのロゴを含めて、社内のブランディングデザインを担当しています。
NANJ株式会社以外にもデザイン会社を運営し、オフィシャルサイトなども彼のチームの作成によるものです。
- ―それでは、次にNANJCOINとは何か、ご説明いただければと思います。
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シンプルに言うなれば、スポーツを盛り上げようという目的で作られた仮想通貨です。
成り立ちはなんでも実況J(ジュピター)という掲示板の住人で作られたものなのですが、仮想通貨のチャリティーの可能性などを感じ、スポーツという経済圏の中で「ファンと選手を繋げることができるトークン」をコンセプトにしております。
私たちがコンセプトを大事にしている理由は、他のプロジェクトを研究したことが原因です。
他のプロジェクトは、通貨という言葉に引っ張られ、決済手段として注目が集まってしまった故に、ビジョンやコンセプトが見えてこずに、コミュニティの人数がいてもいまいち爆発力が無いと感じるものが多いと感じられました。
- ―それは何故、仮想通貨でなければならなかったのですか?
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卵が先か、鶏が先か、といった話になるのですが、出来上がったものが先にあり、そこに人が集まったのが仮想通貨(NANJCOIN)でした。
(仮想通貨以外の既存技術で)「こういうものを作ります!」と言っても、そのコミュニティをある程度の規模まで拡大させることは非常に大変です。
しかし、今の時代、仮想通貨に注目が集まっており、なんJで「仮想通貨を作りました」と言って始めたところ、実際に8000人以上もの人が集まりました。
(集まった人たちは)仮想通貨という新しい技術に対する純粋な期待感や投機目的など様々な想いで集まったでしょうが、私たちは仮想通貨だからこそ、これだけ人を集めてムーブメントにする事ができたのだと考えています。
「なぜ仮想通貨じゃないとダメなの?」と質問されることが多いのですが、おそらく多くの人は仮想通貨よりもブロックチェーン技術に注目しているのではないでしょうか。
例えば新規トークン発行においても、スマートコントラクトに関連した何かの機能をつけることで汎用性の高い法定通貨やビットコインとの差別化が必要であると考えるようです。
確かにこれまでの常識で考えればそれは正しいかもしれませんが、私は仮想通貨による真の革命は「通貨にビジョンやメッセージ性を付与できること」であると考えています。
例えばNANJCOINはスポーツに特化した通貨ですが、このメッセージに共感したユーザーや企業が今どんどん集まってきています。
限られた条件(この場合はスポーツ)の中で、創造性が深まることは歴史が証明していますし、NANJCOINはスポーツの価値をより深掘りするポテンシャルを秘めています。
とにかく今はユーザーや企業との共創において、スポーツ!というNANJCOINのメッセージが大いに役立っていると感じています。
鋭い人たちはもう動き出していますよ。
- ―NANJCOINプロジェクトの成り立ちを教えて下さい。
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私(やーぼさん)が参画した時には、コミュニティ内では既に「これで球団買おうぜ!」と盛り上がっていたのですが、本当にNANJCOINを上場させて、人々に認知させる為にはより構想を深く練り、筋道を立てる必要があると考えました。
「球団を買う」と凄くふわっとしたものをより具体的(ex.「なぜ球団を買うのか」、「それはもっとスポーツと関わりたいという事なのでは」)に掘り下げていった事が、プロジェクトの成り立ちだったように思います。
何故仮想通貨か、という部分に通じるものがありますが、投げ銭って日本円だと難しい現状ありますよね、出来るけど何故か誰もやらない。
でも仮想通貨ならそれが出来て、実際に起こっている。
この仮想通貨のメリットを活かして、もしユーザーが選手自身に投げ銭が出来たら、面白いのではないでしょうか。
Jリーグなどで課題に挙がっていますが、独立採算制(チーム自身でグッズなどを販売して、収支を黒字にする)って実際には凄く難しいんですね。
もし、これが仮想通貨、NANJCOINを通じてファンが直接球団や選手に関わったり、実際に球団(あるいはスポーツチーム)を持つような事が出来るまでになれば、こういった状況も改善出来るのではないでしょうか。
ファンがグッズ買ったり、試合に行くだけでなく、チームにもっと利害関係者として関わり、アクションを取れる可能性をNANJCOINを通して広げていきたいなと考えております。
また、それだけでなく「寄付」に対しての可能性も感じています。
先日、冬季オリンピックが開催されましたが、オリンピックの開催の度に課題に挙がるのが、「選手の資金難」です。
ちょうどこのプロジェクトが立ち上がっていた時期に平昌五輪が開催されていた事もあり、NANJCOINコミュニティ内ではこの問題に対して多くの関心が集まっていました。
世界で活躍するような凄く有望な選手や団体がいても、資金難や練習する設備に困っているような状況があり、そういうところにもっと議論の焦点が当てられるような何か動きができればとも思っています。
皆助けたいという気持ちがあっても、何故資金が集まらないかといえば、魅力が上手く伝わっていないからではないでしょうか。
これを即トークン化したところで、魅力が伝わるとは限りませんが、NANJCOINという一つのムーブメントの中で、こういった問題がクローズアップされたり、コミュニティ内の共通課題として取り上げられると、ユーザーが発信で「そのスポーツを育てよう」という気概が生まれる可能性もあると思います。
- ―NANJ株式会社のメンバーが集まった経緯を教えて下さい。
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これはまさに興味本位と言ってもいいかもしれません。
ネット(なんJ)を見ていたら、面白そうな(NANJCOINに関する)スレが立っていて実際にDiscordを覗いてみたところ、そこでは「こうしたい!」「こうしたらいいんじゃないかな?」といった活発な議論がされていました。
その中で「ネット広告打とうよ!」「TVCM流そう!」といった議論を見かけました。
私はマーケティングをしているからこそ理解できるのですが、広告を打つにしてもしっかりとターゲティング層を決めたり、戦略を練る必要があります。
そこで私は「こういうところは組織化すべきじゃないかな」「こういう戦略の部分は見えない方がいいんじゃないか」と、色々と口を出そうと決めたわけです(笑)。
今NANJ株式会社にいるメンバーはそれぞれのメンバーのプロフェッショナルが集まっているのですが、私が口を出した時と同じように、税関係の話になれば「こうした方がいいよ」だとか、開発の話になれば「俺これできるよ」といったように、それぞれを手弁当で持ち寄った形でメンバーが集まりました。
なので、「勧誘があったから入った」だとか、「紹介で入った」ではなく、そのコミュニティの中で自分ができる事、成果物を見せた人間がNANJ株式会社のメンバーとなっております。
なので、元々皆知り合いではなく、人間のジャンルも年齢もバラバラで、おそらくこのコミュニティを通してではないと出会わなかったでしょう。
共通の目的であるNANJCOINのプロジェクトを通してではないとおそらく仲良くもならなかったでしょうね(笑)。
- ―「なんJ」の名前を使う事に対して意見する一部ユーザーもいますが、そういった方にはどのように説明し、理解してもらおうとしていますか?
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ただ、なんJでスタートしているというのがきっかけというだけで、別になんJのブランドを使っているわけではないと考えております。
皆さんは分かりやすく説明する為に、NANJCOINを「なんJで出来た」と紹介をして下さるのですが、これは転換期が来ると思っています。
と言うのも、ネットを超えると「なんJ」の認知度はそこまで高くありません。
我々の言うところのNANJCOINのNANJとは「Next-Generation Athlete Network Joint」という意味を持っております。
なんでも実況JのNANJではないです。
今後幅広く展開していく為にも、確かにルーツはなんJ発祥ですが、(上述の)NANJには意味が私たちなりの意味があり、なんJの看板を使って、なんJ民に広めようというわけではない事を理解していただきたいと思っております。
ただ、共通のコミュニティとしてなんJがあっただけです。
先日、某詐欺コインらしきものが出回りましたが、それは5chオフィシャルを謳うなど、5chに完全に乗っかっていました。
私たちも当初はなんJに乗っかっているとみられていましたし、そういった部分も否定はできません。
しかし、私たちのコミュニティは「スポーツの面白さを広めていきたい」という想いがあり、しっかりと真面目にプロジェクトに取り組んでいるからこそ、最近では様々なところにお声がけいただけるようになっていて、様々な取り組みを進めている最中です。
私たちは真面目に取り組んでいるからこそ、ただの資金調達手段として活動しているようなプロジェクトと同じにはされたくはありません。
NANJCOINが一つのプロジェクトとして歩みだせているのは、税務のプロフェッショナル、オフショア開発のチームを率いている人間、ブロックチェーンを開発できる人間など、プロフェッショナルな人材が揃っているからこそであり、そういった部分で他の怪しいようなプロジェクトとNANJCOINのプロジェクトは違うと考えております。
プロジェクト初期にNANJ株式会社のメンバー同士、「せっかくこれだけ盛り上がってるんだから、ただコインを売買するだけのものにしたくない。
社会にインパクトを与えられる事をしたいよね」と話し合い、そういう認識があったからこそ、(NANJ株式会社の)私たち7人が団結できたのだと思います。
- ―今回NANJCOINを広めるにあたって、Airdropを用いられていました。 今回のAirdropの全体の流れ等を含めてご説明下さい。
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今回のAirdropについては、私がメーカーで培ったマーケティングのノウハウ、知見が大いに役立ちました。
第一回のAirdropは、当時千人程度であったコミュニティ内で行い、10万コインを配布したのですが、その時にユーザーの属性を調べるアンケートも取りました。
ユーザー属性などを知る事はマーケティングを進めて行く上で非常に大事で、アンケートで聞いたNANJCOINに対する想いなどを(アンケートを取った後に作成した)ホワイトペーパーに反映させる事ができました。
そういったものが揃ってきて、盛り上がってきたところで、上場(1satoshiスタート)についても話す事でコミュニティを盛り上げる事ができました。
最後のAirdropでは、これからAirdropされるプロジェクトにも是非真似ていただきたいのですが、配布されるコインの枚数は人数に応じて増えるような方式にしました(ex.○○人以上で○○枚、千人単位で増えるごとにプラス1000枚、最大二万など)。
そして二つ目に、「twitter上のツイートをリツイートしたら、抽選で○○枚配布」。
最後のパンチとして、「NANJCOINのAirdropを応募しました」とツイートしてくれたら、抽選で○名様に、貰えるコイン10倍になりますという仕組みを導入しました。
このように認知の往復ビンタ、何発ものロケットの発射と、一人が三回発信してくれるような仕組みを作る事で、NANJCOINを広めていきました。
結果的には非常にこの仕組みが大成功でした。
最後のAirdropの際には、Twitterの広告も実施したかったのですが、丁度規制が入ったタイミングでそれは出来ませんでした。
集まった参加者は、重複有りで6万人、重複無しで2万人以上となり、多くの方に参加していただけました。
- ―金融庁に何か相談はされましたか?
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様々な方面で、金融庁と話をされた方からお話を耳にはしますが、私たちから金融庁にお伺いするという事はありません。
もちろん、ICOでトークンのプレセール等を規制というか「やめてよね」というような文書等は読みましたし、理解しています。
ただ、我々のやり方としては、「私たちはただトークンを並べてあって、ユーザーはそれを購入するだけですよ」というロジックであれば、一切の突っ込みもないし、一切の法律違反がないと分かっていたので、私たちから金融庁の方にアクションを起こす事はしませんでした。
海外でICOを行うなど様々な手段が考えられましたが、日本国内での上場を見据えた時に、日本法人では無い海外法人が海外に税金を落として、日本の国益には何も貢献しないなんてそれはおかしいと考え、日本にちゃんと居住して、日本でやろうよというような話になりました。
- ―ロードマップ全体の流れを説明いただきながら、NANJCOIN SDKについても解説いただければと思います。
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正直に申しまして、NANJCOINはこのロードマップをはるかに超えるインパクトを世界に与えながら進んで行くと考えています。
この業界は1週間が1年くらいのスピードで進んでおり、当初想定していたことよりも大きな出来事にどんどん巻き込まれているような感覚です。
なので、ロードマップはおそらく途中で変わります。
もちろん、いい方向にです。
NANJCOINのビジョンを実現しながら、誰も予想しなかった大きな展開をしていくと風呂敷を広げさせてください(笑)。
SDKはNANJCOINの経済圏を作るために必須の機能であると考えています。
もう少し詰めないといけない部分もありますが、何よりもイーサトークンの送受信をガスの代わりにトークン自体を消費して行えることや、その機能がブロックチェーン上で透明性を担保しながら行われることは画期的です。
イーサリアムの恩恵は受けつつも、独立したような振る舞いをできることは今後意味を持ってくると考えます。
サーバー等を用意すれば、理論上は他のイーサトークンでも利用できます。
ということは、イーサトークンを使ったビジネスの発展にも関与できるかもしれませんね。
インタビュー記事Part2を公開しました↓