再生可能エネルギーへの移行を目指す
ブロックチェーンと暗号資産(仮想通貨)のエネルギー問題に取り組む国際的業界連合『Crypto Climate Accord(クリプト気候協定)』が4月初めに発足したことがわかった。
民間企業主導の取り組みで、2025年までにすべてのブロックチェーンを100%再生可能エネルギーで動かすこと、さらに2040年までに仮想通貨業界全体の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指しているという。
すでに仮想通貨、金融、テクノロジー、NGO、エネルギーなど様々な分野から、世界中の40近い企業や組織が参加。イーサリアム(ETH)開発企業ConsenSysやリップル社もメンバーに数えられ、新たな加入団体も募集中だ。
ConsenSysの創設者Joe Lubin氏は次のように述べる。
ブロックチェーンシステムは、より優れた、信頼できるインフラストラクチャになろうとしているところだ。イーサリアムについても、ますますエネルギー効率を高めることに注力しており、近い将来、プルーフオブステーク(PoS)への移行を通じて、カーボンニュートラル(CO2排出と吸収が差し引きゼロになるようなシステム)の方向性に進む予定だ。
移行によって、イーサリアムエコシステムのエネルギー効率が大幅に向上し、この仮想通貨気候協定の目標を達成するのに役立つだろう。
協定参加団体の中には、エネルギーセクターとブロックチェーンを繋げるNPOであるEnergy Webも挙げられる。同NPOのWalter Kok CEOは、次のように説明した。
ブロックチェーンを脱炭素化するために必要な技術的ソリューションはすでにある。業界に現在不足しているのは、協調した取り組みといった存在だ。
この協定は、目標達成に必要な技術と、それを活用するパブリックな組織連携の両方を結び付けるものとなる。この協定に、今後多くの団体が参加することを期待している。
炭素を測定する会計基準を開発
仮想通貨気候協定は取り組みの一環として、仮想通貨業界からの炭素排出量を測定するためのオープンソースな会計基準を開発する予定だ。
また、「オープンソースのワーキンググループを招集して行動を促す」ことや、「関係者と協力して、様々なアイデア、ソリューション、目標を構築する」こと、会合を開き「定期的に協定の達成を報告する」ことなどを活動内容に挙げている。
再生可能エネルギーを使うマイニング増加中
仮想通貨やブロックチェーンテクノロジーがますます普及するにつれて、事業を脱炭素化するための措置を講じる企業や組織も増加中だ。ビットコイン(BTC)などのマイニングを、再生可能エネルギーで行う試みはカナダや米国、ノルウェーなどでもみられる。
例えば、仮想通貨マイニング企業Argo Blockchainは水力発電によるビットコインマイニングプールを立ち上げると発表。マイナーには再生可能エネルギーの使用が義務付けられる。Argo Blockchainが最近米テキサス州に獲得した土地にも、電力の大部分を再生可能エネルギーから供給するマイニング施設が建設される予定だ。
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また、ビットコインの多くをマイニングする中国でも、炭素排出量の削減計画が進行中だ。中国内では地域により活用電力の種類が異なり、四川省などでは水力発電を主とするが、内モンゴル自治区や新疆ウイグル自治区では火力発電の比率が大きい。
また、内モンゴル自治区政府は仮想通貨マイニングファームを閉鎖する提案を検討している。中国政府が設定した新しい炭素削減目標を達成するために、同地域での仮想通貨マイニングファームを終了する必要があるといった報道は先月みられた。