はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イーサリアムコミュニティも警戒する、ASIC台頭による中央集権化問題

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ASICと、その影響力
イーサリアムの価格および市場の存在感が高まるに連れ、ASIC(マイニングに特化した集積回路)などの機器メーカーである「Bitmain」のような仮想通貨業界の強力なプレーヤー台頭し、51%攻撃のような中央集権化問題などのリスクが顕在化することが懸念されています。

仮想通貨のパワーバランス

ビットコインに次ぐ規模で時価総額730億ドル(約8兆円)を誇るイーサリアム(ETH)が、そのソフトウェアアプリケーションを取引上に構成することができる性質から、次世代のデジタル金融として歓迎されています。

イーサリアムの価格と重要性も高まるに連れ、ASIC(マイニングに特化した集積回路)などの機器メーカーでもある「Bitmain」のような仮想通貨業界の強力なプレーヤーが、さらなるコントロールや利益を狙って活動しています。

ネットワーク機能の維持のために多数のコンピュータが複雑な数学的問題を解き、取引を承認、その報酬として新規通貨を得られる”マイニング”という過程での独占化が危惧されています。

イーサリアム開発者は、そのプロジェクトにおいて、数百万台以上のPCやグラフィックカード基盤の機器がデジタル台帳上で機能する”世界のコンピュータ”を目指してきました。

イーサリアムの公式ドキュメントにおける記述でも、多数の参加者によって、「イーサリアムにおける高い基準の不正耐性、中断時間の排除、ブロックチェーン上データの不可逆性、検閲耐性を可能にしている。」とされています。

しかし、Bitmain等の本格参入によって、新しいタイプのハードウェアが参入してくることで、取引承認の際の不均衡が生じ、マイニング参加者の多様性が低下しています。

Digital Asset Researchのシニアアナリストを務めるLucas Nuzzi氏は、7月を目処に公開される新規ハードウェアによって、小規模マイナー達が排除され、”非中央集権にとっての悪夢”がやってきてしまうことを危惧しています。

イーサリアム開発者は、不均衡をもたらす存在の参入を防ぐため躍起になっています。

先日、イーサリアムの共同創業者であるVitalik Buterin氏はコミュニティに対し、以下のように述べました。

「マイナー制度を廃止し、より多くの人々の参加を推進することで、新しい取引承認方法を採用する”Casper”が反映されることで、そのリスクはなくなる」

“Ethereum Asic”のGoogle検索

さらにコミュニティメンバーは、イーサリアムの発行量に上限を設けることや、ASIC基盤のハードウェアに対抗するため、アルゴリズムを変更することに関して議論を重ねています。

マイニングに特化したASICは、一般的なPCや携帯電話で使用される「グラフィックカード」よりも、取引承認の際の特殊なアルゴリズムを解くことに秀でているため、より安価かつ迅速に利益を上げることが可能です。

BitmainのASICは、長い間ビットコイン(BTC)で使用されておりましたが、その後ライトコイン(LTC)やダッシュ(DASH)にも対応し、シェアを伸ばしています。さらに5月にはZキャッシュ(ZEC)に初対応、先月には、イーサリアム(ETH)対応のASICが発表されています。

イーサリアムを保有し、Fundstrat Global Advisorsの運営ディレクターを務めるSam Doctor氏は、

「この件は、イーサリアムの価格に悪影響を及ぼす恐れがある。」と危機感を露わにし、それが短期的だとしても「市場平均以下のパフォーマンス」に繋がる可能性があると警鐘を鳴らしています。

あまりにも優位なマイニングパワーは、ネットワークにおけるBItmainの存在と、同社のASICを購入した大規模マイナーによって、市場における”パワーバランス”を大きく崩しかねず、不正に他者の取引を排除する「51%攻撃」が行われるリスクを高めてしまう問題が生じてしまうのです。

「Susquehanna Investment Group」のChristopher Rolland氏は、「もしBitmainのマイナーが今後も急成長を遂げ、51%攻撃のリスクがさらに高まれば、価格に悪影響を及ぼす可能性は十分考えられる。」と言及しています。

Bitmainは、取引プロセスを阻害することのないように、特別な取り組みを行っていることを主張しました。

またEメールでのやり取りでは、以下のように記述されています。

「通貨の将来性を断ち、その価値を下げることから、仮想通貨エコシステムの誰にとっても経済的なメリットはない。」

「イーサリアム対応の機器を顧客に販売する際、Bitmainは、極端な独占状態に陥らないよう配慮して販売を行った。この結果、ネットワークを牛耳る第三者の台頭リスクをさらに削減することに成功している。」

しかし、市場を混乱させる可能性を持っているのは、Bitmain1社だけではありません。

Rolland氏によると、イーサリアムのASICマイニングに取り組んでいる企業は、Bitmain以外に少なくとも3社存在しており、一部のメーカーは、イーサリアムマイニングのためのASICをすでに展開しているのではないかと予想されています。

市場インテリジェンスプラットフォームの「CoinFi」の共同創業者であるTimothy Tam氏は、以下のように述べました。

「コミュニティの中では、ASIC製造企業が”自社でマイニング機器を大量保有”し、マイニングを行うのではないかという懸念も払拭できない。」

Bitmainの公式ウェブサイトによると、800ドル(約8,800円)のイーサリアムマイニング機器は、7月に発送される予定で、ハッシュ(プロセス)値は、毎秒180メガハッシュであるとされています。

それに比べ、Bitmainの同じくイーサリアムマイニングの既存のGPU基盤機器は、220メガハッシュであり、オンライン上で4,000ドル(約44万円)ほどの価格で販売されています。

このように、新しい機器は既存のどの機器よりも効率的でありながら、大幅に安価で販売されるのです。

同社はウェブサイトにて、「私たちは、さらに高いパフォーマンスと効率性を(発送までに)準備し、マイナーのみなさまにお届けしたい。」と記述しています。

多くの投資家は、すでに一歩引いて俯瞰的に見ており、マイニング機器メーカーが強力になるに連れて、ASICとも共存共栄していかなければならないと考えているようです。

「ASIC(Bitmain)の存在は、市場のリアルだ。」と仮想通貨関連の投資商品を扱うFlipside Cryptoのパートナーを務めるDave Balter氏は言及。以下のように続けました。

「良し悪しに関わらず、今後も市場に多くの影響を与えることになるだろう。」

「ただし私たちは、イーサリアムは、常に素晴らしいプロジェクトであるという基本に立ち返るべきだ。いくらマイニングの速度が向上しようが、イーサリアムはイーサリアムであるという事実に変わりはありません。」

Bitcoin’s Biggest Rival Faces Overhaul as Computing Power Rises

May8, 2018 by Olga Kharif

参考記事はこちらから
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/15 金曜日
19:30
スイ(SUI)2025年の価格予想と成長の鍵|リスク・注目点は?
暗号資産(仮想通貨)スイ(SUI)の2025年価格予想や将来性を徹底解説。VanEckの16ドル予測、現物ETF申請、技術的特徴、投資リスクまで網羅。国内取引所比較や最新エコシステム情報も掲載。
17:21
Base Appとは?コインベースのWeb3アプリの使い方を徹底解説
CoinbaseのBase Appの特徴、始め方、エアドロップの可能性を詳しく解説。Web3スーパーアプリとして進化するBase Appで、ソーシャル・決済・DeFi機能を一つのアプリで体験。国内取引所からの送金方法も完全ガイド。
16:00
TRON創設者ジャスティン・サンが語るWeb3の未来|WebXスポンサーインタビュー
大規模カンファレンス「WebX 2025」のタイトルスポンサーとしてブース出展を決めた、TRONのジャスティン・サン(Justin Sun)独占インタビュー。80億人の金融自由実現に向けたビジョンと、日本のWeb3市場への期待、WebX 2025参画について聞く。
16:00
xStocksとは?仕組みと活用例をわかりやすく解説
xStocks(エックスストックス)はAppleやTeslaなど米国株をブロックチェーン上でトークン化し、24時間365日取引可能にした革新的サービス。DEXでの購入方法、リスク、税務上の注意点まで初心者向けに詳しく解説します。
14:20
コインベース、メタマスクユーザーのUSDC手数料をBase上で半額に 
米大手取引所コインベースは、決済プラットフォームMercuryoと提携し、MetaMaskユーザーのUSDC購入手数料を50%削減する。また、USDCを発行するCircle社はステーブルコインに特化したL1ブロックチェーンの開発計画を発表。USDCのエコシステム拡大につながると期待されている。
13:50
シティ、ステーブルコインとビットコインETF向けカストディを検討
シティグループがステーブルコインの裏付資産カストディや仮想通貨ETF関連サービスの提供を検討。議会法案成立を受け大手金融機関の参入加速。
13:20
今秋はアルトコインシーズン本格化か=コインベース分析
コインベースが今後本格的なアルトコインシーズンへ移行すると予測。個人投資家のキャッシュ蓄積や、イーサリアムへの関心の高まりなどを分析した。
11:46
ビットコイン一時急落、米財務長官の方針転換で市場動揺か
スコット・ベセント財務長官の相次ぐ発言変更でビットコイン市場の混乱を招いた。13日の購入否定から14日の取得検討表明まで24時間で方針転換となった。機関投資家のコインベース購入比率75%も話題に。
11:25
イーサリアム、BTC建てで強気転換も売り圧力増加の兆候=クリプトクアント分析
イーサリアムがビットコインに対して強気サイクル入りし投資家需要が急増。一方で取引所への流入増加により利確の動きが活発化し警戒感高まる。
10:55
楽天、NFTチケットでスポーツ観戦チケットの公式リセール開始
楽天グループが運営するRakuten NFTは、楽天イーグルスとヴィッセル神戸の公式チケットリセールにNFT技術を導入。ブロックチェーンによる偽造防止と取引透明性を確保し、出品者による自由な価格設定が可能に。2025年9月から順次開始。
10:02
仮想通貨市場がまだ織り込んでいない4つの材料とは? Bitwise分析
Bitwise最高投資責任者が、仮想通貨市場がまだ織り込んでいない4つの要因を指摘した。今後ビットコインなど市場の価格を押し上げる可能性があるとしている。
09:45
トルコの仮想通貨取引所BtcTurk、70億円超相当の資産が不正流出か
仮想通貨取引所BtcTurkは、ウォレットで異常が検知されたとして仮想通貨の入出金を一時停止。70億円超相当の資産が不正流出した可能性が指摘されている。
09:10
カインドリーMD、「中本」と合併完了 800億円調達でビットコイン財務戦略開始
カインドリーMDがナカモト・ホールディングスとの合併を完了し、5億4000万ドルを調達。デビッド・ベイリー氏がCEOに就任し、ビットコイン財務戦略を本格展開。
08:50
米財務長官の発言でビットコイン急落、準備金政策の行方と市場の反応|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは14日夜、ベッセント米財務長官が連邦政府のビットコイン準備金について、150億〜200億ドル相当と評価される没収資産のみで構築し、新規購入を否定すると発言したことに加え、FRBへの利下げ要請を行わない方針を示したことから急落した。
07:30
コインベース、デリビット買収完了で仮想通貨デリバティブ最大手目指す
コインベースがデリビット買収を完了し、590億ドルの建玉と年間1兆ドル超の取引量を統合。仮想通貨デリバティブ市場のグローバルリーダーへ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧