はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「金融システムの基盤が変わる時代」の投資戦略とは 大手ヘッジファンドCEOの見解

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

フィンテックが主流になる時代

先週、6兆円規模の資産を運用する英大手ヘッジファンド、マーシャル・ウェイス(Marshall Wace)が、ブロックチェーン技術ならびに暗号資産(仮想通貨)分野へ投資する可能性が報じられた。

関連:英大手ヘッジファンドMarshall Wace、仮想通貨関連投資を計画=報道

仮想通貨企業を対象としたポートフォリオ構築・管理を率いるのは、香港に拠点を置くマーシャル・ウェイス・アジアのアミット・ラジパル(Amit Rajpal)最高経営責任者。ラジパル氏は金融情報メディア、ブルームバーグのインタビューで、フィンテック分野への投資を取り巻く状況について語った。

フィンテック

フィンテックは、金融であるファイナンス(Finance)と、テクノロジー(Technology)を合わせた造語。

▶️仮想通貨用語集

マーシャル・ウェイス社が、仮想通貨やブロックチェーン技術を含むフィンテック分野へ注目するようになったのは約1年前で、「テクノロジーを活用し、金融サービスを再設計する」時代から、「金融システムの基盤構造を変えて、金融サービスを定義し直す」時代に移行しつつあるとの結論に至ったためだという。ラジパル氏は、今後はフィンテックが金融システムの主流になるとの考えを明らかにした。

そのため同社としては、上場しているフィンテック企業と決済企業に対する投資を継続するとともに、上場前の企業(後期ステージ)に投資するアプローチを採用するとのことだ。

投資機会

ラジパル氏は、現在、金融サービスは固定回線の時代からスマートフォンの時代へと移行する節目にあるが、多くの投資家はこの変化を認識していないと指摘。このような金融システムの移行は未だ黎明期にあるため、不確定要素が多く、投資家の意欲が削がれているという。

しかし、常に変化が激しく「一筋縄でいかない」新たな分野こそ、投資家にチャンスをもたらすと主張した。

投資機会に関しては、以下の三つの分野が考えられるが、機関投資家と個人投資家ではアクセスできる投資が異なるため、個人投資家向けとして有望なのは、仮想通貨とNFTだろうと述べた。

  • 仮想通貨へのアクセスを提供する消費者向けモデル(取引所など)
  • エコシステム構築のためのインフラ(決済アプリ、スケーリング、規制対応など)
  • 分散型金融(DeFi)

インドに注目

マーシャル・ウェイス社のデジタル資産分野の投資戦略では、金融サービスにおけるブロックチェーンの応用と金融インフラにおける決済を優先するとラジパル氏は述べている。

その意味で、インドは同社が最も注目している国だという。インドでは、決済全体に占めるデジタル決済の割合は小さく、また金融包摂も進んでいないが、適切なインフラが整っていると指摘。そのため、新たなテクノロジーの採用により、規模の拡大が急速に進み、大きな発展が望めると考えているようだ。

ラジパル氏によると、投資家層は、これから起こる変化に対する解釈が遅れているという。同社にとって、有望企業の新規株式公開を待つのではなく「先手を打つことが大きなメリットになる」と述べた。

仮想通貨のエネルギー問題

仮想通貨、特にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用しているビットコインなどは、マイニングで消費する電力量から、環境への負担が大きいとの批判を受けている。

しかし、ラジパル氏はビットコイン・マイニングの40%はすでに再生可能エネルギーを利用しており、中国を除外すると、この割合はもっと高くなると主張した。現在でもビットコインの消費エネルギーは、金(ゴールド)の採掘よりも低いが、炭素税などの規制が導入され、インセンティブが生まれた場合、マイニングに利用する再生エネルギーの割合が高まることで二酸化炭素排出量が減り、持続可能性の問題も解決することが可能だという。

また、銀行などの従来の金融システムにおける日常業務は、実店舗を維持して大量の紙を消費する「マニュアル作業」であるため、二酸化炭素の排出量はビットコインのマイニングの7〜8倍に及ぶと、ラジパル氏は強調した。

さらに、電力消費量が小さいプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用するブロックチェーンと、既存の金融システムのエネルギー消費量を比較すると、仮想通貨の環境問題に関する全ての議論は 「ひっくり返るだろう」と述べ、ブロックチェーンは環境改善に貢献するようになると結んだ。

ラジパル氏は、3年から5年の間に、仮想通貨がより多くの投資家から肯定的に認識されるようになると予測している。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/22 土曜日
13:45
ANAPホールディングス、企業向けビットコイン戦略支援「ビットコイン道場」を開始
ANAPホールディングスが企業のビットコイン活用を支援する継続型プログラム「ANAPビットコイン道場」の提供を開始した。会計や税務などの実務を専門家が包括的にサポートし、参加企業がコミュニティ形式で課題解決に取り組む仕組みを提供する。
13:02
コンヴァノがビットコイン戦略から本業回帰、AI・ヘルスケア事業に注力へ
コンヴァノが仮想通貨ビットコインを最大約2万BTC取得する計画を取り下げ、成長中の事業へ軸足を移す。業績予想を上方修正しており本業成長を重視する戦略転換となる。
10:55
米当局がビットメイン製品を国家安全保障リスクで調査、トランプ関連企業も1万6000台使用
米国土安全保障省が中国メーカーのビットメインを調査し、機器がスパイ活動や電力網破壊に使用される可能性を指摘。トランプ大統領の息子たちの会社アメリカン・ビットコインも1万6000台を購入した。
10:05
コインベース、ソラナのミームコイン取引所「ベクター」を買収
コインベースがソラナ基盤SocialFiプラットフォーム「ベクター・ファン」を買収すると発表した。年内に取引完了予定で、ソラナエコシステムへの参入を拡大し、すべてを取引できる取引所の構築を目指す。
09:35
ベセント米財務長官、ビットコインバーにサプライズ訪問 仮想通貨業界への影響は
スコット・ベセント米財務長官がビットコインバー「Pubkey DC」を訪問し、仮想通貨コミュニティで話題になっている。業界関係者の反応と今後の影響を解説する。
08:25
NYSEがグレースケールのXRPとドージコインETF承認、25日上場予定
NYSEがグレースケールのドージコインとXRP ETFの上場を承認し、11月25日に取引を開始する。今週はビットワイズのXRP ETFやフィデリティのソラナETFも上場し、アルトコインETF市場が急拡大している。
07:45
「仮想通貨財務企業などの上場後の事業の大幅変更について対応を考える必要」JPXのCEO
日本取引所グループの山道CEOは、ビットコインなどを保有する仮想通貨財務企業への規制強化は現時点では検討していないと説明。一方で、事業の大幅変更については対応を考える必要があるとも述べている。
07:05
個人マイナーがビットコイン採掘に成功、1億8000万分の1の確率を克服
極めて小規模な個人マイナーがわずか6TH/sのパワーでビットコインブロックの採掘に成功し、約26万5000ドル相当を獲得した。確率は1億8000万分の1で、近年最も幸運なソロ採掘となった。
06:25
トム・リー率いるビットマイン、初の配当実施もイーサリアム保有の含み損は6250億円超 
イーサリアム最大の企業保有者ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズが11月21日、2025年8月期通期で純利益3億2816万ドルを計上し、大手仮想通貨企業として初めて配当を実施すると発表した。しかしイーサリアム価格下落で含み損は40億ドル超に達している。
06:02
金持ち父さん著者キヨサキ、3.5億円分ビットコインを売却し広告事業投資へ 以前の姿勢から一転
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏が11月22日、約225万ドル相当のビットコインを売却し、外科センターと看板広告事業に投資すると発表した。以前の「売らずに買い続ける」発言から一転した。
05:45
マイケル・セイラー、指数除外懸念に反論「ストラテジーはファンドではない」
ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は主要株価指数からの除外懸念に対し「我々はファンドではなく上場事業会社だ」と反論した。
11/21 金曜日
17:25
米ビットコインETF、1週間で大規模な資金流出が2回
11月20日、米ビットコイン現物ETFは9億300万ドル(約1,395億円)の純流出を記録し、史上2番目の規模となった。1週間前の記録を更新。ブラックロック、グレースケール、フィデリティの主要3ファンドで流出の大部分を占め、全ETFで純流入ゼロという異例の事態に。
16:38
予測市場が急成長 カルシ(Kalshi)が1500億円調達と報道も
予測市場カルシが2ヶ月で評価額2倍超の110億ドルで10億ドル調達。取引量は10月に過去最高の44億ドルを記録。競合ポリマーケットも120億〜150億ドルでの追加調達を協議中で、予測市場への投資が加速。
16:33
暗号資産(仮想通貨)の申告分離課税が実現したら?押さえておきたい税務のポイント|Aerial Partners寄稿
仮想通貨の申告分離課税が現実味を帯びてきた今、投資家が知っておくべき税制変更のポイントを解説。税率の一定化、損益通算、特定口座の導入可能性など、制度導入後の注意点と準備すべきことをわかりやすく紹介します。
16:10
CAICAテクノロジーズ、JPYC決済ソリューションの提供を開始
CAICAテクノロジーズが日本円ステーブルコインJPYCの決済ソリューション提供を開始。企業向けにコンサルティングサービスと決済モジュールを提供し、ステーブルコイン決済の導入を支援する。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧