リップル社が新たな補足文書提出
暗号資産(仮想通貨)XRPの有価証券問題をめぐる裁判で、7月19日、リップル社の弁護人が、被告による訴訟の棄却申し立てを裏付ける新たな補足文書を提出した。
この文書は、米証券取引員会(SEC)のHester Peirce委員およびElad Roisman委員による公式声明(7月14日付)で、すでにSECと和解に至ったBlotics社(旧称:Coinschedule)の訴訟に関するものだ。両委員は、この訴訟におけるSECの主張は支持するが、証券とみなされるデジタルトークンの判断基準をSECが明確にしなかったことを批判している。
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOと共同創業者のクリス・ラーセン氏(以下、個人被告)の弁護人は、両委員の批判を引用し、XRPが「証券として分類されるかどうかについて、規制上の不確実性が大きかった」という個人被告の主張を裏付けるものだと強調した。
Hester Peirce委員について
仮想通貨コミュニティでは「クリプトママ」と親しまれ、仮想通貨をはじめとする金融イノベーション肯定派として知られるSECコミッショナーの一人。革新的な技術の発展を阻害しない、明確で柔軟な規制の必要性を提唱。
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規制の遵守は可能だったか
SECは、個人被告が「XRPの提供および販売には証券登録が必要であり、これらの取引は不適切である」という事実を知っていた、もしくは「無謀にも無視した」上で、未登録証券の販売を幇助したことを訴訟の根拠としていると、弁護人は指摘した。
一方、Peirce委員とRoisman委員の声明には、「人々が適用される法律や規制をどのように遵守すれば良いかに疑問を抱いていることが、唯一確実なことだ」と記されており、XRPが「投資契約」であることを、個人被告が販売時点で認識していたとは言い難いと、弁護人は論を進めた。その上で、この訴訟には、被告が「知識や無謀さを必要とする犯罪」を犯したとする法的根拠がないと主張した。
公式声明
公式声明で言及している訴訟は、2016年から2019年にかけて、ウェブサイトでICOに関する情報を提供していた旧Coinschedule(現Boltics社)に対するもの。Coinscheduleが情報提供した2,500以上のデジタル・トークンには、投資契約として提供・販売されたもの(=有価証券)が含まれていたにもかかわらず、同社は情報開示義務を怠り、これらを宣伝することで報酬を得ていたとSECは指摘。証券法に違反していたとして訴えていた。
リップル社の弁護人側は、棄却申し立てを裏付けるものとして、公式声明から次のような点を引用している。
- 適用される法律や規制に遵守する方法に関して、人々が疑問を抱いている
- デジタル資産及びその取引に関して、市場参加者が明確に理解できていない
- 多くのデジタル資産に対するHoweyテストの適用が明瞭ではない
- SECが提供したガイダンスはあるものの、多様な要因があり検討されていないため、明確性が損なわれている
- 何が証券取引法に関与しているか否かについて、弁護士から署名してもらうことは困難
- SECによる訴訟や和解事例がガイダンスの主要な情報源となっているが、異なるトークンに適用できるかどうか明確な答えは得られない
- 明確な規制の道標を示した上で、無視したものに対する制裁措置を取るアプローチの方が優れている
- 人々が疑問を持っており、市場の混乱が続いていることを理解している。明確で時宜にかなった回答の提供を開始することが重要
元SEC高官の宣誓供述が認められる
SEC執行委員による公式声明に加え、SECの元企業財務部門部長であるWilliam H. Hinman氏が宣誓供述を行うことについて、原告と被告が合意したことがわかった。この合意により、リップル社側が様々な論点について、Hinman氏に質問する機会が与えられる。
#XRPCommunity #SECGov v. #Ripple #XRP UPDATE: "We have reached an understanding, reflecting a compromise by all parties, pursuant to which the Defendants may examine Mr. Hinman on various issues without triggering a privilege objection from the SEC." pic.twitter.com/BtT8uPZfR5
— James K. Filan 🇺🇸🇮🇪 (@FilanLaw) July 19, 2021
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同氏は、2018年6月に「SECはビットコインとイーサリアムを有価証券として分類しない」と発言したことで知られている。当時、仮想通貨の法的地位について規制当局が発言した例として大きく注目された。
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