はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

「仮想通貨の税制改正で推定52%税収増も」JCBA・JVCEA、申告分離課税や繰越控除に関する共同要望書提出

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨税制改正の要望書

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は11日、 2022年度税制改正にあたり、税制検討部会を中心として、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と共同要望書を取りまとめたことを発表した。

仮想通貨税制の課題や、アンケート調査から分析を行った増収効果と申告分離課税導入の有効性などについて説明した。

要望の骨子と提出の背景

JCBAは、日本暗号資産取引業協会から金融庁へ7月30日に要望書を提出したことを発表。仮想通貨税制改正の要望の骨子を明かしている。

暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。暗号資産デリバティブ取引についても同様とする。

要望書提出の背景については、以下の3点を挙げた。

  1. 税務申告促進の必要制
  2. 制度内の整合性
  3. 海外の仮想通貨税制との比較

「税務申告促進の必要制」について、「仮想通貨課税においては適正な税務申告が不可欠」と説明。

一方で、現行の法律では仮想通貨が総合課税とされており、利益に対する税率は一律でなく、最大税率55%と非常に高いこと、損失繰り越しができないことを課題として挙げた。また、こうした現状が、投資家が利益確定を避ける傾向を作り出しており、国の税収増に十分寄与していないと指摘した。

次に、「制度内の整合性」について、2020年の金融商品取引法や資金決済法の改正により、仮想通貨が「金融商品」と位置付けられたといえるにもかかわらず、税制は依然として総合課税のままであり、他の金融商品が分離課税であることを考慮すると整合性が取れていないと指摘。

また、利用者拡大を背景としてFX取引による収入が分離課税と定められた2012年当時のFXの口座数は390万であるが、現在の仮想通貨取引口座数は利用者が拡大し432万に上ることを考慮すると、「仮想通貨に分離課税を適用すべき」であると述べた。

「海外の暗号資産税制との比較」について、世界の多くの国が仮想通貨の税制を最大20%の分離課税としていることから、海外諸国と比較して日本の仮想通貨税率が高く、海外との競争力確保の観点から現状に警鐘を鳴らす記述も見られた。

我が国は、2017年4月に施行された「改正資金決済法」により、一時は暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン領域で世界をリードする立場にあった。

しかしながら、暗号資産(仮想通貨)に関連する現行の国内税制や、規制の適用を回避するために活動拠点を海外に移転する事業者が散見されるなど、諸外国と比較して、ブロックチェーン技術を活用した新たな事業が国内において増加していないという状況がある。

今後、ますます進展することが想定される暗号資産を利用した資金決済分野の革新や、暗号資産を決済手段として用いるブロックチェーン技術の応用による経済社会の高度化に際し、我が国の優位性を損ない、また次世代技術を用いた産業の戦略的な取り込みが危ぶまれる状況となっているものと思料する。

要望にあたり実施した取り組みについて、1万人を超える仮想通貨の個人投資家に対するアンケートを実施し、その回答データの分析を行ったと説明。さらに、他国の税制と比較しそれらに劣後しない環境整備を提言したという。

また、仮想通貨の多様で革新的な特徴の啓もう・投機の道具といった否定的なイメージの払拭を目的とした昨今のユースケースや海外動向について整理をした報告書を添付したことを挙げた。

アンケート結果

JCBAは、2022年税制改正要望に向けた調査の一環として、個人の仮想通貨投資家10,639人を対象とし、2021年6/7~7/16の期間にアンケートを実施。内容は、確定申告や分離課税などに関するものだ。

関連:日本暗号資産ビジネス協会、確定申告や分離課税に関するアンケート実施

アンケートの集計結果によると、84%が「2020年度の確定申告をしていない」、63%が「分離課税が導入されたら投資額を増やす」、90%が「分離課税が導入されたら毎年確定申告を行う」と回答したという。確定申告をしていない理由としては、年間利益が20万円以下(利確していないケースを含む)であったというものが最多だった。

税収への影響をシミュレーション

JCBAはアンケート結果をもとに、仮想通貨税制に分離課税を導入した場合における税収への影響をシミュレーションし、その結果を伝えている。

  1. 税率のみ20%に変更となった場合の税収の変化:58%減
  2. 1に加え、確定申告を行うと回答した者が確定申告を実際に行ったと想定した場合の税収の変化:27%減
  3. 2に加え、投資金額を増額すると回答した者が仮想通貨による所得を増額した場合の税収の変化:16%増
  4. 3に加え、仮想通貨による所得が20万円以下で確定申告を行うとした者が、実際に行ったと想定した場合の税収の変化:18%増
  5. 4に加え、分離課税となった場合に含み益を利確すると回答した者が、実際に利確した場合の税収の変化:52%増

シミュレーションの結果、申告分離課税が導入されれば、1)含み益の利益確定の促進 2)投資額の増額 3)損失繰り越しを理由とした積極的な税務申告 を促し、「+52%の税収増加が見込める」という結論に至ったという。

オンラインセミナー開催

同日、暗号資産に係る「2022 年度 税制改正要望書の公表」などをテーマにしたJCBA主催のオンラインセミナーが開催された。

JCBA会長で、仮想通貨取引所ビットバンクの代表も務める廣末紀之氏は、今回JCBAが行ったアンケート及びその分析結果について、「約1万人の投資家にアンケートを行い税収への影響などを分析したが、過去にこのような事例はなく、内容は充実している」と述べた。

JCBA税制検討部会会長の株式会社クリプタクト代表 斎藤岳氏は質疑応答に応じて、以下のように回答した。

2022年度税制改正の実現可能性は?

実現可能性についてはまだ探りかねる。

関係各所で説明をしてできるだけ早く実現したいと考えており、その可能性を高めるべく動いていきたい。

業界団体との連携を行うつもりは?

機会があればしていきたい。

現時点ではそういう動きはないが、可能性を高めるべく積極的に行っていきたい。

JCBAの税制検討部会は、仮想通貨・ブロックチェーンビジネスの健全な成長のため、税制の課題を整理し、税制改正要望の具体案をまとめ提言していく」ことを目的として2019年4月に発足された。運営メンバーは、仮想通貨取引所の運営企業を中心とした30の企業で構成されており、部会長は株式会社クリプタクト 代表取締役 斎藤岳氏、副部会長はコインチェック株式会社 経理財務部部長 竹ケ原圭吾氏が務める。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05/17 土曜日
14:00
アブダビ政府系ファンド、ビットコインETF買い増しで保有額750億円突破
アブダビのムバダラ・インベストメントが第1四半期にブラックロックのビットコインETFを49万株追加購入。ゴールドマン・サックスは最大保有者として3000万株を保有。
13:05
ビットコインETFフェイクニュース事件、犯人に懲役14か月の判決
米SEC公式Xアカウントを乗っ取り、ビットコインETFについてのフェイクニュースを流した26歳の被告に懲役14か月の判決が下りた。偽情報で仮想通貨市場を混乱させたことが重大視された。
11:00
ビットコイン長期保有数1437万BTCに到達も、利確売り強まる=アナリスト分析
ビットコインの長期保有者が3月から5月にかけて利益確定を加速。支出利益率は71%増加し227%の平均リターンを記録。長期保有量は1437万BTCに達するも、市場サイクルの分配フェーズへの移行を示唆。
10:10
トランプ家のWLFI、民主党議員による調査要請を正式拒否
トランプ一族の金融企業WLFIが上院による調査を拒否した。政治的動機と批判し、同社は説明責任や米ドル優位性を指針としていると主張。倫理規定違反の疑惑なども否定している。
09:02
ETH・BTC比率が5年ぶり急騰、アルトシーズンの到来示唆か
イーサリアム/ビットコイン(ETH・BTC)価格比率が過去5年最低水準から38%急反発。ETFによる買い増し、取引所流入減少などの指標から需要増加・売却圧力低下が鮮明に。「極端な過小評価ゾーン」からの回復が示すアルトコインシーズン到来の可能性を分析。
07:50
ビットコインで利回り獲得、Solvがアバランチ基盤の新トークン発表
仮想通貨ビットコインの保有者にRWAの利回り獲得手段を提供するため、Solv Protocolはアバランチ上にSolvBTC.AVAXをローンチ。ローンチの目的や仕組みを説明した。
07:30
10億ドルのビットコイン投資を検討、米上場のシンガポール医療企業
シンガポールの医療企業バーゼル・メディカル・グループが10億ドル規模のビットコイン投資に関する交渉を開始。ストラテジー社に続く大規模企業BTC投資の新事例として注目される中、「革新的な株式交換契約」を通じてアジア医療企業最強の財務体質構築を目指す。
06:45
米裁判所、SECとリップルの和解案を「手続き上不適切」として却下 再申請へ
米連邦地裁がSECとリップルの和解申請を「手続き上不適切」として却下。民事訴訟規則違反が原因で、両者は適切な手続きでの再申請を迫られる状況に。
06:25
イーロン・マスクの『Kekius Maximus』切り替えでミームコインが2倍以上急騰
イーロン・マスク氏がツイッターのプロフィール画像とユーザー名をミームトークン「Kekius Maximus」に変更し、関連トークンが2倍以上急騰。昨年の900%上昇・急落事例に続くマスク氏のSNS活動による仮想通貨市場への影響力を示す展開に。
06:05
サウジ中央銀行、15億円相当のストラテジー株保有でビットコインに間接投資
サウジ中央銀行がセイラーのストラテジー社の株を25656株取得し仮想通貨ビットコインへの間接投資を開始したことが確認された。
05/16 金曜日
17:00
マスクネットワークとは?仮想通貨MASKの買い方・取引所まで徹底解説
Mask NetworkはSNS×Web3をシームレスに接続するSocial-Fiプラットフォーム。本記事では特徴とMASKトークンの買い方を初心者向けに解説します。
13:50
米ステーブルコイン法案、来週末までの成立視野に 次の「起爆剤」との見解も
米上院のステーブルコイン法案「GENIUS法案」で新たな超党派修正案が決定された。消費者保護や倫理規定が強化され、5月19日に討論終結投票が予定されている。
11:58
ビットコイン高値圏推移もアルトコインは上昇一服
仮想通貨ビットコインは104,100ドルと高値圏で推移、アルト市場ではメイプルストーリー(NXPC)はバイナンス対応で一時高騰したほか、XRPは7,300万ドル相当の大口売りとリップル和解手続き却下で下落した。コインベースはサイバー攻撃で最大4億ドルの損失も被害者への返金を約束した。
11:30
ブラックロックの「BUIDL」、初めてDeFiと接続へ アバランチ利用で
ブラックロックの米国債ファンド「BUIDL」がアバランチ上のプロトコル「Euler」に導入された。セキュリタイズは、機関投資家のDeFi参入を促進する一歩になったとしている。
10:55
加速する企業のビットコイン争奪戦、米上場のDDC社が5000BTC取得計画
香港発DDCエンタープライズが5000ビットコイン取得計画を発表。テザーの4812BTC購入、アデンタックスの8000BTC購入のための交渉、ウクライナの国家準備金構想など、企業・国家レベルでビットコイン争奪戦が激化。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧