「仮想通貨はシャドーバンク」
民主党の元大統領候補である米エリザベス・ウォーレン議員は5日、ニューヨーク・タイムズの記事にて再び暗号資産(仮想通貨)に対する懐疑的な姿勢を示した。「仮想通貨は新たなシャドーバンク」だと非難している。
ニューヨーク・タイムズの記事では、7月に米国の5州で証券法違反の疑いで摘発されたBlockFiの事例を挙げ、DeFi(分散型金融)をはじめとする仮想通貨の情勢に規制が追いついていない状況を解説。
この中でウォーレン議員は、「従来の金融システムと同様のサービスを提供するDeFiは、消費者保護や財政的な安定性に欠けている」と指摘。銀行と類似したサービスを提供しながら、規制に沿わないシャドーバンクに擬えた。
また、「藁を金に変えるようなもの」と述べ、改めて仮想通貨に対する懐疑的な姿勢を見せている。
規制を上回る業界の成長ペース
米国でいまだに仮想通貨の法整備が明確化しない要因の一つとして、業界の成長スピードにポリシーメイカーが追いついていけない状況がある。2020年以降だけでも、分散的にレンディングや貸付サービスを可能にするDeFiや、NFT市場など新たな動向が目まぐるしいハイペースで進展を続けている。
仮想通貨業界の新たな動向に追いつき、また省庁間の連携を強化するために、米OCC(通貨監督庁)、FDIC(連邦預金保険公社)とFRB(連邦準備銀行)が連携して「デジタルアセット・スプリントイニシアチブ」を発足。仮想通貨やデジタル資産における共通の定義策定や、ユースケース及びリスクの理解、既存の規制におけるギャップの捜索、そしてこれらに基づいた政策ニーズを検討する。
米国内ではこうした状況を懸念する動きが強まっており、ウォーレン議員はこれまでに米財務省のジャネット・イエレン財務長官やSEC(証券取引委員会)のゲリー・ゲンスラー委員長らに規制強化を求める書簡を提出してきた。
ステーブルコインの規制
ゲンスラー委員長は、ウォーレン議員の書簡に回答する形で「法整備の優先順位が高いのは仮想通貨の取引、貸付、DeFi」などと発言。投資家保護や違法活動の監視の必要性も挙げたほか、DeFi市場で多く利用されているステーブルコインの規制も課題であるとしていた。
ゲンスラー委員長は7月時点で仮想通貨の全てのプラットフォームにおける取引の内、75%以上がステーブルコインを使ったというデータを引用し、ステーブルコインが資金洗浄や脱税などに利用されている可能性を問題視した。
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ニューヨーク連邦準備銀行の元監督であるリー・ライナーズ氏はステーブルコインが事実上、銀行預金として機能している点を指摘。また、従来の銀行口座と違い、FDIC(連邦預金保険公社)のような金融機関に保証されていない点に懸念を示した。
さらに、タイムズの記事によれば、ウォーレン議員もステーブルコインの強化を図る一案として、米国銀行がステーブルコインを裏付ける現金の保有を禁止すべきと提案しているという。
また、週末にかけてはSECが大手分散型取引所ユニスワップの開発企業を調査しているとのWSJの報道も判明。調査は早期段階にあるため、投資家がどのようにユニスワップを利用しているか、どのようにマーケティングしているかの情報を求めている状況で、必ずしも違法行為の疑いがかかっているとは言えないと解説していた。
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