伝統金融市場の値動き
日本国内のガソリン代が全国平均160円を超えるなど、およそ3年ぶり水準まで上昇した。
背景にあるのが、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことによる世界的な経済活動再開に伴う、石油需要の上昇だ。米ニューヨークの原油先物価格(WTI)は、およそ7年ぶりの高値を記録した。
石油輸出国機構とロシアなどの非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が、原油の追加増産を見送ったことで、高騰につながった。専門家によると、「市場は今後数ヶ月間は供給不足に陥ると認識している」。
原油高騰によるコスト増加で、企業業績が悪化するとの懸念も広がっており、株価に影を落としている。電気やガス代、原材料の値上がりにより、食料など物価も世界的に上昇している。
各国で懸念が強まっているのが、景気減速と物価上昇が並行して進む「スタグフレーション」だ。IMF(国際通貨基金)は6日、「世界経済の成長率の見通しを下方修正する見込み」としたうえで、多くの国でみられる物価上昇(インフレ率の急上昇)について、警鐘を鳴らした。
日経平均株価は、前場に前日比+461円と反騰したが、昨日までで実に12年ぶりとなる8日連続値下がりとなり、-3000円ほど大幅下落していた。
20年3月のコロナ・ショック以降、中期的な上昇の続いていた株式市場が一転して軟調となった背景には、原油価格上昇のほか、中国の不動産開発大手「恒大グループ」のデフォルト(債務不履行)危機や米政権の債務上限問題、テーパリング(量的緩和縮小)に伴う緩和マネーの巻き戻し懸念など複数要因がある。
また国内市場では、岸田新総裁が示唆する「株式の売却益や配当所得を含む、金融所得の課税強化」などの政策が嫌気された。
ビットコイン市場に資金集まる
このような状況下の中、ビットコイン(BTC)は騰勢を強めている。約5ヶ月ぶりに55,000ドルを超え、日本円建ての価格は600万円台に達した。
テクニカル的に良好な局面が続く中、米国初となる「ビットコインETF(上場投資信託)」に関する思惑が強まっているほか、著名投資家ジョージ・ソロス氏が運用するファンドでビットコイン保有が明らかになったことなどが投資家心理を後押しした。
Yes, the SEC has kicked can on bitcoin ETF approval BUT that is for the physically-backed ones under '33 Act. The futures ETFs filed under the '40 Act (which Genz loves) are very much alive and likely on schedule (we think 75% chance approved in Oct). Here's our odds: https://t.co/cSZ8aDsITl pic.twitter.com/DUEvRANvO7
— Eric Balchunas (@EricBalchunas) October 2, 2021
また、その存在を誇示するかように大口投資家(クジラ)によるOTC市場を使わない(公開市場での)買いも観測されており、強気心理を促進した可能性がある。
Someone(s) bought up $1.6B worth $BTC via market orders in just 5 minutes.
— Ki Young Ju 주기영 (@ki_young_ju) October 6, 2021
Short liquidations seem relatively smaller like $17M at that time.
This is more like whale buying, not cascade liquidations.https://t.co/dD3OsykiET pic.twitter.com/0NnvbmaYYm
ビットコインの占有率を示すドミナンス推移を見ると、9月上旬の40%を境に反転しており、直近では45.1%台まで回復した。
Messariの騰落率では、前日比、前週比ともにアルトコイン市場をBTC価格が上回っており、ここ最近はビットコイン主導の相場環境であると考えられる。
伝統金融市場が上昇トレンドから転落して不振にあえぐ中、仮想通貨市場では機関投資家の動きも再び活発になりつつあるようだ。
英大手仮想通貨投資企業CoinSharesの最新レポートによると、先週は、暗号資産の金融商品に対して計9,000万ドルの買いが見られ、7週連続の流入超過となった。
特に9月27日から10月1日までにかけては、総流入額の75%以上(6,870万ドル)がビットコイン関連の金融商品に流れ込み、一方で一部のアルトコインの商品は流出超過に。
CoinSharesはこれについて、「米証券取引委員会(SEC)、および連邦準備制度理事会(FRB)が、中国規制を念頭においた米議会の質疑回答において、目先の規制を否定するなど寛容な姿勢を示したことも影響している」と分析した。
機関投資家の資産運用会社は、現在571億ドル相当の運用資産(AUM)を保有しており、その内、ビットコイン投資信託を提供するグレースケールが448億ドル相当でトップを占める。
10/05/21 UPDATE: Net Assets Under Management, Holdings per Share, and Market Price per Share for our Investment Products.
— Grayscale (@Grayscale) October 5, 2021
Total AUM: $44.8 billion$BTC $BAT $BCH $LINK $MANA $ETH $ETC $FIL $ZEN $LTC $LPT $XLM $ZEC $UNI $AAVE $COMP $CRV $MKR $SUSHI $SNX $YFI $UMA $BNT $ADA $SOL pic.twitter.com/ja0eZp7CdD
モルガン・スタンレー・ヨーロッパオポチュニティファンドが規制当局に先日提出した資料では、グレイスケールのビットコイントラスト(GBTC)58,116株の保有が明らかとなった。8月下旬時点で、キャシー・ウッド率いるARKインベストに次ぐ、第2位の株式保有数となっている。
また、世界有数の金融機関のひとつであるバンク・オブ・アメリカ(BoA)は、ビットコインや中央銀行デジタル通貨(CBDC)をはじめ、市場規模の急拡大するNFT(非代替性資産)やDeFi(分散型金融)の潜在的ユースケースなどをカバーする詳細なレポートを掲載。暗号資産の「研究部門」を立ち上げたことを明かした。レポートによれば、暗号資産を取引する投資家数は20年5月に6,600万人だったが、21年6月時点で2億2,100万人まで膨れ上がっている。
個別銘柄の動向
個別銘柄では、国内上場するステラ(XLM)が前日比+10%を超え、一時40円台まで上昇した。 送金大手のマネーグラムが、ステラ財団と提携したことが好感された。
米The Blockが報じたところによれば、ステラ・ブロックチェーンと統合したマネーグラムネットワークが、米サークル社のステーブルコイン「USDC」を利用して決済し、利用者の現地通貨に変換する仕組み。
マネーグラムは以前、米リップルと提携していたが、XRPの未登録証券問題で米SECから提訴されたことを受け、今年3月に提携を解消した経緯がある。
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