TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

セグウィット(Segwit)とは?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインには問題点がある
長らく議論の対象となっている、解決すべき問題が2つあります。データ容量問題と、マウントゴックス社の事件の際に広まったビットコインの脆弱性です。
Segwitの仕組みを解説
2つの問題点を解決するために、Segwitは考案されました。
Segwitのデメリット
マイナー(マイニングをする個人や企業)達に負担が掛かる場合もあるため、反発されやすいです。
目次
  1. 概要
  2. ビットコインの問題点
  3. スケーラビリティ(scalability)問題とは?
  4. トランザクション展性(Transaction Malleability)とは?
  5. Segwitの仕組み
  6. スケーラビリティ問題解決方法
  7. トランザクション展性解決方法
  8. Segwit導入によるデメリット
  9. Segwit承認通貨
  10. まとめ

概要

セグウィット(Segwit)とは、トランザクション(取引履歴)を圧縮してデータ量を小さくする技術です。これは「スケーラビリティ問題」、「トランザクション展性」を解決できる技術として期待されています。

しかし、Segwitはマイナーにとってマイナスな面が大きいため、賛同が得る事が出来ずに殆どの通貨が導入出来ていません。ビットコイン分裂問題でも長らく争点となっています。

ビットコイン分裂問題について詳しくはこちら

ビットコインの問題点

前述したように、Segwitは「スケーラビリティ問題」、「トランザクション展性」の2つの問題を解決出来るとしていますが、それぞれの問題について解説していきます。

スケーラビリティ問題 トランザクション展性
概要 ブロックのデータ容量に余裕がなく、送金遅延等の問題が起きてしまっています。ビットコインのブロックのデータ容量は1MBです。 ビットコインの「トランザクションID」というデータが外部から改ざん出来る脆弱性があり、マウントゴックスがこの脆弱性を突く攻撃を受けたことを発表しました。

スケーラビリティ(scalability)問題とは?

スケーラビリティとは、システムの拡張性や柔軟性です。つまり、機能が拡張、もしくは負荷が増大した場合、どれだけシステムが柔軟に対応出来るかということです。

まず前提知識として、ブロックチェーンの「ブロック」には取引の記録が書き込まれていき、ビットコインの場合約10分ごとに新しいブロックが生成されていきます。

パソコンのハードディスクに「容量」と呼ばれる、どれだけの量のデータを保存できるかの値が存在するように、ブロックにもデータ容量というものがあります。

ビットコインのブロックのデータ容量は1MBという値です。

現在ビットコインのブロックはこの1MBギリギリまで使用されている場合が多いです。

ビットコインの取引量が増えていくと、今よりも更にデータの処理速度が遅くなってしまうでしょう。

これがスケーラビリティ問題であり、現状では解決方法の一つとしてSegwitが期待されています。

他の解決方法としてブロック容量の拡大もよく議論されますが、この2つの適用方法にはソフトフォークとハードフォークという違いがあります。

それぞれの詳しい説明は別記事で説明するとして、簡単に述べると

「ブロック容量の拡大」=ビットコインが分裂する(ハードフォーク)
「取引データ量の縮小(Segwit)」=ビットコインが分裂しない(ソフトフォーク)

という違いがあります。

トランザクション展性(Transaction Malleability)とは?

ビットコインでの取引は「トランザクション」と呼びます。

トランザクションとは、あるビットコインアドレスからどのビットコインアドレスに幾ら送金されたかを示します。

このトランザクションには、それぞれIDが設定されています。

そしてこの「トランザクションID」が外部から変更可能であるという、ビットコインに存在する脆弱性が「トランザクション展性(Transaction Malleability)」と呼ばれ問題になっています。

注意点として、変更可能なのはトランザクションIDだけです。

取引情報(例:AさんからBさんへ3BTC送金した、という情報)は署名で保護されているため、トランザクションIDを変更したとしても仮想通貨の送金先、送金額の変更は出来ません。よって直接ビットコインを盗難することは不可能です。

では何が問題なのかと言うと、ウォレットや取引所がこのトランザクションID「だけ」を参照して取引を識別していた場合です。

こういった取引所やウォレットが管理しているトランザクションIDを外部から変更することで、ID不一致が多く出てしまいます。

その結果、ビットコインの2重送信が多発してしまったり、データの整合性が取れなくなり、改ざんされた取引がビットコイン・ネットワークに承認されてないかのように見せかける事が出来てしまいます。

例として、2014年にビットコインを消失したマウントゴックス社がこのトランザクション展性を利用した攻撃を受けたと発表しました。

この発表を信用した場合、マウントゴックス社はこのトランザクションIDを参照する事で送金履歴を管理する古い仕組みを利用していたため、ID不一致が多く出てしまい様々なデータ不整合が出てしまった、ということになります。

システムがIDを誤検出することでビットコインが何度も送信されてしまう、といった現象を外部から起こされてしまったのです。

また、この攻撃によって他の一部のウォレットアプリもID不整合により仮想通貨の送金、口座残高の参照が不可能になりました。

Segwitの仕組み

「スケーラビリティ問題」、「トランザクション展性」という問題について、Segwitがどのように解決するのかを解説していきます。

スケーラビリティ問題解決方法

取引データを分解すると、インプット、アウトプット、電子署名の3つに分けることが出来ます。

インプット=送信元の情報
アウトプット=送信先の情報
電子署名=データに付与される電子的な署名

Segwitではこの3つの内、「電子署名の部分だけを別管理」にすることで取引データを縮小することが出来ます。

これにより、約60%の取引データの圧縮が可能と言われています。

これによりブロックにより多くのデータを収納することが出来るようになり、前述したスケーラビリティ問題を解決出来ると期待されています。

ちなみに、Segwit適用後の理論上のブロックの最大容量は約4MBと言われていますが、ブロックの平均の容量は約1.7MB程度だろうと推測されています。

トランザクション展性解決方法

先程、Segwitでは「電子署名の部分だけを別管理」すると述べました。

実際には署名の他にもデータが含まれていますが、それらはトランザクションIDの計算に使われるデータです。

そのデータがSegwitにより取引データ本体とは別の場所に移された結果、外部からトランザクションIDを変更することが出来なくなります。

これにより、マウントゴックスが受けたトランザクション展性攻撃のような取引所やウォレットに対しての攻撃が出来なくなり、取引所やウォレットの開発者にとっては、単純にトランザクションIDのみを参照し取引を認証する仕組みを作ることでコードが単純になる、という利点があります。

Segwit導入によるデメリット

この様に、Segwit導入することによるメリットは大きいとされていますが、導入している通貨はそれ程多くありません。理由として、マイナー(マイニングを行う個人や企業など)の反発があるからです。

そもそも、Segwitを導入するためにはある一定数のマイナーの賛同が必要になります。

ただし、マイナーにとってSegwit導入はデメリットもあります。

もしSegwitを導入することになれば、ノードと呼ばれるコンピューターをSegwitに対応するものに変える必要がある場合も存在します(ただし、必ず変更する必要がある訳ではありません)。

またビットコイン分裂騒動で度々名前の挙がる、中国でマイニング機械を販売している企業Bitmainの、高性能マイニング製品ASICBoostが使えなくなるとも言われていました。

逆にマイナー以外の視点から見ると、ASICBoostを使っているマイナーが有利になる状況は、ビットコインの本来の目的である「非中央集権での平等」に反しているため、ASICBoostが効かなくなることがメリットとなります。

そのためビットコインでは強制的なUASFという案によりSegwitが導入されようとしていました。

しかし、ビットコインで可決されたSegwit2xという案ではASICBoostがそのまま使えるとも言われており、それによって最終的には多くのマイナーの支持を集ることになりました。

Segwit承認通貨

2017年4月21日:デジバイト(DigiByte)

2017年4月23日:モナコイン(MONAcoin)

2017年4月27日:ライトコイン(Litecoin)

2017年7月21日:ビットコイン(Bitcoin)

Segwitが採用される段階に近付いていくタイミングで、それぞれの通貨が価格を上げています。ビットコインについては複雑な経緯がありますが、Segwitロックイン後の8月には過去最高値を更新し続けています。

ある仮想通貨がSegwitを導入するか議論している、という情報が広まった場合、価格が上がる可能性が高いと言えるでしょう。

まとめ

Segwitは「スケーラビリティ問題」、「トランザクション展性」を解決する方法として評価されています。

2017年7月21日、ついにビットコインでもSegwit導入が決まりました。

しかしマイニングの面から見るとデメリットがありますので、マイナー達の反発により、他通貨でSegwitが否定される可能性も十分にあります。

恐らくこれからもSegwitについては各所で議論されていくでしょう。

CoinPostではそういった最新情報を海外ニュースの翻訳等から取り上げていきますので、是非チェックして下さい。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
11/21 木曜日
17:00
BitwiseがソラナETF準備開始 デラウェアで信託登録完了
暗号資産運用大手Bitwiseが、ソラナ(SOL)ETF組成に向けデラウェア州で信託登録を完了した。VanEck、21Sharesに続く参入となる。
16:59
バイナンス、5種類の仮想通貨取引ペアを11月22日に取扱い中止
大手取引所バイナンスが、THETA/ETHやRARE/BRLなど5種類の仮想通貨取引ペアの取扱い中止を発表。11月22日12時より取引停止へ。各トークンは他の取引ペアで継続取引可能で、価格への影響も限定的。スポット取引ボットサービスも同時終了。
15:27
ビットコイン1500万円突破 ETFオプション解禁で資金流入加速
ビットコインが史上初めて1500万円を突破した。米国でETFオプション取引が解禁され、機関投資家の参入が加速。IBITへの1日1000億円規模の資金流入が継続する中、トランプ政権への期待も相場を押し上げる。バーンスタインは3100万円到達の強気予想を見立てている。
13:10
ソラナPhantomウォレット、米AppStoreの無料ユーティリティアプリ部門でトップに
ソラナ基盤のPhantomウォレットが米AppStoreで無料ユーティリティアプリ部門1位を獲得。無料アプリの総合部門でも5位に躍進した。
11:25
半導体大手エヌビディア決算報告 過去最高の売上高
エヌビディアが8~10月期決算を発表。売上高は再び過去最高を記録した。AI需要拡大で業績好調も、成長率の鈍化予想で株価は下落している。
11:05
米SEC、仮想通貨指数ETFの上場判断を延期
ゲンスラー率いる米国証券取引委員会は、米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンの仮想通貨指数ETF「EZPZ」の承認判断を延期した。
09:40
「仮想通貨は申告分離課税で20%に」国民民主党の玉木代表が与党に要望
国民民主党の玉木代表が仮想通貨税制改正を与党に要望した。雑所得から申告分離課税にすることを提案している。
07:50
テザーUSDTが3000億円分新規発行、市場に流動性注入
今週仮想通貨ビットコインの上昇に際し、ステーブルコインのテザー(USDT)が大量に発行されたことが明らかになった。
06:50
米上場のバイオ企業、ビットコイン財務戦略を採用
米上場のバイオ医薬品企業のHoth Therapeuticsは、最大100万ドル相当の仮想通貨ビットコイン購入を取締役会で承認した。
06:40
トランプ次期政権、史上初の仮想通貨特命官ポストを検討
トランプ次期大統領の移行チームは仮想通貨政策に特化した史上初の常勤のホワイトハウスポジションの設置を積極的に検討しているようだ。
06:20
マイクロストラテジー時価総額が米国トップ100に、ビットコイン史上最高値更新受け
仮想通貨ビットコイン続伸を受け、BTCを大量に保有する米マイクロストラテジー社の株価も続伸し、史上最高値となる504.7ドルに到達し米国で時価総額トップ100にランクインした。
11/20 水曜日
17:03
韓国の仮想通貨課税、2025年1月から導入見込み
韓国政府が2025年初頭から実施予定の仮想通貨課税について解説。免税限度額を250万ウォンから5000万ウォンへ大幅引き上げで、年間利益560万円未満は非課税に。取得価格不明時の代替計算方法導入など、投資家に配慮した新制度の詳細を紹介。11月下旬の法案可決を目指す。
14:00
BONK急騰、アップビットでウォンペア提供開始
韓国最大の仮想通貨取引所Upbitは20日にソラナ基盤の犬系ミームコイン「BONK」の新規上場を実施し、韓国ウォンの通貨ペアを新たに提供し始めた。
13:57
Ledger Stax・Flex完全ガイド|仮想通貨の高性能ハードウェアウォレットを徹底比較
10周年を迎えたLedgerの次世代ハードウェアウォレット「Stax」と「Flex」を詳しく解説。大画面タッチパネル搭載の最新モデルの特徴から、定番のNanoシリーズとの違いまで完全網羅。セキュリティと使いやすさを兼ね備えたウォレットの全貌を紹介しています。
13:20
マイクロストラテジー会長、マイクロソフト株主総会でビットコイン投資を提案へ
米マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー会長が、マイクロソフト株主総会で3分間のビットコイン投資プレゼンを実施すると発表。ビットコイン投資は株主にとっても、株価を左右する重要な議題であり、総会で議論されるべきだと述べた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/12/01 09:30 ~ 20:00
東京 墨田区文花1丁目18−13
重要指標
一覧
新着指標
一覧