ステーブルコインの消費者リスクについて照会
米国のSherrod Brown上院議員は23日、ステーブルコインが消費者や投資家に与えるリスクに関して説明を求める書簡を、ステーブルコイン発行者や関連事業者に送ったことがわかった。
USDコイン(USDC)の発行に携わる米サークル社のJeremy Allaire CEOに宛てた手紙には、次のように書かれている。
ステーブルコインを使用する消費者が増えており、暗号資産(仮想通貨)の取引を行う上でもステーブルコインの重要性が高まっていることから、USDCの基本的な運営体制や制限事項について理解を深める必要性がある。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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Brown議員は、同様の手紙をUSDTを発行するテザー社、Paxos、TrustToken、Centre、そしてコインベース、ジェミナイ、米国版バイナンスなどの仮想通貨取引所にも送ったという。
書簡の内容は、12月3日を回答期限として、発行者に対して、トークン発行や償還のプロセス、および発行者が特定の取引プラットフォームと結んでいる取り決めについて「明確でわかりやすい言葉」で説明するよう求めるものだ。
購入や償還リスクを懸念
Brown議員は、2日に米バイデン政権の金融市場作業部会(PWG)が発表したステーブルコイン規制に関するレポートを参照して、次のように述べている。
PWGが指摘したように、主要な発行者が提供するステーブルコインの時価総額は、2021年10月時点で1,270億ドル(約15兆円)を超え、前年比で約5倍増加している。
デジタル資産やステーブルコインの制度が複雑であり、信頼性あるプラットフォームも不足していることから、投資家や消費者が、これらの資産の機能やリスクについて、十分に理解していない場合がある。
こうした懸念を背景にして、Brown議員は、次のような事項を説明するよう宛先に求めている。
- 顧客がステーブルコインを米ドルで購入するための基本的なプロセス
- ステーブルコインを換金して米ドルを受け取るためのプロセス(最低交換金額、待ち期間、資格など)
- これまでのトークン発行数、そのうち償還された数
- ステーブルコインを米ドルや他の仮想通貨で購入あるいは償還することを妨げるような状況
- ステーブルコインについて、契約上の特権を持つ取引所と、特権内容
- ある規模のステーブルコイン償還が、そのステーブルコインや関連企業の財務などに与える影響
米国ではステーブルコイン規制に関する議論が活発になっているところだ。財務省が主導する金融規制当局のグループは、リスクを抑えるために、決済に用いられるステーブルコインの発行を、従来型銀行など、保険に加入している機関に限定する要望を提案した。
一方で、FRBのChristopher Waller理事のように、発行者を銀行に限定すると競争が減り、決済の効率が低下するとして、この案に異議を唱える者もいる。