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EU議会、14日投票の「仮想通貨法案」にPoW禁止条項を再追加  ブロックチェーン業界から反発の声

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

PoW銘柄の禁止条項、再び

欧州議会で14日投票が予定される暗号資産(仮想通貨)法案「MiCA」に、ビットコイン(BTC)などPoW銘柄を規制する条項が再び盛り込まれることがわかった。CoinPost提携メディアのThe Blockが報じた。

MiCA(Markets in Crypto-Assets Directive)こと「暗号資産市場に関する指令」は、マイニングを要するPoW(プルーフオブワーク)関連銘柄を禁止することで、業界内外から反発を受けていた。

課題となっていた条項は、マイニングが石炭や火力発電など、環境負荷の大きいエネルギー利用を問題視する姿勢から出ており、EU圏内での仮想通貨マイニングとPoW銘柄の取引を禁止するものとなる。

関連:EU議会、PoW銘柄を禁止する条項を規制案から削除

3月上旬には、規制案草稿から取り除かれていたが、週末にかけて「妥協案」として再び類似した文言が含まれていることが確認された。最新の条項は以下の通り。

暗号資産は、欧州連合内で発行、提供、または取引を認められる前に、取引承認に用いるコンセンサス・メカニズムに関して、最低限の環境持続可能性基準を満たす必要があるものとする。

また、すでに仮想通貨マイニングを行う企業にはコンプラ遵守を段階的に行う計画を設置することを義務付ける。

同法案の投票は当初2月28日に行われる予定だったが、PoW銘柄の禁止に関する条項が物議を醸し、延期されていた経緯がある。

関連:EU議会、仮想通貨規制案の投票を延期へ

強まる反発の声

フランスのPierre Person議員は、欧州時間14日に投票が行われるMiCA法案が可決した場合、「欧州における仮想通貨の将来に大きな打撃を与えかねない」と懸念を示した。また、ビットコインやイーサリアム(ETH)などの仮想通貨だけではなく、長期的にはNFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)などの導入も妨げると指摘。

Person議員は、「PoW技術の禁止は技術的な中立性に欠ける」と批判した。マイニングそのものではなく、化石燃料を利用したマイニングを禁止して、再生可能エネルギーを利用する業者にはインセンティブ設計をすべきだと提案。仮想通貨領域における欧州の競合性を損なわないためには「技術そのものではなく、将来的なユースケースを規制すべき」だと述べた。

また、フランスに拠点を置く大手仮想通貨ウォレット企業Ledger社も12日、MiCA法案に対する声明を発表。LedgerのPascal Gauthier CEOは「インターネット(Web2.0)と同様、Web3.0領域でも欧州のリーダーシップを米国などに譲る状況になりかねない」と反対を述べた。

Ledger社は最終段階でビットコインやイーサリアムなどのPoWプロトコルを採用したブロックチェーンや仮想通貨を欧州領域において禁止する条項を盛り込んだと説明。「政策立案者(ポリシーメイカー)は特定の技術を強制したり、差別すべきではない」と非難した。

仮に、BTCやETHを禁止した場合、仮想通貨取引所の収益の大部分が失われるため、欧州市場からの撤退も余儀なくされる可能性が浮上すると懸念する。DeFiプラットフォームもETHがなくては機能しない反面、禁止しても技術は事実上アクセス可能であるため、仮想通貨を禁止しても企業が米国やアジアに流出するだけだと指摘した。

また、バイデン政権が先週9日に発令した仮想通貨関連の大統領令では、米政府が仮想通貨領域における「リーダーシップを発揮する」ことに意気込みを示していた点を取り上げ、MiCA法案の実現はWeb3.0領域においても米国に主導権を渡してしまう状況につながると考察。

欧州市民には、地区の議員に反対するようSNS上で呼びかけた。

関連: 米バイデン大統領、仮想通貨関連の大統領令に署名

有識者の見解は

米国の仮想通貨規制情勢の分析で定評のあるブロックチェーン協会のJake Chervinsky氏はMiCA法案が米国の規制情勢よりはるかに仮想通貨にとって悪い影響を与えると考察。法案の「環境持続可能性基準」はビットコインを禁止する口実になりかねないと懸念した。

欧州連合の次の(法案策定)プロセスでこのような条項を削除することは可能である反面、「とても悪い状況」だと評している。

また、PoW銘柄の次にはPoS(プルーフオブステーク)の禁止が次々と起こると予想。根本的な課題は環境への影響ではなく、「国家が発行していないお金」に対する政策であると危惧した。

ビットコインETFの承認を目指すVanEck社のデジタルアセット戦略ディレクターであるGabor Gurbacs氏は他の業界とビットコイン・ネットワークの二酸化炭素(Co2)排出量を比較するチャートを引き合いに、「欧州議会は他の産業を禁止すべき」だと反対の声をあげた。

また、フェイスブックの独自通貨ディエム(旧称:リブラ)の開発責任者を長らく努めたDavid Marcus氏は欧州の「MiCA法案は保護主義的な政策」であると批判。政府の交付金や助成金を通じてではなく、イノベーションを育む有利な規制や政策を通じて、国際的な競争力を高めるべきだと考察した。

また、短絡的な規制は欧州がWeb3.0領域において米国に遅れをとる状況につながると非難。ESGなど環境面を過度に懸念することは欧州にとって今後大きな損失を齎しかねないとした。

PoW銘柄の仮想通貨を禁止しようと試みるEUとは対照的に、米国政府は9日に仮想通貨に関する大統領令を発表したばかり。ホワイトハウス主導の下、多数の政府機関に仮想通貨に関する調査と政策提言を命じた。

調査項目には、仮想通貨が米政権の環境政策に与える影響も含まれているものの、業界の有識者は「米政府が仮想通貨をアメリカの経済における重要な一部であることを認めた」と捉える声もあり、大方の見方は肯定的だと分析していた。

関連:反響広がる仮想通貨関連「米大統領令」、政府関係者や有識者らの見解まとめ

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