はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

分散型アイデンティティ(DID)と自己主権型アイデンティティ(SSI)の進歩|新たなユースケースとは=XSL Labs寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

XSL Lab寄稿

この投稿は、「Magazine Capital」という雑誌に掲載されたグレゴリー・レイモンド氏によるニュースレター「21 Millions」記事の第1部です。

世界人権宣言は、アイデンティティを所有する人の権利と、法律のもとで、人としてあらゆる場所で認められる権利を擁護しています。アイデンティティの権利の重要性を理解するための具体的な事例として、子供の保護が挙げられます。

世界の子どもを児童労働や強制結婚から守るため、子供が実証可能なアイデンティティと信頼できる関連情報(年齢)を持つことが必要不可欠です。

一般的なデジタルID(および関連された情報)は従来、政府や機関・または民間団体など、さまざまな中央当局が発行しています。

例えばフランスの場合、「France Connectでログイン」ボタンをクリックして国の公共サービスによって発行されたデジタルIDを使用したり、「Googleアカウントでログイン」をクリックすれば外国のサービスによって発行されたIDを使用することができます。どちらの場合も、これらは中央集権型ID(Centralized digital identity)の例です。

対照的に、自己主権型アイデンティティ(Self-Sovereign Identity)は、分散型IDの新しい技術機能を使用して、個人が中央集権型のサービス(機関)やストレージを介さずとも、IDの保管・制御を可能にする仕組みです。

検証可能なIDと関連データ(推定値を含む)を取得するため、さまざまな関連者(サービスプロバイダーや認証局、ユーザーなど)が、データをブロックチェーンに保管することで信頼を作ることができます。パブリックプロファイルを定義したり、信頼できるタイムスタンプ付きのトレースを取得したりできます。

また、ブロックチェーン自体には個人データは含まれていません。

実際、ブロックチェーン技術の応用はデリケートな事例であり、歴史的な中央集権的な当局(政府、企業、IT大手)の役割を削減・制限できる可能性があります。

分散型IDウォレットを使用すると、ユーザーは分散型アイデンティティに関連付けられた個人情報(データ)の制御を向上させることができます。このウォレットは、モバイルアプリケーション(dApp)やWebブラウザ拡張機能(Metamaskなど)、または簡略化されたハードウェアウォレット(NFCスマートカード)など、さまざまな形式があります。

自己主権型IDの保有者は、個人的な関係(家族など)、ビジネス関連の顧客、政府機関、さらにはアイテムのものであるかどうかにかかわらず、提示の際、信頼できる仲介者を求めることなく、個人データの一部を検証することを選択できます。

これらの証明可能な個人データは、「検証可能な資格情報」になります。

出典:XSL Labs

分散型ID所有者による検証可能な資格情報(クレデンシャル)の取得

正確に言えば、ブロックチェーンとユースケースに応じて、分散ストレージスペース(IPFS、Arweaveなど)を要求することもできます。

個人情報の共有に関するユーザーの同意を向上させることもできます。これは、新しい権利の確立に貢献する可能性のあるプライバシーへの一歩前進として考えられています。

ビットコインの場合のように、この新しいアーキテクチャは、古くて永続的な問題に対して、非常に必要とされている巧妙で技術的な解決策を提供しています。

ブロックチェーンの種類を自由に選べるし、同じブロックチェーンに対していくつかの方法があります。たとえば、ビットコインブロックチェーンで参照される方法はすでに3つあります。(Sidetreeを介してレイヤー1のBTCRとレイヤー2のIONを含む)

現在、仕様、文書化、および標準化に関する作業は、認められた連邦機関であるW3Cや分散型ID財団(Decentralized Identity Foundation)によって開発されており、十分に進歩しています。

成熟した標準化により、歴史的な中央組織は、古いプラットフォームとこの新しいアーキテクチャの間の「ブリッジ」を作ることを考えています。これは、eIDAS準拠のデジタルトラストサービスと自己主権型アイデンティティ・ソリューション間の可能な相互作用に関する欧州連合の取り組みに似ています。

ビットコインのように、DIDという革新は以下のような研究の成果から成り立っています。

  • Pretty Good Privacy (PGP) の生みの親であるフィル・ジマーマン氏の「Web of Trust」(90年代)
  • カール・エリソン氏の「認証局のないID」に関する出版(90年代)
  • 旧マイクロソフトのキム・キャメロン氏が執筆した「The Laws of Identity」(アイデンティティの原則・2005年)
  • Audun Jøsan氏とSimon Pope氏の「User centric identity management」(中心アイデンティティ管理)に関する研究(2005年)
  • W3Cの「Verifiable Credentials」(検証可能な認証情報)に関する初期の研究(2006年)
  • 創設者モクシー・マーリンスパイク氏の暗号化メッセンジャーアプリ「Signal」についての研究(2012年)
  • SSL/TLS共同発明者であるクリストファー・アレン氏の「個人的および文脈的プライバシーの概念」(Personal and contextual privacy) に関する研究及び自己主権型アイデンティティ(SSI)についての提唱(2016年)
  • 「Rebooting the Web of Trust」(信頼のWebの再起動」)での最初のワークショップの際、ヴィタリック・ブテリン氏、クリストファー・アレン氏等より、分散型公開鍵インフラ(DPKI/PKI)の必要性に関するホワイトペーパー(2015年)

公開された、オープンで、検閲に強いブロックチェーンの登場により、不変性、可用性、透明性の新しい機能を提供することで、集中化から解放されました。

ただし、デジタルIDに関する陰謀論(「中国ではみんなデジタルIDを持っている!」、「体内にマイクロチップが埋め込まれる!」、「コロナウィルスのQRコードと関係ある!」など)を読むことは多いです。空想と無能を蓄積する中傷者によって書かれました。

残念ながら、この中傷者は、分散型アイデンティティの創案者が最初に警戒心を示したことさえ理解していません。

このテクノロジーの誤った定義を回避するため、提唱者であるクリストファー・アレン氏によって定義された自己主権型アイデンティティに関する「10の原則」に基づく分散型識別子(DID)です。

  1. 存在(Existence)
  2. コントロール(Control)
  3. アクセス(Access)
  4. 透明性(Transparency)
  5. 永続性(Persistence)
  6. 携帯性(Portability)
  7. 相互運用性(Interoperability)
  8. 同意(Consent)
  9. 最小化(Minimalization)
  10. 保護(Protection)

ユーザーは、デジタル世界の仮想的な存在ではなく、独立した存在(個)を持っていなければなりません。デジタルアイデンティティは、個人の完全なアイデンティティの部分のみにアクセス可能であるべきです。(自由意志で部分的にするために、複数の分散型アイデンティティの保持を容易にする必要があります)

また、ユーザー自身が、IDとデータの使用方法をコントロールしなければなりません。 ユーザーだけが個人情報を共有・更新・隠すことができるべきなのです。

さらに、ユーザーは、仲介者の介入なしに、すべてのデータへのアクセス権を持っていなければなりません。情報の一部でも、第三者が隠したり維持したりしてはなりません。

また、システムとオープンソースのアルゴリズムは技術的に、そして管理的に透明性が高い必要があります。そして、中央機関に依存することなく、IDは長期的に利用できる必要があり、「ユーザーの忘れられる権利」とは相反するものであってはなりません。

例えば、検証可能な資格情報の発行者が消える場合でも、「自由意志で」忘れられる権利を侵害することなく、過去の発行を確認し続けることができるはずです。

他にも、アイデンティティに関する情報とサービスはポータブル(持ち運び)可能であるべきです。信頼できる機関であっても、IDを単一の第三者が保持するべきではありません。

また、IDは、世界中のさまざまなシステムで可能な限り広く使用できる必要があります。サービスは標準化して、サービスや機関、ユーザーなどを問わず、誰もが同じシステムを使用できるべきです。

さらに、データ保護に関する議論の中で欧州でも大きな論点となっているプライバシーの観点からは、ユーザーの同意も大きな原則の一つです。ユーザーは自分のアイデンティティが利用される際には同意するべきです。

また、可能な限り、身分証明で必要となるデータの開示は最小化されるべきです。IDを利用する場面で可能な限り最小限の個人情報を提供することが目標となる必要があります。

また、ユーザーの権利は保護されていなければなりません。 IDシステムのニーズがユーザーの権利と矛盾する場合は、ユーザーの権利が優先されます。 システムはまた、分散型アルゴリズムを使用し、検閲耐性を持ち、コンピューター攻撃にも対応できる必要があります。

分散型IDを使用するためのフレームワークは、急速に拡大しており、新しいユースケースがあります。

W3Cによってリストされたユースケースを説明する前に、新しい機会を紹介する最近のニュースのいくつかの例を次に示します。

  • ピアツーピア、ユーザー間の「フラットユースケース」と呼ばれるものに関するDIFの考察
  • OpenID Foundationの作業「検証可能なプレゼンテーションのためのOpenID Connect」に基づいて、検証可能なプレゼンテーションをOpenID Connectプロトコルフローに統合すること
  • 新しいメタバースに分散型IDを使用することを求める記事の急増
  • 分散型アイデンティティを最大限に活用できる新しい分散型自律組織(DAO)の進歩的な流行

注意点として、前回の記事で、W3Cによってリストされた検証可能な資格情報の標準的な使用法についてすでに説明しました。

結論

分散型アイデンティティおよび自己主権型アイデンティティは、豊富な技術的進歩を伴う幅広い活動分野です。また、しばしば魅力的な哲学的・政治的な議論に遭遇する分野とも言えます。

フランスの企業やスタートアップは、このトピックスや課題にまだ取り組んでいません。米国のクラウド企業(ビッグデータ社会)から簡単に解放できるデジタルアイデンティティのセクター全体が、米国のソリューションプロバイダーによって独占されていたとしたら、将来、プライバシー権の保護はどうなるでしょう。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
01/29 木曜日
05:30
米フィデリティ、独自ステーブルコインFIDDを数週間以内にローンチ
資産運用大手のフィデリティ・インベストメンツが初のステーブルコイン「フィデリティ・デジタル・ドル(FIDD)」を数週間以内にローンチすると発表した。個人投資家と機関投資家の両方が利用可能となる。
01/28 水曜日
16:51
ヴィタリック氏、「意義あるアプリ不足がイーサリアム最大のリスク」
イーサリアム創設者ヴィタリック・ブテリン氏がインタビューで、イーサリアム最大のリスクは技術的脆弱性ではなく「社会的意義のあるアプリケーション不足」だと警告。仮想通貨業界の「終末シナリオ」を避けるため、投機から実用へのシフトを訴えた。
16:04
レイ・ダリオ「世界秩序は崩壊の瀬戸際」、ビットコインの真価問われる
著名投資家レイ・ダリオ氏が米国の秩序崩壊リスクを警告。金が史上最高値を更新する中、ビットコインは「デジタルゴールド」として機能するのか、その真価が問われている。
15:46
英広告当局、コインベース広告を禁止 仮想通貨リスクを「軽視」と判断
英国の広告基準局がコインベースの風刺的な広告キャンペーンを禁止。仮想通貨リスクの適切な開示を欠いたとして「無責任」と判断。同社は決定に反論している。
14:17
ビットコイン、60日間のレンジ相場が継続 米国の売り圧力が主導=Wintermute
Wintermuteが26日に投稿した市場分析で、ビットコインが85,000~94,000ドルのレンジで60日間推移していることを指摘。記録的なETF資金流出により米国の売り圧力が市場を主導していると分析した。今週のFOMC会合やビッグテック決算が転換点となる可能性を示唆している。
13:30
イーサリアムのAIエージェント向け新規格ERC-8004、メインネットで間もなく稼働へ
イーサリアムがAIエージェント間の安全で信頼性の高い相互作用を可能にする新規格ERC-8004をメインネット上で間もなく稼働させると発表した。AIサービスがゲートキーパーなしで相互運用できるグローバル市場を実現へ。
13:05
「仮想通貨決済が日常の商取引に浸透しつつある」ペイパルら調査
決済大手ペイパルらが店舗による仮想通貨決済の導入状況について最新調査を実施した。業界別の導入率や売上への影響など、詳細データを解説する。
11:45
テザーが世界有数の金保有企業に、140トンで銀行・国家以外では最大規模
ブルームバーグによると、仮想通貨大手テザーが約140トンの金を保有し、銀行や国家以外では世界最大の金保有者となった。IMFデータでは世界トップ30の金保有者に入る。
11:20
ヘイズ氏、日銀・FRBの市場介入で「ビットコイン上昇の可能性」
BitMEX創業者ヘイズ氏が日銀・FRBの市場介入シナリオを分析。円安とJGB利回り上昇を受け、FRBが実質的なQEを実施する可能性を指摘。バランスシート拡大によりビットコイン価格上昇の可能性があると予測。
10:50
金融庁、資金決済法改正案でパブコメ募集
金融庁は、資金決済法の改正案を公開し、パブリックコメントの募集を開始。ステーブルコインの発行・運用に関係する改正案が特に注目を集めている。
10:20
モルガン・スタンレーが仮想通貨事業を本格強化、戦略責任者ポストを新設
米金融大手モルガン・スタンレーがデジタル資産戦略責任者ポストを新設し、仮想通貨事業を本格的に強化する。今年前半にビットコイン、イーサリアム、ソラナの取引を開始する計画だ。
10:00
トム・リー予測、「金・銀が調整局面入れば、仮想通貨市場には反発の可能性」
ファンドストラットのトム・リー氏が、金・銀の調整局面後に仮想通貨が反発する可能性があると予測。2025年10月の大規模デレバレッジの影響が続く中、ダボス会議ではウォール街が伝統的金融とトークン化の融合を支持する動きが加速している。
09:35
ピーター・シフ、「ビットコインより金が優れている」と見解
著名エコノミストのピーター・シフ氏が仮想通貨ビットコインとゴールドを比較。準備通貨としての可能性や投資価値についてゴールドの方が優れていると主張した。
09:15
野村のレーザー・デジタル、米国で国法信託銀行免許を申請
フィナンシャル・タイムズの報道によると、野村ホールディングス傘下のデジタル資産部門レーザー・デジタルが米国の国法信託銀行免許を通貨監督庁に申請した。連邦免許により全米での事業展開が可能になる。
08:30
ステーブルコイン普及で米銀行システムから760億円の預金流出リスクか
スタンダード・チャータード銀行がステーブルコインの普及により米国の銀行が2028年末までに最大5000億ドルの預金流出リスクに直面すると分析した。地方銀行が最も高いリスクにさらされている。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧