- 仮想通貨の税制について麻生大臣が言及
- 25日の参議院・予算委員会にて、日本における仮想通貨の税制とブロックチェーン産業の発展について、日本維新の会の藤巻議員が問題提起。これについて、麻生財務大臣が見解を述べた。
- 総合課税とは
- 仮想通貨が分類される「雑所得」は総合課税の対象となり、給与所得など他収入との合算額に応じて税率が決まる。最大税率は住民税10%と合計して最大55%。
国会中継:参議院予算委員会
日本維新の会、藤巻議員による「仮想通貨及びブロックチェーン」に関する質問を受けて、参議院予算委員会で安倍総理が答弁を行った。参議院の「財政金融委員会」に所属する同議員は、仮想通貨の税制改正に取り組んでいることでも知られている。
昨年発表されたビッドコインの課税方法は税の原則から言ってしっくりした感じを私も持っていません。私は参議院の財政金融委員会に所属しておりますが、税金の所轄委員会は財政金融委員会ですから、今後とも質問を重ね、あるべき姿に変えていきたいと強く思っています。 https://t.co/HHrt5PQ4q0
— 藤巻 健史(経済評論家・参議院議員) (@fujimaki_takesi) 2018年1月16日
国会答弁内容
(注)以下は、国会中継の模様をCoinPost編集部で見やすくまとめたものであり、発言内容には意訳が含まれます。
- ―国の規制の在り方について
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藤巻議員
(不適切な)規制によって、国の成長産業を妨げてはならない。
1980年代の後半に、金利スワップ(デリバティブ取引の一種)における「長短分離政策」をリスクと見た日本は規制をかけ、これによって5年間のビジネス上の遅れが生じたことで、昨今の日本のメガバンクと米大手銀行との大きな差に繋がった。
そんな中、目下の関心ごとは、インターネット革命の次にある成長産業であるブロックチェーンだ。
例えば公文書の決済問題で電子決済という手段もあるが、完璧ではない。ブロックチェーンであれば、改ざん自体ができず、さまざまな行政問題を解決することができる。
- ―税制について
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藤巻健史議員
そして、ブロックチェーンの発展と表裏一体の関係にあるのが、仮想通貨だ。
ブロックチェーン技術は推進するが、仮想通貨は規制をかけるとなると、世界に遅れを取ってしまう可能性がある。
消費者保護はもちろん重要であるが、ブロックチェーンと仮想通貨を一体となって発展させるために、現状だと「税制」が足を引っ張りかねない。
仮想通貨が区分される雑所得の扱いでは、他の給料や不動産収入などと損益通算できず、翌年繰り越しもできない。儲かればごっそり税金を持って行かれて、大損した場合は補填がないというのは、(最大税率55%となる総合課税の金融商品として)不適切ではないか。
一方で、株やFXは、税率20%の分離課税となっている。
税務当局における税の論理から行くと納得できる部分もあるが、しかし、日本の未来を考えるという倫理を考えると、税制でこれで妨げるようなことがあってはならない
首相がリーダーシップをとって税制改正を行っていく必要があるのではないか。
麻生財務大臣
国際金融では、仮想通貨ではなく暗号資産(クリプトアセット)と言われるが、このように関連用語の呼称すら明確に定まっていないほど、現時点では(将来性など)不明瞭なものの一つ。
利用者の利益を、詐欺などから”きちんと監督する”必要があるというのが、金融庁としての立場だ。
20%の分離課税については、会社の給料や事業所得などで大金を稼いだ方は、最大55%ほどの税率が掛かる。その一方で、「仮想通貨投資の利益は20%の税率で良い」というのは、国民の理解が得られず、世間で通用しないのではないか。
また株や債券と異なり、資産運用の一つとして、国が仮想通貨を推奨するほど、(現時点では)国際社会での信用が得られていない。
「ブロックチェーン技術を育成していく」という観点で、仮想通貨の購入や利用を後押しする必要があるのかという部分では、さまざまな問題がある。日本が遅れているという指摘であるが、おそらく日本が一番進んでいると考えている。
慎重な対応をしつつ、ブロックチェーンの育成をしていくという方向では大事なことだ。