「日本は買い」
岸田文雄首相は5日、英国・ロンドンの銀行家や投資家に向けて日本への投資を呼びかけた。制度改革を通して、Web3.0(ウェブスリー)を含む新たなサービスを醸成しやすい環境整備に取り組む意向を示している。
岸田総理はロンドンの金融街の中心にある市庁舎「ギルドホール」で講演を実施し、民間投資を呼び込み、富を再分配することによって「資産所得倍増を実現する」と説明。新しい資本主義を「new form of capitalism」と表現し、海外投資家に「岸田に投資を(invest in Kishida)」と呼びかけた。
特に岸田総理は、資本主義をバージョンアップするために民間の投資を集め官民連携で社会課題を解決し、課題とされる分野に新たなマーケットをつくると語る。「人への投資」「科学技術・イノベーションへの投資」「スタートアップ投資」そして「グリーン、デジタルへの投資」の4つの柱を挙げた。
特にスタートアップ投資では、「戦後に次ぐ第2の創業ブームを日本で起こしたい」と強い意欲を示している。
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デジタルへの投資
Web3.0が言及されたのは「グリーン、デジタルへの投資」での一幕。岸田総理は官民双方でデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に推進する意向を示しており、「ブロックチェーンやNFT(非代替性トークン)、メタバース(仮想空間)などWeb3.0の推進のための環境整備も含め、新たなサービスが生まれやすい社会を実現する」と述べた。
Web3.0とは、GAFA企業が圧倒的なシェアを握るWeb2.0(ウェブツー)時代を脱却した、次世代インターネットとして注目を集める概念。トークン経済への移行により自律分散的な活動を可能にする。
自由民主党のデジタル社会推進本部が3月に発表したデジタル施策に関するホワイトペーパー「デジタル・ニッポン 2022」によると、NFTはWeb3.0 の経済的起爆剤のひとつと位置づけられている。また、Web3.0のメタバース市場は数年で1千兆円を超える規模になると想定されている。
しかし、日本から世界で戦えるWeb3.0企業を輩出するには、法人保有の仮想通貨に期末課税がかかるなど税制・規制上の課題も指摘されてきた。岸田総理は、こうした課題を含む規制・制度改革に意欲を示している。ここ数年間で国内の有望スタートアップ企業、及び人材が規制面や税制面などの課題から海外流出し続けている現状を踏まえたものと考えられる。
テクノロジーの進展に合わない制度や規制は大胆に見直す。デジタル庁で4万以上のアナログな規制を洗い出し、3年間で一気に見直す大改革を進めている。
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また政府与党では、Web3.0を国の成長戦略の一環として取り入れようとする動きが加速している。22年1月には自民党内の「デジタル社会推進本部」がNFT(非代替性トークン)政策検討プロジェクトチームを設立。
4月21日、自民党の平井・前デジタル大臣や平将明ネットメディア局長らは首相官邸を訪問し、岸田総理にWeb3.0(分散型ウェブ)の戦略について説明。資料内では、ブロックチェーン関連技術であるNFTやメタバース、Web3.0に関する多くの提言が示されていた。
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