はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「なぜ、日本の仮想通貨税制問題で人材の海外流出が起こるのか?」Astar Network 渡辺CEOが意見

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

課題の1つに期末課税

日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network(ASTR)」を開発するStake Technologies株式会社の渡辺創太CEOは13日、Web3.0(分散型ウェブ)における日本の暗号資産(仮想通貨)税制についての見解を発表した。

渡辺CEOはnoteの中で、「現行制度の中では、特に法人が保有する仮想通貨の期末課税が問題である」と指摘した。

現在の日本では、法人が期末まで仮想通貨を保有していた場合、期末時(事業年度終了時)の時価が取得時の価格より高い場合、評価益が計上され所得に加えられる。

関連日本発パブリックブロックチェーン「Astar Network」がローンチ Huobi Global上場

同CEOは、このシステムについて、Web3.0に「ネイティブなビジネスをする」事業者を厳しい状況にしていると説明。創業を困難にする上、多くの起業家が海外流出する要因となり、日本の「ガラパゴス化」が急速に進行していると指摘した。

Web3.0とは

Web3.0は、現状の中央集権体制のウェブをWeb2.0と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。

▶️仮想通貨用語集

実態にそぐわぬ税制

渡辺CEOは現行税制について、「Astar Network」を例にした説明を行った。

同ブロックチェーンは22年1月に海外でローンチされ、グローバルで大きな注目を集めたが、これは日本の税制面がボトルネックとなり、「やむを得ず海外で発行する」という消極的選択肢だった。日本でトークン発行を実施したケースを税理士らとシミュレーションしたところ、会社の現金保有額を大きく超える巨額の税額が2022年にかかる計算となったため、現実的に不可能(海外に行かざるを得ない)と判断したという。

渡辺CEOは、「日本ではトークンでの税金支払いが認められていないため、開発チームは保有するトークンを現金化する必要がある」と解説。「売却を行った場合、運営主体の売り圧力によりトークン価格が崩壊する可能性が高く、プロジェクトの評判が下落するなど、事業の継続が困難になる可能性が高い」と指摘した。

議決権の要素を持つガバナンストークンを税金払いのために手放さざるを得なくなると本末転倒で、プロジェクト自体の推進力も失われると述べている。分散化を一気に推し進める形になるのも問題視した。

ガバナンストークンとは

分散型プロトコルの運営について、ユーザーをはじめとする関係者が投票するためのトークンである。

▶️仮想通貨用語集

特区設置などを提言

このような現行の税制度について、渡辺CEOは「大枠」と前置きしつつ、解決策を提示している。

まず大事なのは、政治家など日本の意思決定者に(仮想通貨の)に正しい知識と最先端の情報を理解してもらうこと。

可能ならば、ポルカドット(DOT)の共同創業者ギャビン・ウッド氏や、イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏といった、「業界最先端」の人物から情報を得ることが望ましいという。

関連日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network」、110億円規模のファンドを発表

渡辺CEOは、国内にWeb3.0向けの経済特区を設置することも提案。区内の税収(税率)を合理的な範囲に設定しインセンティブを持たせることで、人材の流出を減らし、そこから税収を得るべきだと述べている。

反応する有識者たち

今回の渡辺CEOの訴えに対し、複数の有識者および政治家が反応している。

自民党の小倉まさのぶ衆議院議員は、記事の内容について「強い危機感を覚えた」と発言。Web3.0に携わる起業家や技術者の流出を防ぐことが必要だと語った。

自民党のデジタル社会推進本部「NFT特別担当」の平将明議員も同意を示している。

平議員は4日、衆議院内閣委員会において暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンなどの技術を活用した分散型の概念である「Web3.0」やスタートアップのガバナンストークンへの課税の問題について関係大臣に質問し、大きな反響を呼んだ。

関連:「人材流出が著しい」NFT特別担当の平将明議員、ガバナンストークンへの課税の見直しを要望

また、渡辺創太CEOとともに「Astar Network」などの開発に携わるShunP氏も意見を表明。法人保有の仮想通貨への期末時評価課税について「自社発行又は売買目的以外の保有目的のいずれかを対象外とする」「暗号資産同士(他の暗号資産)の交換時に発生する課税を撤廃する」など、自身が考える改善方法を例示した。

追記(2022/2/17)

さらに17日には、外務大臣や防衛大臣などを歴任した自民党の河野太郎広報本部長も、「党内で税制改正に向けた議論が始まっている」とコメントした。

河野議員は、2021年秋の「総裁選」にて現職の岸田首相に次ぐ高い支持率を集めたほか、Twitterフォロワー数240万人を超えるなど、SNSでも大きな発信力を持つ議員の一人として知られる。

外務大臣時代の2018年には、イーサリアム(ETH)の創設者Vitalik Buterin氏とイーサリアム財団の宮口礼子氏が、河野氏に表敬訪問を行なったことがある。

関連:イーサリアム創始者氏と外務大臣の河野太郎氏が会談

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/27 土曜日
14:00
ジーキャッシュのシールドプール供給シェアが23%で安定、プライバシー採用が定着
仮想通貨ジーキャッシュのシールドプール供給の市場シェアが2025年初頭の約8%から23%前後で安定している。プライバシー採用指標は依然として安定しておりプライバシー保護取引への持続的な関心を示している。
13:25
金融庁、仮想通貨ETFの導入に向けた税制改正──暗号資産取引の課税見直しと新たな可能性
金融庁が2026年度税制改正の資料を公開した。暗号資産取引を総合課税55%から申告分離課税20%へ変更することに加えて、ETF解禁や繰越控除などについても挙げられた。
11:10
KLab、ビットコインとゴールドを購入開始 「岐路に立つBTC」と分析
東証プライム上場のKLabが25日にビットコインとゴールドの購入を開始。AIを活用した市場分析レポートの不定期発刊も開始した。
10:05
ミームコイン市場は2025年に60%下落、「TRUMP」発行から始まった一年を振り返る
ミームコイン市場は2025年に60%下落した。トランプ氏による独自仮想通貨「TRUMP」発行や、ドージコインETF誕生など変化の激しかった一年を解説する。
09:10
イーサリアム、2026年の主要アップグレードで並列処理とプライバシー機能強化へ
仮想通貨イーサリアムが2026年に2つの大型アップグレードを計画している。Glamsterdamは並列処理とガスリミット拡大で性能向上を、Hegotaはプライバシー保護と検閲耐性の強化を目指す。
07:45
BNBチェーン、Fermiハードフォークを1月14日実施へ 
BNBチェーンが2026年1月14日にFermiハードフォークを実施する。ブロック間隔を750ミリ秒から450ミリ秒に短縮し、時間依存型アプリケーションへの対応を強化する予定だ。
07:00
プーチン大統領「米政府はザポリージャ原発でのマイニングに関心」
プーチン大統領は、ウクライナにあるザポリージャ原子力発電所で仮想通貨のマイニングを行うことに米政府が関心を持っていると述べたことがわかった。今後の和平交渉に注目が集まる。
06:35
米政府、1月末に再び閉鎖の可能性浮上 仮想通貨市場構造法案の審議に影響も
米政府が1月末に再び閉鎖される可能性が浮上した。再び発生すれば1月に審議入りが予定されている最重要な仮想通貨市場構造法案の議決がさらに延期されてしまう。
06:05
アーサー・ヘイズ氏がDeFiトークン買い増し、3億円以上のLDOとPENDLE
著名投資家アーサー・ヘイズ氏が185万ドルのLDOトークンと97.3万ドル相当PENDLEトークンを追加購入した。イーサリアムを売却して割安なDeFiトークンへの買い増しを加速。
05:50
バイナンス傘下トラストウォレットの10億円不正流出、CZ氏が全額補償を表明
バイナンス創設者のCZ氏が同社傘下のトラストウォレットのハッキング被害について10億円以上の全額補償を表明した。ブラウザ拡張機能の脆弱性が原因で、内部関係者の関与が疑われている。
12/26 金曜日
18:02
Aave、ブランド資産移管案を否決 DAOガバナンスの課題浮き彫りに
Aaveのブランド資産移管提案が26日のSnapshot投票で否決。反対55%、棄権41%、賛成わずか3.5%。CoW Swap手数料問題が発端となった所有権紛争は、DeFiガバナンスの構造的課題を浮き彫りに。
18:00
仮想通貨の税制改正大綱、押さえておくべき重要ポイントを専門家が徹底解説|Gtax寄稿
税制改正大綱で、暗号資産(仮想通貨)税制の大幅見直しが示されました。分離課税・3年間の繰越控除が導入される一方、対象となる「特定暗号資産」や取引形態には制限も。現物取引とデリバティブ取引の損益通算、ステーキング報酬の扱い、NFTの課税方式など、今後の制度設計を見据えて準備すべきことを公認会計士・税理士が詳しく解説します。
16:00
リトアニア、仮想通貨ライセンス義務化へ 申請低迷
リトアニア中央銀行が仮想通貨事業者にMiCAライセンス取得を義務化。2025年12月31日以降、無許可運営には罰金や最長4年の禁錮刑。370社以上が登録するも申請はわずか30社で全体の1割未満。同国はEU内でMiCAゲートウェイとしての地位確立を目指す。
15:05
仮想通貨投資への期待高まる、税制改正で約5割が投資拡大を検討=ビットバンク調査
ビットバンクが発表した2025年仮想通貨投資実態調査によると、2026年の市場期待として「税制改正」が34.3%で最多。税制が20%の申告分離課税に変更された場合、約5割が投資拡大意向を示した。知識不足が投資の障壁だが心理的ハードルは低下傾向。
14:01
ユニスワップ重大提案が圧倒的に可決 1億UNIバーンと手数料スイッチ起動へ
ユニスワップのUNIfication提案が賛成票1億2500万票超で可決。国庫から1億UNIをバーンし、プロトコル手数料を起動。取引量増加が供給減少に直結するデフレ型モデルへ転換。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧