分散型金融の問題点
ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)のVon Birgit Rodolphe執行理事は16日、分散型金融(DeFi)が従来の金融市場と真の意味で競合していくためには、明確な新しい規制が必要だと述べた。
Rodolphe氏は、急な融資が必要になった時「世界中から集まった数千人の仮名集団」から数秒で融資が受けられるようなDeFiは、「まるでユートピアのようだ」と形容。一方、融資の延長や暗号資産(仮想通貨)の「突然の消失」を何処に持ち込めばよいのかなど、対処方法が不明で預金の保証もされないため、「むしろディストピアなのでは」と批判した。
DeFiは、その熱心な支持者が描くほど草の根的で利他的な存在ではないことが、経験から証明された。この領域には技術的な問題、ハッキングや不正行為が蔓延している。数百億円規模の被害も珍しくない。
Rodolphe氏は、DeFi市場は依然としてニッチな市場だが、規制が整備されないまま放置される時間が長くなるほど、消費者にとってのリスクが増大すると指摘。さらに極めて重大な製品やサービスが確立してしまうリスクも高まると警告した。
そのため、BaFinは積極的に新しい製品/サービス提供に関する規制の基盤整備を推進し、革新的なプロバイダーが「法的に確実な方法」で事業を展開することを可能にすべきだと、同氏は強調した。ただし、規制の基準を緩和したり、DeFi関連製品が従来の金融市場の同等の製品よりも有利な立場に置かれることはないと付け加えた。
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欧州の統一規制
Rodolphe氏がDeFi規制に言及した背景には、欧州連合(EU)域内の統一仮想通貨規制案「MiCA」についての議論が進行していることがある。
Rodolphe氏は、EU市場の分断を防ぎ、欧州全体でのイノベーションの可能性を活用するためにも、域内で統一されたDeFi規制を導入することが理想的だと述べている。
EUが2020年9月に公表したMiCAでは当初、ステーブルコインの規制整備が主要目標の一つだったが、現在はNFT(非代替性トークン)やDeFiを規制の枠組みの中に含めるかどうかに、議論が移ってきているようだ。
MiCAは3月末、懸念されていたPoW(プルーフオブワーク)銘柄の禁止条項は承認されずに、EU議会、委員会、評議会の三者協議にかけられる段階に入った。
一方、欧州議会では3月31日、仮想通貨の自己管理型ウォレットを規制対象にする法案の条項を承認。自己管理型ウォレットもマネーロンダリング対策(AML)の監視対象となるため、米仮想通貨取引所コインベースらが懸念を示していた。なお、この条項を含む法案が正式に議決されるには、三者協議が必要とされる。
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仮想通貨を推進するドイツ
ドイツの連邦財務省は10日、法人や個人など様々な納税者に向けて、仮想通貨の所得税取り扱いについて、容易に適用できるガイドラインを発行した。同国初となる全国的なガイドラインは、最終的な結論ではないとされている。
ドイツでは取得した仮想通貨を1年以上保有後、売却した場合、所得税が非課税となっている。今回のガイドラインでは、レンディングやステーキングなどに用いた仮想通貨であっても、1年が経過すれば、売却した場合に所得税が課税されない方針が示された。
また、ドイツ政府は今後4年間の推進プロジェクトの一つに仮想通貨とブロックチェーン技術を挙げており、昨年7月には、機関投資家が特別のファンド(Spezialfonds)を通じて、資金の最大20%を仮想通貨に投資できるようにする新しい法律が可決された。
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