ブロックチェーン、人工知能、IoTに資金提供
イタリアの経済開発省は5日、ブロックチェーンなどの技術開発を支援する助成金について対象となるプロジェクトの募集時期を発表した。
2022年9月21日から、官民の企業や研究所は、共同プロジェクトも含めて、対象技術に関連する研究・技術革新プロジェクトを実施するための資金援助を申請することができるようになる。
対象となるのは、人工知能、ブロックチェーン、モノのインターネット(IoT)関連の技術、あるいはそのアプリケーション開発のプロジェクトだ。
この開発基金には約62億円(4,500万ユーロ)が準備されており、戦略的優先分野としては以下が挙げられている。
- 産業・製造業
- 教育システム
- 農業ビジネス
- 健康
- 環境・インフラ
- 文化・観光
- ロジスティクスとモビリティ
- セキュリティ、情報技術、航空宇宙
IPSOAによると、ブロックチェーン技術の発展を目的としたプロジェクトには、1,000万ユーロが提供される見込みだ。人工知能には2,500万ユーロ、IoTには1,000万ユーロが付与される。
資金の60%は、中小企業や企業ネットワークが提案する研究・開発・イノベーションプロジェクトに、34%は南イタリアの地域で実施されるプロジェクトに割り当てられるという。
ブロックチェーンとは
ネットワーク上にある複数の端末同士を直接接続して、分散的に情報を記録・管理するデータベース(台帳)またはその技術を指す。一定量のデータをひとまとめ(ブロック)にして、それをつないで(チェーン)時系列に情報を記録していくことから、ブロックチェーンと呼ばれる。ネットワーク参加者がデータを共有し、相互にやりとりを監視することで、透明性と信頼性が担保される。暗号技術を活用するため、データの改ざんが事実上不可能であるという特徴を持つ。また、銀行などの中央管理者が不要であるため、単一障害点がなく、システムがダウンが起こりにくい。汎用性が高いため、仮想通貨業界以外での応用も進んでいる。
▶️仮想通貨用語集
条件の一つとして、助成金の対象プロジェクトは、ブロックチェーン、人工知能、IoTについての「産業研究」「実験開発」「組織革新」「プロセス革新」の活動を実施するものであることが挙げられた。
ジャンカルロ・ジョルジェッティ経済開発大臣は、助成金対象プロジェクト募集にあたって、次のようにコメントしている。
企業の最先端技術への投資を支援し、相互接続性、効率性、安全性、迅速性が向上し続けている管理モデルによって、生産システムの近代化を促進する。
競争力を高めるためには、製造業は常にイノベーションを起こし、新しい技術の可能性を掴みとっていくことが重要だ。
仮想通貨関連の動き
イタリアでは、大手プライベートバンクBanca Generali(バンカ・ゼネラリ)が、仮想通貨ウォレット企業Conioと協力して、2月より暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の取引やカストディサービスを提供している。
また、大手仮想通貨取引所バイナンスは5月、イタリアの規制機関Organismo Agenti e Mediatori(OAM)に暗号資産サービスプロバイダー(CASP)としてライセンス登録。バイナンスのイタリア法人が、イタリア国内の顧客に仮想通貨商品を提供できるようになった。