シベリアのマイニング事業停止が狙いか
米国は日本政府に対し、暗号資産(仮想通貨)取引所やマイニング事業者がロシアとの関係を断つよう圧力を強化することを要請している。フィナンシャルタイムズが報じた。
関係筋によると、米国の外交官は、日本で公式認可されている仮想通貨取引所のうち幾つかが、まだロシアで事業を行っていることを指摘し、関係を断つよう日本政府に要求したと伝えられる。
シベリアのイルクーツク地方を拠点としている仮想通貨マイニング事業を停止させることが狙いだという。
また、日本のいくつかの取引所に近い情報筋は、日本の金融庁も、その監督下にある取引所に対して、ロシアのマイニング事業との関係をすべて断つよう要請したと述べた。
シベリアにおけるマイニング事業の例
イルクーツク地方は、冷涼な気候のために機器冷却の必要が少なく、安価な水力発電が利用できるため、仮想通貨マイニングには適した地とされている。
今回、米国が関係を断つように求めるロシアのマイニング企業の具体名は明かされていないが、イルクーツクで事業を行うマイニング企業としては、ビットリバー(Bitriver)も挙げられる。
米財務省は4月に、ロシアに対する制裁強化策を発表。その際、銀行などの金融機関以外に、シベリアなどの地域で運営している仮想通貨マイニング業者ビットリバーも制裁対象として追加した。
同省は、ビットリバーが「ロシアの天然資源のマネタイズに貢献している」と説明している。
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ビットリバーは2017年にロシアで設立された大手マイニング企業である。6月にはロシアの国営天然ガス企業ガスプロムの産油子会社ガスプロム・ネフチともパートナーシップを結んだ。
ガスプロム・ネフチは、ビットリバーのデータセンターに、石油ガスで発電した電力を供給。一方でビットリバーは、油田におけるデジタル・インフラを開発し、コンピューティング能力に基づくサービスを提供していく。両社によると、これにより炭素排出量削減を行うことができるという。
仮想通貨マイニング盛んなロシア
ロシアでは、露中銀が仮想通貨やマイニングに批判的な見方を示している。一方で、政府は仮想通貨を禁止するよりも、適切に規制していくことを唱えており、マイニングについても、税金を課すなどルールを制定した上で許可する考えを示しているところだ。
プーチン大統領もロシアには「余剰電力や優秀な人材が存在しており、仮想通貨マイニングの上で優位性を持つ」と発言した。
22年1月時点で、ロシアは世界のビットコイン(BTC)ハッシュレートにおいて4.7%の割合を占めている。同時点で、ハッシュレートの割合は1位が米国(37.8%)、2位が中国(21.1%)、3位がカザフスタン(13.2%)、4位がカナダ(6.5%)で、ロシアはカナダに次ぐ5位であった。
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ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
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