「負の連鎖」に警戒感、NFT担保融資で清算のリスク高まる

NFTの清算連鎖の危機

高級NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」のフロアプライス(最低価格)が下落する中、NFTを担保に暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)を融資するBendDAOで「清算の連鎖(デススパイラル)」が生じるリスクが高まった。

19日頃にその融資残高は一時30,300 ETH (約75億円) に膨張していたが、10,500ETH(約17億円)を返済したFranklinを初めとするクジラ(大口投資家)の対応により、執筆時点に15,823 ETH(約26億円)に縮小している。

BendDAOは、NFT(非代替性トークン)を担保にイーサリアムを融資する「NFTfi(NFT+金融)」プロジェクト。Bored Ape Yacht Club、CryptoPunks、Azukiなど、価値の高いブルーチップ(優良)NFTのみを扱っており、フロアプライスの最大40%をローンとして提供する。

しかし、フロアプライスが下がり、債務と担保を用いた数式((フロア価格 * 清算しきい値)/ 負債+利息)で算出されるヘルスファクターが1を下回ると、清算人がNFTオークションに入札可能になり、最初の入札から48時間の返済猶予期間を経て、清算が実行される。

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BAYCの下落

担保融資が急増した4月のBAYCのフロアプライスは100 ETH〜150 ETHに高騰したが、8月には69 ETHに下落している。

BendDAOによると、BAYCを担保にしたローンの内1.1を下回るものは少なくとも30件あり、さらにフロアプライスが下がれば清算のリスクに瀕することになる。

また、ヘルスファクターが1を下回り進行形のオークションで1つ以上入札のあるBAYCは4つに留まっているが、Mutant Ape Yacht ClubやDoodlesなど他のNFTコレクションでは20点ほど競売中である(執筆時点)。

Web3ローンチパッドDoubleStudioの創設者doubleQは、こうしたBendDAOを含む複数のプラットフォーム上の担保の清算がフロアプライスをさらに引き下げ、「NFTエコシステム全体のデススパイラル」につながる可能性があると指摘。

裁定取引を目的にオークションで買い取って市場で売ろうにも、「OpenSeaのボリュームは過去12ヶ月で最低水準にあり、これらの清算を受け止める十分なボリュームがない」と懸念した。

BendDAOの設計

doubleQのように皆が静観し、オークションに出品されたNFTに入札がない場合どうなるのか?という問いについて、BendDAOは以下のように規定している。

この場合、プラットフォームに一時的な未確定損失が生じるだけで、確定損失は発生しない。借り手が将来のある時点で返済するか、市場価格が回復した後に、一部の清算人が現れて債務の競売に参加するかである。

市場の回復に賭けるBendDAOは、プロトコルレベルで担保を売りに出す仕組みは組み込んでない。つまり、未確定損失が実際には拡大するリスクがある。そうなれば、ETHを融資する流動性提供者がリスクを負う可能性がある、とニュースマガジンCoin CrunchのNaimish Sanghvi氏は指摘する。

最初の入札が行われるまでオークションは始まらないので、価格が不利になればいずれは複数のNFTがほったらかしになってしまうだろう。そうなると、流動性提供者を脅かすことになる。

22年の弱気相場に、過剰なレバレッジをかけた大口ポジションが清算の危機に瀕し、市場全体に下落圧力をかけるケースは度々報じられてきた。

6月には、分散型融資プロトコルSolendに担保に出された約27億円(2,100万ドル)相当のソラナ(SOL)が清算の危機に瀕した。分散型取引所の流動性を上回る規模の売却がSOL価格のさらなる急落につながり、グローバルマーケットであらゆるポジションが連鎖的に清算されるリスクが高まった。その後、クジラ(大口投資家)がポジションを分散させ、SOLの市場価格も回復したため難を逃れていた。

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