仮想通貨優遇路線を一転
ポルトガル議会で提出された2023年予算案では、暗号資産(仮想通貨)の課税に関する項目が追加されたことがわかった。地元紙やブルームバーグが報じた。
ポルトガルでは2019年より仮想通貨は付加価値税(VAT)や所得税の課税対象から外されていた。しかし、10日に提出された資料では、来年度から「1年以下の期間保有された暗号資産の取引から得たキャピタルゲイン」は28%の課税対象となる条項が盛り込まれている。
また、仮想通貨の送受信には10%の課税、ブローカー(仲介業者)を解した仮想通貨取引は4%の課税対象となる条項も確認された。
仮想通貨取引のほかにも仮想通貨関連事業の収入も新たに課税対象となる予定で、マイニングや仮想通貨発行も含まれるという。
また、仮想通貨以外にも、分散台帳技術などを活用して電子的かつ取引可能な価値や権利を表したものが広義に含まれるため、NFT(非代替性トークン)への課税対象に含まれる可能性が浮上している。
なお、1年(365日)以上保有された仮想通貨に関しては、引き続き課税対象外となる見込み。ドイツなどでも同様の措置が導入されている。
ポルトガル政府はポルトガル議会で過半数を占めているため、予算案の可決する見込みが高いという意見も少なくない。
仮想通貨友好国
ポルトガルはこれまで、個人の仮想通貨取引におけるキャピタルゲインを課税してこなかった為、仮想通貨の利用者からは「タックスヘイブン」として重宝されてきた。一般的に仮想通貨に友好的な国家として知られるシンガポールやスイス、アラブ首長国連邦などとともに挙げられることも多い。
また、EU加盟国の中ではビザの取得が比較的容易だった点、さらに温暖な気候や生活コストの低さなどから移住先としても高い評価を得ている。コロナ禍では特に米国からの移民も増加傾向だった。
2022年5月にも、仮想通貨課税の法案は提出されたがポルトガル議会で却下されてきた。しかし、同国の財務省は将来的な課税を示唆していた経緯があり、今回それが実現する見込みが高くなった格好だ。