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仮想通貨取引の脱税防止案、日本など38ヵ国が国際的に連携へ

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新たな税務報告の枠組み

経済協力開発機構(OECD)は10日、国家間で自動的に暗号資産(仮想通貨)に関する情報交換を行うための枠組み「CARF」の最終版を発表した。

国際的な脱税及び租税回避に対処するための「暗号資産報告の枠組み」(Crypto-Asset Reporting Framework)は、G20の要請を受けOECDが開発したもの。今週12日から13日にかけて、米首都ワシントンDCで開催されるG20財務大臣・中央銀行総裁会議において提示される予定だ。

CARFは年に一度、仮想通貨の取引に関する税務情報を標準的な方法で、自動的に納税者が居住する管轄区域と交換することを規定する。この新しい枠組みが導入されると、日本に住む投資家が海外の取引所を利用した場合、現地の税務当局を通して、取引情報が日本の税務当局に伝わるようになる。

現在、国際的な税務報告の枠組みとしては共通報告基準(CRS)が導入されているが、仮想通貨や関連する取引はCRSの対象になっていない。そのため、「中央管理者が取引や資産の保有状況を完全に把握することなく、移転・保有が可能な」仮想通貨や関連サービスは、「国際的な税の透明性が損なわれるリスク」と認識され、問題視されていた。

OECDとは

経済協力開発機構は政府、政策当局、市民と協力して、様々な社会・経済・環境問題の解決策を模索する世界最大のシンクタンク。欧米諸国を始め、日本や韓国など38ヵ国が加盟する国際機関。1961年に設立。

▶️仮想通貨用語集

関連:OECD、仮想通貨取引の税逃れ防止案を提出へ 日本も対象=日経

CARFの対象とは

CARFは金融活動作業部会が策定したマネーロンダリング防止基準を取り入れ、以下の情報を定義している。

  1. 対象となる仮想通貨の範囲
  2. データ収集及び報告義務の対象となる事業者及び個人
  3. 報告の対象となる取引及び当該取引に関して報告される情報

また、税務の管轄地域を判定するためのデューデリジェンス・プロセスでは、仮想通貨ユーザーと管理者の身元確認が必要となる。

なお、仮想通貨は以下のように定義した。

ステーブルコイン、暗号資産の形で発行されたデリバティブ、特定の非代替性トークン(NFT)など、従来の金融仲介者の介入なしに、分散型で保有・移転できる資産が含まれる

一方、支払いや投資目的に使用できない資産や、すでにCRSに含まれている資産については分離される「カーブアウト」の作業が想定されている。

報告義務の対象となるサービスプロバイダーの定義には、取引所、ブローカー、仮想通貨ATMオペレーターなど、関連する仮想通貨間の交換を促進する仲介業者やその他のサービスプロバイダーも含まれる。

共通報告基準の改定

共通報告基準(CRS)は、交換・報告すべき金融口座情報、およびデューデリジェンス手続きを定めている。日本ではCRSにより国内の金融機関などに、毎年4月30日までに特定の非居住者の金融口座情報を所轄税務署長に報告することが義務付けられている。

報告された金融口座情報は、租税条約等の情報交換規定に基づき、各国税務当局と自動的に交換される仕組みだ。

しかしCARFの開発に伴い、報告義務との重複を避けるため、CRSも一部見直された。

従来の金融商品の代替となり得る新たな金融資産や商品、仲介業者はCRSの適用範囲に含まれた。また、デリバティブや投資商品を通じた仮想通貨への間接投資もCRSの対象となった。

今後の予定

新しい枠組みを導入するには、日本を含む各国で法整備が必要となる。CARFには、国内法への導入を容易にする模範となる規則と、実施を支援するための解説が含まれる。

OECDは今後数ヶ月の間に、国内外で一貫してCARFを適用し、効果的に導入するための実施計画の策定作業を行うと説明。実装計画は、収集された情報を自動的に交換するための二国間および多国間の所轄官庁協定の枠組み、情報交換を支援するITソリューション、CARFに規定された要件の詳細などで構成される予定だと述べた。

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