CoinPostで今最も読まれています

ビットコインの取引処理を100倍効率化するプランとは 「ZKロールアップ」型の提案

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインにZKロールアップ

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のブロックチェーンに、ZKロールアップ型のレイヤー2ソリューションをもたらすコンセプト「Validity Rollups(VRUs)」が提案された。

ビットコイン向けZKロールアップ技術の研究者としてヒューマンライツ財団(HRF)とStarkware(ゼロ知識証明ソリューション開発企業)から支援を受けるJohn Light氏は12日、論文「Validity Rollups on Bitcoin」を公開した。

HRFとは

ヒューマンライツ財団は、世界的に人権の促進と保護に取り組む非営利団体。2020年に、世界中の人権活動家、市民社会組織、ジャーナリストのための金融ツールとしてより機能するよう、ビットコインネットワークをよりプライベートで分散化し、弾力的にするソフトウェア開発者を支援するための基金を立ち上げた。

▶️仮想通貨用語集

Light氏によると、Validity Rollups(VRUs)によりL1ブロックに保存する情報を極小(12バイト)にとどめるため、ビットコインの取引処理能力を最大100倍向上できるという。混雑しがちなビットコインブロックチェーンの外で取引を行うことができ、取引の高速化や手数料削減につながる。

現在、ビットコインは1秒間に平均7件のトランザクションを処理(TPS)しており、VRUs実装により秒間700件以上に増やす可能性がある。

ZKロールアップはトランザクションを集約してオフチェーンで処理し、生成した暗号証明のみを親ブロックチェーンに保存する技術。ゼロ知識証明というメカニズムを利用し、処理コストの高いデータをオフチェーンで処理することによってコストを大幅に削減する特徴を持つ。

Light氏は、すべてのZKロールアップがゼロ知識証明を使用しているわけではないとして、「Validity Rollups(有効性ロールアップ)」を提唱しているが、基本コンセプトは上記とほぼ同義だ。

関連:米Cash App、ライトニングでビットコイン受け取り可能に

ライトニングネットワークとの比較

ビットコインのセカンドレイヤーとしては「ライトニングネットワーク」が先行しているが、取引相手同氏が決済チャネルを設置し、十分な流動性を管理し続ける必要がある。よりトラストレスな設計のValidity Rollupsの方が資本効率や使い勝手が良いと主張されている。

論文によると、実装にはまずビットコインのフルノードに有効性証明(Validity Proof Verification)を検証する機能を持たせる必要がある。またビットコインのスクリプト言語で使用するOpcode(オペコード)に、「再帰的誓約(Recursive Covenants)」を追加する。後者はスマートコントラクトの一種で、ロールアップとL1の資金の出し入れを制限するのに使用される。

主な課題はビットコインには中央機関が存在しないため、その仕様がビットコイン改善提案 (BIP) を通じてコミュニティの同意を得る必要があること。ビットコイン開発者のTrey Del Bonisを含め、再帰的誓約についてビットコインコミュニティで長年議論されてきたが、有力なビットコイン改善提案(BIP)はまだ無い状況だ。

Light氏は、ビットコインのサイドチェーンプロジェクト「Liquidブロックチェーン(Elements)」を挙げて、有効性証明は無いが再帰的誓約は既に備えていることを指摘。Validity Rollupsのテストネットとして活用できると主張した。

本レポートは、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏、後述するTrey Del Bonis氏など、ブロックチェーン業界の著名人からのフィードバックを得て作成された。

Validity Rollupsの提案はメーリングリストを介して通知され、コミュニティからフィードバックを集めている。Liquidを手掛ける大手ブロックチェーン開発企業Blockstream社は、簡潔な技術仕様と機能の理論的根拠を提供するよう要求している。

概ね実装までには長期間かかると見られているが、仮に実装に向けて動き出すとなればアンチ・マネー・ローンダリング(AML)法を初めとする規制との折り合いも重要となる。Validity Rollupsの実装は、ビットコインにプライバシープロトコル(取引の秘匿化技術)を追加することになるため、トランザクションを追跡困難にするからだ。

ライトニングネットワークとは

ビットコインのトランザクション処理能力を解消するため、レイヤー2を利用したオフチェーン技術のこと。取引の高速化や手数料削減が実現すれば、少額決済が行えるようになるため、それによって新しい商品やサービスが生み出されることも期待されている。

▶️仮想通貨用語集

関連:ビットコイン初のサイドチェーン『Liquid Network』がローンチ|BitbankやBitfinex含む23の大手取引所が参画

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
13:02
ビットコイン1000万円台割り込む、高騰していたアルト急反落にも警戒感
暗号資産(仮想通貨)相場ではビットコインが続落。日本円建て価格で1000万円台を割り込んだ。イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)などアルトコイン相場の方が下げが顕著で警戒感が強まりつつある。
11:35
CZ氏、世界の子どもに向けた「Giggleアカデミー」を立ち上げ
仮想通貨取引所バイナンスのCZ前CEOは、世界の子どもに基礎教育を無料で提供するプログラム「Giggle Academy」を立ち上げると発表した。
11:00
アバランチ財団、ミームコイン5種の保有を発表 
アバランチ財団が暗号資産(仮想通貨)AVAXのエコシステム支援のため、Coq InuやTechなど5種類のミームコイン保有を公表。コミュニティ活性化の一環として選ばれた。
10:20
今後ビットコイン現物ETFにさらなる資金流入可能性 CoinShares分析
仮想通貨投資企業CoinSharesのアナリストは、ビットコインには今後数か月の間に需要急増が起こる可能性があるとの見解を述べた。
08:20
ミームコイン熱狂でソラナのGoogle検索数急増、2018年ICOブームに類似との懸念も
次にヒットするミームコインを探すトレーダーや投資家は「BOME」プレセール型ローンチをはじめ、さまざまなプレセール型ミームコインに資金を流入させ、その多くが「出口詐欺」であることが確認されている。
07:15
SCB銀、イーサリアム現物ETF承認の今後の影響を分析
仮想通貨イーサリアムの現物ETF承認なら最初の1年で6兆円超の資金が流入する可能性があると、英大手銀行のスタンダードチャータード銀行が分析。今後のイーサリアムやビットコインの価格予想もしている。
06:20
OKX、欧州でUSDT通貨ペアを廃止 MiCA法準拠で
USDTはOKXやバイナンス、Bybitなど集権型取引所の出来高の根幹となっているためUSDTペアの廃止は取引所の収益に打撃を与えることになる。
05:50
AI・DePIN関連銘柄「Akash」、コインベースに新規上場
半導体大手エヌビディアが今週「NVIDIA GTC AI 2024」を開催することから、思惑買いで先週末にAKTやRender、ワールドコインなどのAI仮想通貨銘柄は一時的に値上がりしたが、その後反落。
03/18 月曜日
19:46
プライバシー保護と相互運用性に特化した「Partisia Blockchain」の魅力とは 専門家が動画解説|WebX STUDIO
企業や自治体からも注目される、秘匿マルチパーティ計算(MPC)を用いてプライバシー保護と相互運用性に特化したPartisia Blockchainとは。コミュニティサポーター「ぐぬぐぬたい」氏がCoinPost YouTube番組「WebX STUDIO」に出演し動画解説を行なった。
15:25
「Web3の未来をリードするのはアジアの国々」Parity Asia製品工学トップが見解示す
ブロックチェーンインフラ企業Parity Technologies Asiaは、日本で昨年開催されたWebX2023実績などを踏まえ、アジア太平洋地域の国々がWeb3の未来を形作る上で主導権を握るとの考えを明らかにした。
12:47
米検察、FTXのサム前CEOに懲役40年以上を求刑
米検察当局は、22年11月に破綻した仮想通貨取引所FTXの前サム・バンクマン=フリードCEOに懲役40年から50年の判決をくだすよう裁判所に要請した。弁護側は緩和を求めている。
12:35
イーサリアム現物ETFが5月までに承認される確率は? 海外アナリスト6名が見解述べる
米各社のアナリストら6名は、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム現物ETFが今年5月までに承認される見通しについて議論し見解を述べた。承認の上でのハードルなどについても意見している。
12:31
ビットコイン一時65000ドル割れも反発、ソラナは時価総額4位に浮上
暗号資産(仮想通貨)市場では週末にかけて急落していたビットコインが反発。前週比30%高のソラナ(SOL)はBNBを超え、時価総額4位に浮上した。
03/17 日曜日
11:00
週刊仮想通貨ニュース|ETHのDencunやBTCの7万ドル割れに高い関心
今週は仮想通貨イーサリアムの大型アップグレードDencunの完了、ビットコイン価格の急反落、米金融大手JPモルガンのビットコイン現物ETF分析に関する記事が最も関心を集めた。
03/16 土曜日
12:00
バイナンスのVC部門バイナンスラボ、グループから独立
大手仮想通貨取引所バイナンスのVC部門バイナンスラボが、今年初めにバイナンスグループから独立していたことが分かった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/03/22 18:30 ~ 21:00
東京 東京都江東区
2024/03/28 15:00 ~ 18:00
東京 東京日本橋タワーB2階
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
重要指標
一覧
新着指標
一覧