ステーキングの手数料詐欺
暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)のブロックチェーン基盤を維持する「バリデーター」について、一部集団によるコミッションフィー(手数料)の詐欺行為が確認されている。
ソラナエコシステム参加者Marinade Financeの報告によると、22年12月16日~18日の区切り「エポック387」にかけて41のバリデーターが期限直前に条件を改定し、100%のコミッションフィーを不当に取得した。
例えば「Olenka」というバリデータは、報酬を100%獲得する目的でエポック終了直前にコミッションを100%に引き上げた。執筆時点で18,395 SOL(3,000万円)がステーキングされている。エンドユーザーがこれらのバリデーターにステーキングを委任していた場合、SOLの報酬分配を受け取ることができなくなる。
Marinadeによれば、コミッションの不正行為は一定継続している。22年11月30日〜12月3日のエポック380以降に検出された不正なバリデーターが稼いだSOL報酬総額は以下の通り。
- エポック380:49バリデーター、1,664 SOL(260万円)の詐欺
- エポック381:34バリデータ、1,288 SOL(211万円)の詐欺
- エポック382: 41バリデーター、942 SOL(150万円)の詐欺
これらのバリデータは3つのエポックにかけて平均250万 SOLを保有していた。このボリュームはソラナのステーキング総量の0.69%に相当する。
ソラナのステーキングダッシュボード「Stakewiz.com」によると、執筆時点でソラナネットワークには2,517のバリデーターが存在し、ステーキング総量は約3億6,670万SOLに上る。Staking Rewardsによると、ソラナ(SOL)のステーキングプロバイダーにおけるコミッションフィーの平均値は12%だ。
「Validators.app」では、ソラナのステーキングダッシュボードでは不当に高い手数料を徴収したり、不正行為を行った履歴のあるバリデーターに警告ラベルを表示している。例えば、Marinadeにリストアップされた41のバリデーターのうち、TKCH、Doctor2000、igr8187といったバリデータは「プライベートバリデーター」と表示されている。SOLをステーキングする場合は、これらのサイトでバリデーターの活動を定期的に確認する必要がある。
エポックとは
ソラナブロックチェーンにおける、バリデーション・スケジュール。ある一定量のブロック(Solanaでは「スロット」)のこと。エポックの区切りに、ステーキングの開始や停止、報酬の分配が行われる。
ソラナのエコシステムは、仮想通貨取引所FTXグループの経営破綻によって最もダメージを受けたエコシステムの一つだ。以前からFTXから多額の出資を受けており、DeFi(分散型金融)を初めとする急激な発展においてFTX前CEOであるサム・バンクマン・フリード(SBF)氏の影響も少なくない。仮想通貨ソラナ(SOL)は過去1年間で94%下落している。
11月10日に迎えたエポック370の終了時には、34,268,068SOL(当時約700億円)のステーキングが解除された。
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