大手BTCマイナーの破産申請
米暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Core Scientificが、21日朝(米国時間)にもテキサス州で米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を行う方針を固めたと報じられている。
米CNBCが関係筋の情報に基づいて日本時間21日昼(米国時間20日夜)に報じた内容によると、Core Scientific(コアサイエンティフィック)はマイニング設備を清算せずに、採掘事業を継続しながら収益を債務返済に充てるという。
同社の現状のキャッシュフローは、リースによる設備投資の債務を返済するには不十分であることから、破産申請に踏み切った形だ。債権の大半を抱える上位株主とは、これから交渉を行っていく予定としている。
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Core Scientificとは
Core Scientific社は米テキサス州に拠点を置く大手マイニング企業。テキサス、ジョージア、ケンタッキー、ノースカロライナ、ノースダコタ州に大規模な採掘拠点(データセンター)を構え、主にビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨を採掘している。
22年10月末時点でビットコイン(BTC)の採掘機器「ASIC(特定用途向け集積回路)」を243,000台運用しており、合計ハッシュレートは約24.4EH/秒に上る。参考までに、執筆時点のビットコインのハッシュ値は247.21 EH/sだ(Coinwarz調べ)。これら施設の約59%を自社採掘事業で使用しており、22年10月に1,295BTCを生産した。
Core Scientificは、10月26日に証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中で、財務状況悪化により、10月下旬から始まる債権者への支払期限に間に合わず、破産を検討する可能性があると公表。米保険大手MassMutualや仮想通貨融資大手BlockFi、投資銀行B. ライリーなどの企業を最大の債権者としている。
その他にも、仮想通貨金融サービス会社B.S.S.A.、仮想通貨金融会社NYDIG、デジタル資産銀行Anchorage Digitalの親会社であるAnchor Labsなど、多くの企業に対して合計約1,470億円(約10億ドル)の借金を抱える形だ。
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破綻の原因
22年1月にSPAC(特別買収目的会社)によりナスダック上場を果たしたCore Scientific(CORZ)の株価は年間で98%下落している。
ビットコインの価格は21年11月に約787万円(69,000ドル)の史上最高値を付けたが、Core Scientificは当時保有しているBTCの売却やヘッジを行わず、設備投資のための追加融資を敢行。その後、仮想通貨市場の下落相場に資金繰りに追われた同社は22年4月に9,618 BTCを490億円(3億6,200万ドル)売却し、多額の損失を計上したしたことがB. ライリーによって明かされていた。
21年12月末時点の同社のASIC機器保有数67,000台と比べ、現在までに大幅に拡張してきたが、BTC価格下落、採掘業者間の競争激化、及びエネルギーコスト増加の影響で収益性が悪化。債務の返済が出来なくなった。データサイトBlockchain.comによると、ビットコインのハッシュレート(採掘速度)は22年上半期に23%増加している。
同社に対して融資残高55億円(4,200万ドル)を有す米国の投資・金融サービス会社B. ライリー・ファイナンシャルは12月14日、Core Scientificの破産を防ぐため、約98億円(7,200万ドル)を追加融資する方針を発表していた。CORZの株価は底値圏から一時108.33%上昇していた。
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チャプターイレブンとは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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