はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米VanEck「仮想通貨市場11の予測」、ビットコイン価格を動かす要因は?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨市場11の予測

米資産管理大手VanEck社は、2023年の暗号資産(仮想通貨)市場について11の予測を発表した。ビットコイン(BTC)価格回復のきっかけや、採用拡大を迎えるユースケースについて説明した。

  1. 23年第1四半期にビットコインは1~1.2万ドルの底値に到達する
  2. 23年後半にビットコインは3万ドルまで回復する
  3. 金融機関、100億ドル以上のオフチェーン資産をトークン化する
  4. ブラジル政府、国債の一部をトークン化する
  5. ツイッター社、決済サービスを強化する
  6. 分散型ステープルコインが時価総額10億ドルに達する
  7. 石油輸出国、政府系ファンドに仮想通貨を組み込む
  8. リップル社、SEC(米証券取引委員会)訴訟で敗訴する
  9. ゲイリー・ゲンスラー委員長、SECを退任する
  10. Web3ゲーマー数、トリプルA級ゲームの市場投入により劇的に増加する
  11. イーサリアムでステーキング解除が可能になる

ビットコイン価格の見通し

電気代の上昇とビットコイン価格の下落により、ビットコインの採掘(マイニング)事業者の多くは22年以降採算がとれない状況が持続している。VanEckは、23年に入っても当面は破産申請や合併が続くと予測する。

また、リップル社のSEC訴訟が第1四半期末に解決するも、リップル側の敗訴となる可能性があると指摘。これが下落圧力の最終波となり、ビットコインが1万ドル〜1.2万ドルの底値を付ける。この水準への到達は、2020年5月の半減期後の上昇幅の一掃を意味する。

しかし、2023年後半にはビットコインは3万ドルへ上昇するとVanEckは予測する。原動力となるのは、ウクライナ停戦、インフレ率の低下、エネルギー高騰の緩和、マネーサプライ(M2)拡大の4つ。

ウクライナ戦争の終戦によりエネルギー問題が解消され、先進国で「ビットコインのマイニングが政治的に受け入れられやすくなる可能性が高い」とVanEckは指摘。ひいてはインフレヘッジとしてのビットコイン投資論文(テーゼ)の復活につながると加えた。

また、23年にインフレ率の低下を背景にFRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利の利上げを停止すると予測される。仮想通貨市場固有の問題がない限り、これらの影響でビットコイン価格は3万ドルに回復するとした。

関連:国債と金利の関係、仮想通貨市場への影響について解説

実世界資産のトークン化

23年には、金融機関によるパブリックチェーンの採用が拡大。実世界資産のトークン化市場は1.3兆円(100億ドル)以上に拡大する見通しだ。

トークン化資産の取引ネットワーク企業Owneraは22年9月、シリーズAで28億円を米メガバンクのJPモルガン、不動産投資企業LRC Groupなどから調達した。

関連:JPモルガン、トークン化資産関連企業の資金調達ラウンドに参加

11月には、JPモルガン・チェースとSBIデジタルアセットホールディングスが、パブリックブロックチェーンを利用した最初のDeFi(分散型金融)取引を実行したことを発表した。イーサリアムのスケーリングソリューション「ポリゴン(MATIC)」上に構築されたAave(修正版)が使用された。

関連:JPモルガンとSBIデジタルアセット、初のDeFi取引を完了

特にVanEckは、ブラジルで国債のトークン化がスタートすると予測。同国最大規模の銀行イタウ・ウニバンコは資産のトークン化プラットフォームを構築しており、顧客向けにカストディサービスを提供する予定だ。

関連:ブラジル最大手銀、来年にもビットコイン保管へ

VanEckはまた、ある石油輸出国が、ビットコインなど仮想通貨を政府系ファンドのポートフォリオに含める計画を発表すると予測した。

私たちは、複数の仮想通貨企業から、サウジアラビアの政府系ファンドが小規模ながら既にビットコインを採掘しているという話を直接聞いている。

関連:サウジアラビア政府、メタバースなど最先端技術に7000億円以上を投資へ

米ツイッター社は22年11月、送金事業を行うため、米財務省の機関「金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)」に登録申請を行った。VanEckは、同社が米ドルだけでなく、ビットコインやドージコイン(DOGE)などの仮想通貨も統合すると予測する。

関連:ツイッター社、米当局に送金事業の認可を申請

SECの動向

SECは22年11月、独自トークンLBCを販売したLBRY社を相手取った、証券法違反に関する訴訟で勝訴している。VanEckはこの判例により、2020年以来継続しているリップル社の裁判に不利に働くと指摘した。

関連:トークンの証券問題で新たな裁判事例 LBRY社

リップル社とSECは9月、略式判決の申し立てを提出。リップル裁判に関心を持つ一般弁護士のJames K.Filan氏は、2023年3月31日かそれ以前に、米連邦地方裁判所のアナリサ・トーレス判事による略式判決が下ると予測している。

関連:米コインベース「XRPの証券性について、SECは公正な事前通知を怠った」

一方、SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は、仮想通貨に対する規制アプローチに欠陥があったとして批判を集めている。米連邦下院のトム・エマー議員は12月、ツイッターで「ゲンスラー氏が旧テラ(LUNA)、セルシウス、Voyager、FTXを見過ごす原因となった、明らかに矛盾したアプローチを議会に示すことができただろう」と主張した。

VanEckもまた、「適切なガイダンスと規制があれば、2022年に仮想通貨業界の崩壊を防ぐことができたかもしれない」と指摘。

歴代のSEC委員長の平均在任期間が2.75年、中央値は2年であることから、21年4月に就任したゲンスラー氏がリップル社に対するSEC側の勝訴を以て退任すると予測している。

関連:「仮想通貨規制は失敗だった」米議員、SECゲンスラー委員長に議会証言要求

ユースケースの拡大

仮想通貨固有のユースケースとして、VanEckはWeb3(分散型アプリ)ゲームと、分散型ステーブルコインに注目している。

特に、NFT(非代替性トークン)採用のPlay2Earn(プレイして稼ぐ)ゲームは、AAAレベルの高品質ゲームの参入及びヒットにより、「Web3月間総ゲーマー数は200万人から、2,000万人規模に増加する」との見解を示した。

株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスの松田洋祐社長は1日の年頭所感で、ブロックチェーンゲームについてさらに開発を進めていくと述べていた。

関連:スクエニ年頭所感「ブロックチェーンゲームにさらに注力」

分散型ステープルコインは、特定の仮想通貨、あるいは需要と供給のバランスをとるオンチェーンアルゴリズムに基づいて、一定価格を維持するように設計されているデジタル資産のこと。

昨年のテラ(LUNA)ショック以降、アルゴリズム型ステーブルコインは規模縮小傾向にある。反対に、規制された保全機関に保管された法定通貨を担保に発行されるUSDCoin(USDC)やBUSD、テザー(USDT)などの中央集権型ステーブルコインは市場シェアを拡大させてきた。

中央集権型ステープルコインのポイントは、発行者によりユーザーの保有する資金を凍結できる機能があること。また、MakerProtocolの「ダイ(DAI)」は総発行量57億ドルと最大の分散型ステーブルコインだが、DAIの担保資産の50%ほどはUSDCであるため、規制当局の影響を間接的に受ける恐れがある。

VanEckによれば、「規制当局に押収される懸念のない、検閲に強いステーブルコインの需要」は高まり続けている。DeFiレンディング大手のAave(アーべ)が発行予定のステーブルコインGHOなどのような分散型ステーブルコインが支持を集める可能性があると同社は予測した。

関連:Aave DAO、独自ステーブルコインGHOの発行を承認

VanEckはまた、22年9月に待望のアップグレード「マージ(Merge)」を実装し、PoS(プルーフオブステーク)への移行を果たしたイーサリアムについても言及。マージ後の最初のアップグレード「Shanghai(上海)」により、ステーキングETHの引き出しが可能になることが、「新規ステーキング参加者の増加につながる」と予測した。

関連:イーサリアム共同創業者ヴィタリック氏、2023年はロールアップに強気

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
03/31 月曜日
17:51
SBI VCトレード、gumi株主向けにビットコイン1,600万円分を抽選配布キャンペーン
SBI VCトレードがgumi株主向けに総額1,600万円相当のビットコインを抽選配布する。口座開設とエントリーで参加可能な注目の株主優待キャンペーン。
15:07
イーロン・マスク、連邦政府DOGE省と仮想通貨ドージコインの関連性を否定
イーロン・マスク氏が米ウィスコンシン州のタウンホールミーティングで、トランプ政権の連邦政府効率化局(D.O.G.E)と暗号資産(仮想通貨)ドージコイン(DOGE)の間に関連性はないと明言した。今年2月のドージコインのマスコット表示で生じた市場の思惑は誤りだったことが改めて確認された。
14:10
メタプラネットがビットコイン購入へ 総額20億円の第10回普通社債を発行
株式会社メタプラネットは総額20億円の第10回普通社債を発行し、調達資金をビットコイン追加購入に充当。24日時点の保有量は3,350BTCとなり、積極的な買い増しを継続する方針だ。
13:03
米バンカメ「貿易戦争の資産逃避先ではゴールドが圧倒的優位」
バンク・オブ・アメリカのファンドマネージャー調査で、トランプ関税を背景とした貿易戦争時の避難資産として、金(ゴールド)が仮想通貨ビットコインより圧倒的に好まれていた。投資家の避難先として注目されているのが、パクソス社が発行するPAXG(Pax Gold)やテザー社が発行するXAUT(Tether Gold)、国内では三井物産デジタルコモディティーズ株式会社が発行するジパングコイン(ZPG)がある。
11:16
仮想通貨市場など全面安 命運を左右するトランプ関税発表が4月2日に迫る
4月2日に迫るトランプ米大統領の関税発表が株やビットコイン(BTC)市場に大きな不確実性をもたらしている。著名投資家は今年最大の市場イベントと位置づけ3つのシナリオを提示した。一方、ピーター・ブラントはビットコイン(BTC)の65,600ドルへの下落リスクを警告している。
09:51
金融庁、仮想通貨のインサイダー取引規制導入か 「金融商品」に分類する法改正案提出へ=報道
日本経済新聞の報道によれば、金融庁が2026年を目途にビットコインなど仮想通貨を金融商品とする金商法改正案を提出予定。暗号資産(仮想通貨)のインサイダー取引規制も新設する見込み。
03/30 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、米州政府や企業のBTC投資動向やリップル社のSECへの追加上訴撤回など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン週次市況:1300万円台で揉み合う展開と今後の見通し|bitbankアナリスト寄稿
bitbankアナリスト長谷川氏による週次分析。トランプ政権の相互関税懸念と米経済指標の動向を背景に、1300万円台で揉み合うビットコイン相場。現物ETFへの資金流入が続く中、今後の展望を詳細に解説
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ関税の影響分析に高い関心
今週はSBI VCトレードによるステーブルコインUSDCの取引開始、トランプ関税の影響分析、世界最大級のオンライン証券会社によるトランプ氏言及の仮想通貨4銘柄追加に関するニュースが最も関心を集めた。
03/29 土曜日
13:45
イーサリアム創設者ヴィタリック、L2セキュリティの進化と「2-of-3」証明システムを提案
ヴィタリック・ブテリン氏が新たなブログで、L2セキュリティの現状と将来展望を公開。ブロブスペース拡張、ZK・OP・TEEを組み合わせた「2-of-3」証明システム、証明集約レイヤーの必要性について詳細に解説。
12:55
南カロライナ州で新たにビットコイン準備金法案提出 対コインベース訴訟取り下げも
米国サウスカロライナ州が、コインベースへのステーキング関連訴訟を取り下げた。また同日には州がビットコインなど仮想通貨の準備金を持てるようにする法案が提出されている。
10:45
ブラックロックのビットコインETFを保有、トランプ大統領の息子が顧問の米上場企業
米ドミナリ・ホールディングス社がビットコイン保有戦略を開始し、ブラックロックのETFを購入。機関投資家の仮想通貨投資最新動向は。
10:00
欧州保険・年金機構(EIOPA)、保険会社が仮想通貨を100%裏付ける義務提案
EIOPAが保険会社の仮想通貨保有に100%の資本要件を提案。高リスクに対応するためとしている。欧州では特にルクセンブルクで保険会社の仮想通貨エクスポージャーが確認されている。 。
09:30
SEC、イーロン率いる政府効率化省(DOGE)と連携開始
米証券取引委員会(SEC)がイーロン・マスク氏の政府効率化省(DOGE)との連携を開始。トランプ政権下での規制機関改革と仮想通貨政策転換の最新動向を解説。
08:30
ビットコイン80万円下落、BTCメジャーSQ通過で需給悪化|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時80万円の下落となった。アルトコイン市場も、ビットコインの急落に連動するかたちでほぼ全面安の展開となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧