デジタル経済成長のための新政策
タイの中央銀行は12日、窓口となる店舗および支店を持たない「仮想銀行(バーチャルバンク)」の設立を認める計画を明らかにした。デジタル経済と持続可能な成長のための、金融セクターにおける新政策の一環である。
バーチャルバンクは、銀行業務のサービス展開を全てオンライン上で完結できるようにするもので、従来の商業銀行と同じようにライセンス(規制)に準拠する。
香港金融管理局ではすでに複数社にライセンス発行されており、タイでも最先端テクノロジーの専門知識を持つ人向けの商業銀行としての位置付けだ。暗号資産(仮想通貨)の取り扱いがあるかどうかについては、現時点では明記されていない。
タイ中銀が発行した、「バーチャルバンク認可の枠組みに関する協議文書」によると、仮想銀行は2023年後半より、金融サービス業者としてのライセンス申請が可能になる。
タイ中銀のTharith Panpiemras総裁補佐は、次のように説明した。
新たにバーチャルバンクが誕生することで、銀行業務の拡大が期待できる。
仮想銀行は、現在銀行サービスを受けていない顧客層にもサービスを提供し、また、顧客全体の利益となるようなコスト削減を実現するだろう。
Panpiemras氏は、金融企業が仮想銀行を営業開始できる時期は2025年を目途としており、2024年に、3種類のライセンスを発行する予定だと述べた。これまでのところは、10社が関心を示しているという。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
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リスクを監視
タイ中銀は、リスク監視についても言及した。バーチャルバンクが、既存の商業銀行と同じ規制基準に準拠するために、リスクレベルに応じて監督するとしている。ITサービスの持続性、デジタルな経路によるカスタマーケアの効率性など、優れたガバナンスやリスク対応を重視していく。
タイ中銀は、特に運用開始後の数年間は、金融システムへのリスクを防ぐために綿密な監視が行われるとして、次のように述べている。
仮想銀行は、無責任な融資を行ったり、関係者を優遇したり、市場での優位性を乱用して金融の安定や預金者、消費者全体にリスクをもたらしてはならない。
タイ中銀は、バーチャルバンクをめぐる政策アプローチについて、2月12日まで広く意見を募集しているところだ。
CBDCめぐる動きも
タイ政府は金融デジタル化関連の動きを進めている。
タイ中銀は2020年より、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を行っており、2022年夏には、その開発範囲を拡大する方針を発表。民間セクターと協力して、リテールCBDCの限定的な試験運用を実施するとしていた。
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CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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