- 取引所レポート
- 仮想通貨取引所ランキングのトップ100にランクインしている取引所の7割以上が、「仮想売買」により、日々の出来高を偽装していたという衝撃的な内容のレポートが発表されました。
衝撃のレポートが公開
仮想通貨取引所ランキングのトップ100にランクインしている取引所の7割以上が、「仮想売買」により、日々の出来高を偽装していたという衝撃的な内容のレポートが発表されました。
このレポートは、仮想通貨分野における「より高い公正さと透明性を求める」ブロックチェーンデータ研究者グループ、Blockchain Transparency Institute (BTI: ブロックチェーン透明性研究所)が発表したもので、CoinMarketCapの上位130の取引所をそれぞれのオーダーブックの流動性と、サイトの訪問者数を用いた独自の手法で分析したところ、実に、1日あたりの取引高の約3分の2を占める、60億ドル(6600億円)超が捏造されていたと指摘しています。
また、レポートの中では、旧ランキングで上位10位に入っていた取引所のうち、7つまでもが、仮想売買を行うことで、実際の取引高の12倍から100倍もの取引高を捏造して報告していることが判明したと述べています。
取引所による取引高の捏造疑惑は、3月に仮想通貨投資家兼トレーダー、Sylvain Ribes氏のレポートが発表されて以来、くすぶっていましたが、BTIのレポートは、この疑惑を裏付ける形となりました。
BTIは、Ribes氏の「取引量のずれ」に関する研究と、ユーザーごとの取引量とサイト訪問者数の割合により、「正確な」取引高を報告している34の取引所を特定し、測定の基準とした上で、新たな、取引所ランキングを作成しました。
BTIのレポートによると、上位10位入りを喧伝していた取引所で、捏造の度合いが特に酷いのは、LBank とZBで、それぞれ1日あたりのサイト訪問者ごとの取引高が、214,000 ドル(2354万円)と74,000ドル(814万円)との計算になり、流動性の高いことで知られている、Bitfinex、Binance やCoinbaseの主要取引所のサイト訪問者ごとの1日の取引高平均が、5000ドル(55万円)から、8500ドル(93万5000円)であることを、考慮すると、その主張がいかに、突飛なものかお分かりになると思います。
また、BTIによると、Bibox、Huobi、 OKEx、また、検察当局により家宅捜索を受けた韓国の UpBitなどの取引所の取引高に関する数字も大きな疑惑を提示しているとしています。
一方、取引高を偽ることなく公表し、信頼がおける取引所として首位に上がったのは、Binanceで、続いて、BitfinexとCoinbaseがそれぞれ2位と3位となっています。
ちなみに、日本勢を代表して、BitFlyerも、取引高を公正に報告していることを表す、差異1.0の評価で、10位にランクインしています。
このBTIランキングに対し、Binance CEOのChangpeng Zhao氏は、「これまでで見た中で、もっとも正確で、綿密な仮想通貨取引所ランキングだ」とツイッターで賞賛しています。
このランキングで、KuCoinとCryptopiaは、それぞれ、58位から19位、90位から24位と大幅に順位を上げています。
業界内でも、仮想通貨の信頼性を高めようとの取り組みが高まる一方で、多くの国で規制の対象とされている仮想売買の手法が、取引所でなぜこれほどまでに蔓延しているのでしょう。 BTIは、その理由として、CoinMarketCapなどのサイトからの、新たな顧客の流入を促すための、人気取りのためだろうと結論づけています。
しかし、このような悪質な詐欺行為が通用していることは、仮想通貨の信用を大きく損なうことにつながります。 そして、このレポートで指摘されたような現状こそ、アメリカ証券取引委員会(SEC)がビットコインETF承認を躊躇する要因となってしまうのではないでしょうか。
機関投資家の参入を促し、健全な仮想通貨エコシステムの発展のためにも、取引所自らが、不正行為を取り締まり、市場操作の疑惑を徹底的に晴らしていく努力を続けていってほしいと切に願います。