2023年昨今では、世界中でブロックチェーン技術の活用が注目されるようになり、各業界の企業や政府においてもWeb3技術の統合が進んでいます。IT業界の中にはWeb3技術の活用支援に意欲的な企業は多いですが、その筆頭とも言えるのが「Alibaba Cloud(アリババクラウド)」です。
Alibaba Cloudは世界トップクラスのクラウドサービスベンダーであり、クラウド技術やデータ分析技術を用いたWeb3ソリューションを展開しています。同社は、世界で最多のブロックチェーン特許を保有するAlibaba Groupの一員であり、グループ内でのシナジーにも注目が集まります。
本記事では、そんなAlibaba Cloudが展開するWeb3ソリューションについて解説します。
- 目次
1. 世界屈指のクラウドサービスベンダー「Alibaba Cloud」の概要
まず初めに、Alibaba Cloudの事業概要や業界におけるマーケットシェア等について紹介します。
1-1. Alibaba Cloudの会社概要
グローバル | 日本法人 | |
---|---|---|
社名 | Alibaba Cloud | アリババクラウド・ジャパンサービス株式会社 |
公式URL | https://www.alibabacloud.com | https://www.alibabacloud.com/ja |
所在地 | 13カ国に計13のオフィスを構える(本拠地はシンガポール) | 東京都中央区京橋2丁目2番1号京橋エドグラン27階 |
設立年月日 | 2009年 | 2016年4月 |
代表者 | – | 張 錦瑋 |
事業内容 | 企業や政府機関など、世界中の事業者にクラウドコンピューティングサービスを提供 | 日本法人として左項のサービスを提供 |
Alibaba Cloudは、Alibaba Groupのデータインテリジェンスの中枢となるべく2009年に設立されたグローバル企業です。世界最大の流通総額を誇る同グループの規模やノウハウを活かし、世界中の事業者にクラウドサービスを提供しています。
1-2. 業界におけるマーケットシェア
Alibaba Cloudは、IaaS(サーバーやネットワーク等のITインフラの提供サービス)分野において、世界トップクラスのマーケットシェアを持ちます。主要なクラウドサービスのシェアは以上のグラフの通りで、グローバル市場においては世界第3位(2020年時点)と評価され、アジア太平洋地域に限定すれば第1位のシェアを誇ります。
Alibaba Cloudは日本でも積極的に事業を展開しており、国内に3つのデータセンターを構えて日本企業の支援も行います。以下画像のように同社は多数の大手企業をサービス提供先として抱えており、クラウドサービス事業者として高い信頼を得ていることが伺えるでしょう。
1-3. 世界に認められた技術力と信頼性
このようにトップクラスの市場シェアを持つ同社は、技術力や信頼性という観点でも最高水準の評価を受けています。
その技術力が分かる資料の1つが、米大手調査会社のGartnerが公開したレポートです。同レポートにおいて、Alibaba Cloudのクラウドサービスはスコア「86」と評価され、世界第3位の評価でした。主要4技術である「Compute」「Storage」「Network」「Security」については、以下の通りAWS・Microsoft・Googleを上回る第1位の評価を受けています。
信頼性に関しても、Alibaba Cloudは「ISO(国際標準化機構 )」などから多数の認証を取得しており、そのサービス水準がAWSやAzureと比較しても同等以上であることが分かります。
2. Alibaba CloudのWeb3ビジネス
世界屈指のクラウドサービスベンダーであるAlibaba Cloudは、Web3関連ビジネスにも力を入れています。
2-1. Alibaba Cloudが提供するWeb3ソリューション
まずは、2023年3月時点でAlibaba Cloudが提供しているソリューションの例を紹介します。
ソリューション例 | 内容 |
---|---|
IaaS(Infrastructure as a Service) | 大規模なトランザクションに耐えられる、高セキュリティなクラウド基盤を構築可能。 |
eKYC(オンライン上で完結する本人確認)の実現 | 実績のある顔認証AIアルゴリズム等により、本人確認の処理をデジタル化。 |
Web3ゲームのインフラ構築 | 世界中のプレイヤーが同時利用できるGameFiのインフラを構築。 |
クロスリージョン対応 | 高セキュリティかつ低遅延なグローバルネットワークを構築。 |
スマートコントラクトの監査 | 同社のセキュリティチームがスマートコントラクトコードの監査を実行する。 |
BaaS(Blockchain as a Service) | プライベートチェーンの構築を支援。 |
このようにAlibaba Cloudは、ITインフラ構築やデータ分析に強みを持つAlibaba Cloudとブロックチェーン技術を組み合わせることで、様々なWeb3ソリューションを提供しています。
ちなみに、同社親会社であるAlibaba Groupはブロックチェーン関連の特許保有数世界トップであり、Web3ビジネスへの高い関心と積極的な投資が伺えます。また、今後も豊富な特許数を元に、Web3サービス開発を有利に進めていく事が予想されるでしょう。
2-2. 今後もブロックチェーンサービスを開発予定
さらに今後、Alibaba Cloudはブロックチェーンサービスを追加でローンチする予定です。ローンチ時期とサービス概要は以下の通りです。
ローンチ時期 | サービス概要 |
---|---|
2023年第1四半期 | Alibaba Cloudがブロックチェーンのフルノードの立ち上げ・保守・運用を代行。イーサリアム(ETH)やポリゴン(MATIC)など、複数のチェーンに対応予定。 |
2023年第2~3四半期 | ブロックチェーンや分散型アプリの利用状況などを取得・分析し、業務効率化を実現するデータ分析などのサービスを提供する。 |
2023年第4四半期 | Web3開発の効率化を図るプラットフォームやキットを開発。 |
前述の通り、すでにAlibaba Cloudはブロックチェーン向けサービスを提供していますが、これら新サービスの開発を通じてさらなるサービス体制の強化を図ります。
2-3. Alibaba Cloudが提供可能なパートナー企業のサービス
また、特にWeb3ゲーム開発に関して、Alibaba Cloudはパートナー企業によるサービスの提供により包括的な支援を実現。以下は、Alibaba Cloudのパートナー企業のサービスです。
サービス提供企業:サービス概要 | 説明 |
---|---|
Safeheron:仮想通貨ウォレットサービス | 高セキュリティな独自ウォレット提供を手軽に実現。独自技術により、短期・安価・高セキュリティ水準を実現。 |
NodeReal:Web3開発API | EVM対応のブロックチェーンデータへの即座アクセスを可能とする「MegaNode」などのサービスを提供します。 |
COCOS:Web3開発ツール | 高品質なゲームをHTML5により開発できるツール。ソースコードを購入することも可能。 |
以上のようにパートナー企業と協力することで、Alibaba Cloudは総合的なWeb3ゲームの構築サービス提供を可能にしています。
3. Alibaba CloudによるWeb3に関する直近の取り組み
前述のようにWeb3ソリューションに力を入れるAlibaba Cloudは、その一環として様々なWeb3イベントを実施予定です。そこで最後に、2023年3月時点で参加申し込み可能なイベントについて紹介しましょう。
3-1. 「Alibaba Cloud Web3.0 東京サミット」の開催
Alibaba Cloudは、Web3ソリューションを開発者向けに紹介する「Alibaba Cloud Web3.0 東京サミット」を開催します。同サミットでは、サービス紹介や開発ロードマップの公開、日本国内外のパートナーによる講演などが予定されています。
同サミットの詳細は以下の通りです。
- 日時:2023年3月22日
- 時間:13:30~ 21:00
- 場所:東京・渋谷スクランブルスクエア15F SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)
- 参加方法:公式ページからの申し込み(先着100名、参加無料)
3-2. Web3ハッカソン開催
2023年3月現在、Alibaba Cloudは下記のWeb3ハッカソン(開発者がチームを組み、ソフトウェアやサービス開発について競い合うイベント)の開催を予定しています。
ハッカソン名 | 概要 |
---|---|
asobiHack_Tokyo | 「日本のゲームクリエイターとWeb3技術の出会い」をテーマにする、Web3ゲームに特化したハッカソン。エントリーの受付は2023年3月31日まで。申込サイト:https://asobi-hack.tokyo/ |
ハッカソンでは、賞金に加えて、専門家との交流ができるなど豊富な特典が用意されています。なお、詳細なスケジュールや参加方法については、公式ページで確認できます。
3-3. 交流スペース「Web3Lab@Shibuya」の開設
さらにAlibaba Cloudは、ゲームに特化したブロックチェーンエンジニア向けの交流スペース「Web3Lab@Shibuya」を期間限定で開設することも発表しています。
Web3Lab@Shibuyaは交流によるWeb3エコシステムの強化を目的としており、東京渋谷駅付近に設置されました。同スペースでは、技術サポートの実施や定期的なセミナー開催などが行われます。
2022年12月には、バリデーター(検証ノード)の設置用途を含む開発者向けインフラストラクチャーの提供について、アバランチ(AVAX)ブロックチェーンのサポートを発表しています。
4. Web3市場を加速させるAlibaba Cloudのソリューション
本記事では、世界屈指のクラウドサービスベンダーのAlibaba Cloudが提供する、多様なWeb3ビジネスとアクティビティを解説しました。
Web3分野への期待は着実に高まっており、世界的ゲーム開発会社やハイブランド、伝統的な金融機関までもが活用法を模索しています。そんな中で、Alibaba Cloudの最高峰の技術を用いたソリューションは、Web3至上の拡大を支える重要な存在となるでしょう。
Alibaba CloudのWeb3事業に興味がある方は、今後も公式ページやSNSを通じて同社の最新動向を追うことをお勧めします。