DeFiにおけるマネロンリスクなどを調査
米財務省テロ資金調達・金融犯罪局のエリザベス・ローゼンバーグ次官補は13日、DeFi(分散型金融)が不正に使われることのリスクを調査しているところだと述べた。
ローゼンバーグ氏はオーストラリアで開催された銀行関連のイベントで講演を行い、マネロンやテロ資金調達など不正金融への取り組みについて話した。その中で、暗号資産(仮想通貨)についても言及した形だ。
まず、仮想通貨セクターの急速な発展は驚異的なものであり、その中で業界では、規制や金融犯罪関連の法的遵守が後回しになってしまうことが多いと述べた。
政府は、イノベーションを阻害しないよう注意すべきだが、一方で、金融の健全性を支え、詐欺師や犯罪者から人々と金融システムを保護することが義務付けられていると続けた。特に、DeFiについて、次のように話している。
私は、DeFiを合法的に活用していく可能性に関心を抱いている。しかし、不正行為を行う者は、犯罪行為を隠蔽し、犯罪収益を洗浄するための方法を常に探しており、このことはDeFiやその他の仮想通貨エコシステムに対する脅威ともなる。
そこで、私のチームはDeFiにおける不正な金融活動のリスク評価に取り組んでいるところだ。この結果を、まもなく公式に発表する予定である。
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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北朝鮮のサイバー攻撃
ローゼンバーグ氏は、北朝鮮によるランサムウェア攻撃についても言及した。北朝鮮の関係者が、ランサムウェア攻撃によって数億ドル相当の仮想通貨を盗み、その資金を取引を匿名化するミキシングサービスなどを通じて洗浄し、違法な核・弾道ミサイル計画の資金源にしていると話している。
北朝鮮政府が支援しているとされるハッカーグループとしては「ラザルス」が知られているところだ。これまでに様々な仮想通貨の不正流出事件に関与したとみられている。
日本の金融庁も2022年10月、国内の仮想通貨交換事業者に対して、ラザルスからと思われる攻撃が確認されているとして注意喚起した。フィッシングメールや偽のSNSアカウントにより企業の従業員に接近しようとしていたとしている。
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22年11月には、米財務省が、ミキシングサービス「トルネードキャッシュ」を、北朝鮮関連で制裁指定した。資金洗浄手段となることで、米国外からのサイバー攻撃を実質的に支援しているとして、トルネードキャッシュ上の資産凍結などの措置を講じた形だ。
ランサムウェアとは
ハッキングを仕掛けたうえで、元の状態に戻すことを引き換えに金銭を要求するマルウェアのこと。「身代金要求型マルウェア」とも呼ばれる。感染すると、他人の重要文書や写真ファイルを勝手に暗号化したり、PCをロックして使用を制限した上で、金銭を要求してくる。
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FATFの勧告
ローゼンバーグ氏は、マネロンなど不正金融対策の他、米国が行う経済制裁に関しても役目を果たしている。ロシアのウクライナ侵攻に伴う経済制裁についても現在の課題として挙げている。
ローゼンバーグ氏は、不正金融に対処するための重要な手段の1つとして、国際的な規制機関FATF(金融活動作業部会)が提唱している、法人の受益権者に対する透明性確保を挙げた。
FATFは、マネーロンダリングやテロ資金調達のために法人が悪用されることを防止するために、法人の受益者や支配権に関して正確な情報を把握し続けることを各国に推奨している。