スタートアップを支援する「未来資金法」
ドイツの財務省は5日、「未来資金法」の計画について発表した。スタートアップ企業を支援するもので、ブロックチェーン技術による電子証券発行なども念頭に置かれている。
同省によると、この法案は「気候変動対策やデジタル化」など、将来重要となる投資のために、より多くの民間資本を蓄積することを後押しするものだ。
独財務省は、金融市場やビジネス拠点としての環境という面でドイツの魅力を高め、ドイツにおける株式市場も推進するためには、資本市場をより近代的・国際的にすることが求められていると指摘。その上で、スタートアップ企業や成長中の企業、中小企業が、資本市場へ容易にアクセスできるようにしていく狙いだ。
クリスティアン・リントナー独財務相は、次のようにコメントしている。
私たちは、ドイツを新興企業や成長企業の中心地にしたいと考えている。そのために、資本市場へのアクセスを改善し、自己資本の調達を容易にする。中小企業もこの法案で恩恵を受けるだろう。
この未来資金法に従って、会社法、資本市場法、税法などに関して包括的な体制を構築する計画だ。ブロックチェーン関連では、以下の項目を挙げている。
- ブロックチェーン技術などを土台とするデジタル証券による株式発行を可能にするなど、資本市場のデジタル化を図る。
- 仮想通貨の譲渡性向上を検討する
独財務省は、株式取引をデジタル化することが、同国の資本市場の魅力を高めるための重要な一歩だと述べた。また、仮想通貨取得のための法的枠組みを改善し、譲渡の安全性を高めることを検討しているとも続けている。
ブロックチェーン関連以外では、主に次のような施策を挙げている。
- IPOの最低資本金を現在の約1.8億円(125万ユーロ)から約1.4億円(100万ユーロ)に引き下げ
- 機関投資家によるスタートアップ企業、成長企業、中小企業への投資促進
- 従業員貯蓄手当の変更により、特に株式投資による資産形成のインセンティブを作る
- 監督法のデジタル化・国際化を進める
仮想通貨ランキングで首位
仮想通貨分析会社Coincubが2022年10月に発表した世界仮想通貨ランキングによると、ドイツは首位だった。
仮想通貨に対して「前向きな見通し」を持ち、積極的に仮想通貨政策に取り組み、規制の明確化を図っていることを理由としている。
また、ドイツでは仮想通貨を取得後1年が経過してから売却した場合には、利益が出ても非課税とされる。このように、仮想通貨への長期的投資が税制面で優遇されていることにも言及した。
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